配信の選択肢が多様化
目的に応じた動画広告の活用へ
今回、岡田さんがGoogle関連の注目トピックスとしてあげてくれたのは「動画」、すなわちYouTubeである。
「アップデートが相次ぎ、動画広告の配信方式としてはおおよそ網羅したと言えます。Googleが動画に対して、非常に力を入れていることが読み取れます」
ひとつめのアップデートは動画広告のメニューに新しく追加された「TrueView for reach」(2018年4月2日)。
「TrueView広告には、これまで2種類のフォーマットがありました。ひとつは動画の前など視聴時にテレビCM的に流れるインストリーム広告。もうひとつは、 YouTubeの動画検索ページや、視聴ページの右側に表示されるディスカバリー広告です。今回の『TrueView for reach』は、前者のインストリーム広告の入札方式がインプレッション課金(CPM)に変わったというものです」
従来のインストリーム広告の入札は、広告視聴課金(CPV)方式で、基準とする時間以上の視聴がなされた場合に課金される。動画を視聴しながら、広告をスキップした経験がある読者も少なくないだろう。それを改善すべく、2016年にスキップ不可で短い、6秒以内の「バンパー広告」が登場したわけだが、すべてのコミュニケーションを6秒で行うのは難しいため、TrueViewも併用するのが一般的。for reachの登場により、「リーチでもエンゲージメントでも、目的に合わせた多様な配信方針を採りやすくなる」というのが岡田さんの見解だ。
次に、動画を見ただけで終わりにしない、次のアクシ ョンにつなげてもらいやすくする機能「TrueView for Action」が2018年3月末に全アカウントに適用された。
従来の機能とアップデートを総合すると、課金形式がCPM、CPV、CPAの3種類、表示形式がインストリーム(バンパー含む)、ディスカバリー、アウトストリームとこちらも3種類そろった形になり、そこに、カスタムインテントオーディエンスなどの新たに動画に適用できるようになった精緻なターゲティングが加わっている。冒頭に岡田さんが「網羅」と表現したのも納得の充実ぶりだ。
「これまで動画はブランディングの文脈で語られることが多かったと思いますが、リード獲得やショッピングなど、さまざまな目的にあわせて活用できるようになったわけです。このようにGoogleが動画に力を入れているのには、理由があります。Facebookのインフィード型動画広告を運用してみるとわかりますが、動画というフォーマットはCPMが非常に高い。プラットフォーム側からすると、儲かるということです。一方で、モバイルの時代になってから、Googleが重要視する指標のひとつであるCPCが低下傾向にあります。今後はモバイル比率が極限まで高まっていくことを考えると、トラフィックあたりの単価を上げていくのは至上命題です。これを打開するために有効な方法のひとつが動画であると考え、今回のようなアップデートが相次ぐことになったのでしょう」