カンファレンス「アドテック」で感じた流れ
テクノロジーからマーケティングへ
2017年10月17、18日に東京国際フォーラムで開催された、マーケティングカンファレンス「アドテック東京」にブース出展したという大西さん。マーケティングオートメーション(MA)の本題から少し逸れるが、と前置きしながら感想を話してくれた。
「アドテックは、『アドテクノロジー』をテーマにしたカンファレンスですが、テクノロジー色が薄れてきているように感じました。プラットフォーマーもそれほど大規模な出展は行わず、各分野の専門ツールベンダーが集まっていたという印象です。来場者は昨年よりも増えているとの発表ですが、アドテクノロジー熱は少し落ち着いてきているのかなと。アドテック以外でもアドテクに関する情報収集がしやすくなったこともあると思います。強いて目新しいところで言えば、インバウンドを意識したメディア出展などがありました。
マーケターの関心が、最新テクノロジーを追いかけるよりも、それらを使ってどうコミュニケーションするかという、本来のマーケティングに戻ってきているのかもしれません。ソーシャルメディアのタイムラインを見ていても、キーノート3に登壇した糸井重里さんの話題が多かったように思います」
データ分析にAIはまだ早いか
APIでさまざまなツールがつながりやすく
これは、1年前のバズワードとも言えるMAにも共通した傾向だ。MAツールベンダーの多くがLINE連携を終え、ユーザー企業が望んでいたLINEでのメッセージ配信が可能になっている。機能は揃い、どう使うかが問われている。
「MAの主なコミュニケーション手段だったメールが、どんどん読まれなくなってきているというのは、多くの人が感じていることだと思います。これからますます、LINEがコミュニケーションのメイン手法に変わっていくでしょう」
LINEともうひとつ、テクノロジー視点でのトレンドと言えばAIだ。MAに関連するところでは、シナリオを組む準備段階で、購買履歴やウェブアクセスなどのデータを用いた分析が行われており、その段階でのAIの活用が期待されている。
「明確にAIを搭載していると謳っているMAツールは、数えるほど。理由は、事業者がそこまで高度な分析ができていないからです。当社はデータ解析を得意とする会社なので、分析に関するお問い合わせをいただくのですが、『今導入している分析ツールを使い切れていない』というお声が多い。具体的には、高機能ツールの代表であるAdobe Analyticsの値上げにより、継続して利用することに難色を示されている。導入できる体力を持つ企業であってもこうですから、それ以下の規模のEC事業者は推して知るべしです」