ユーザーIDを用いなくとも クロスデバイス分析が可能に
ひとつめのトピックスは、クロスデバイスでの分析について。
「ユーザーIDの設定なしに、クロスデバイスでのユーザーのサイトの利用状況が可視化できるようになりました」
従来は、Cookieベースでの分析だったため、Aさんがデスクトップ(PC)でアクセスした場合と、スマートフォンでアクセスした場合、別のユーザーとしてデータが取得されていた。会員登録の仕組みを持つサイトであれば、ユーザーにログインしてもらえば同一ユーザーとして認識できた(ユーザーIDによる認識)が、そのアクションはユーザーに依存してしまう。デスクトップPCではログインしていても、スマートフォンではログインしていない、といったことは十分に考えられる。
それが、公式ブログ「Google Analytics Solutions」の7月23日の投稿「Google アナリティクスの新しいクロスデバイス機能で、顧客をより的確に理解し、より適切なメッセージを届ける」によれば、ユーザーがそのサイトにログインしなくとも、クロスデバイスでも同一ユーザーとして認識し、分析できるようになったとのこと。Googleのサービスへのログイン情報を使い、ユーザーを認識することで実現しているという(ただし、個人は特定しない)。各サイトへのログインは難しくとも、GmailやYouTubeなどGoogleのサービスにはログインしっぱなしという人は少なくないため、捕捉率が高くなることが期待できる。
管理画面の「プロパティ設定」>「トラッキング情報」>「データ収集」から、「Google signalsのデータ収集」の下にあるボタンを「オン」にして保存すれば利用できるようになる。
「デスクトップとモバイルなど、複数デバイスの組み合わせでアクセスしているユーザーの割合、デスクトップ→モバイル→デスクトップなど、使った順番までわかるんです。さらにいいのは、それぞれのセグメントについてユーザーあたりの『収益』までがわかること。複数デバイスからアクセスしてくれているのは、ブランドを愛してくれる、ロイヤリティの高いユーザーだと考えられます。現状の数値を把握し、複数デバイスの利用を喚起することでユーザーに対するプレゼンスをより高めていくといいでしょう。
とくにスマートフォンで閲覧しているユーザーは、マイクロモーメント、つまり『今この瞬間、すぐ欲しい!すぐ知りたい』と思っている可能性が高いです。スマホのUI/UXを改善するとか、関連性の高い検索クエリについてはスマホでの検索結果の上位を取りにいくといったことが考えられます」
もうひとつ木田さんが注目するのは、「集客デバイス」レポート。すなわち、はじめてそのサイトにアクセスしたデバイスがわかるわけだ。
「サイトへのアクセス自体はモバイルが増えているでしょうが、『収益』はデスクトップからアクセスしたユーザーのほうが大きいサイトが多いはず。最初にデスクトップからアクセスしたユーザーがロイヤルカスタマーになる可能性が高いならば、LTVの視点でも、たとえば広告施策を打つときに、やはり最初のアクセスはデスクトップからとったほうがいいかもしれない、といった判断ができるようになります」