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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

新・スマホECユーザビリティの極意

スマホサイトの役割を定義し、徹底して情報を隠す! 若年層向け単品通販「プロアクティブ」をチェック

プロアクティブ(運営:ガシー・レンカー・ジャパン)のUI面の特徴は、最短距離で目標を達成する導線です。ニキビケア商品ECであるから若年層(10代~30代)が多い商材であることが予想されます。その層のお客様が、外部の広告や@コスメ、クチコミ等でプロアクティブを知り、手元のスマホサイトで「パッと購入完了できる」ことに注力したUIだと考えられます。

カートページで完了する「遷移なし」の購入フロー

 通常ECサイトでは、商品詳細ページで数量やカラー等を選択し、カートへ商品を入れ、購入フローへ進みます。画面ごとに目的があり、詳細画面から数ページを介して完了ページに至ります。その際、各ページごとに離脱が起こらないように解析と改善に注力するわけです。

 しかし、プロアクティブはカートページの下部に情報入力欄が設置され、遷移が発生しません。つまり、カートが情報入力ページ、支払い方法選択ページを兼ねているのです。

 これは単品通販特有の、カートに入れた後に「買い物を続ける」が発生しないためできるフローです。すべてのECで実現できるわけではありませんが、スマホサイトのUIではタップ数を減らすことが命なので、その工夫する精神は見習いたいところです。

 つまり、サイトに来てから回遊し、知らなかった商品に出会ってもらうことは狙わず、外部広告等ですでに欲しいと思って訪れているユーザーに、短い滞在時間で瞬間的に買ってもらう設計に徹底しているわけです。

 ランディングページは、お客様を迷わせない構成にするのが鉄則なのはご存じ。プロアクティブの通販サイトは、ランディングページの成功法則をうまく取り入れたECサイトなのです。

初めて買うユーザーを最優先に設計されたトップページ

 プロアクティブのスマホサイトに訪れるユーザーは、広告等により、すでに「欲しい!」気持ちは芽生えています。そのため、スマホサイトは購入するための『リモコン』のような位置付けであると考えられます。

 そのため、トップページは情報を徹底的にしぼり、ファーストビューですべての情報が表示される構成になっているのでしょう。導線強化に苦慮するログイン導線もなければ、商品検索バーもありません。トップページを見た時点で、どこのボタンをタップすれば商品を購入できるのかが明瞭です。

 メインターゲットである若年層に、身近なスマホサイトから簡便な操作でお客様になっていただくことを狙っているのは明らかです。つまり、はじめてプロアクティブの商品を買うお客様を最優先に設計していると考えられます。

 一方で、サイトアクセスした時点で関心が薄かったり、買うかどうか迷っている状態であるユーザーも一定数はいるでしょう。その層に向けて、商品理解を促すためのコンテンツも配信しています。

 コンテンツ表示についても、「不要な情報は隠す」視点で設計し、さらに情報が欲しいユーザーにアクションを促します。サイトトップに配置されている「プロアクティブ+の働き」や「プロアクティブ+の特徴」のコンテンツは、開閉式のメニューになっていて、必要なユーザーがタッチすると読めるわけです。過去に実施したアンケート結果である「100%が使用を継続したいと回答!」というセールスにおける重要メッセージですら、デフォルトでは非表示です。

 サイト運営側からすれば積極的に伝えたい情報でしょう。しかし一方で、過敏なお客様にとっては「売り込み」と拒否反応も起こるかもしれません。だからこそ、情報を求めるユーザーが、自発的な操作で深掘りする仕組みを採用しているのではと筆者は考えます。

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この記事の著者

株式会社モバイルコマース 代表取締役 飯野勝弘(イイノ カツヒロ)

日本IBM株式会社にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、2000年に株式会社エムティーアイ(JASDAQ)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ500サイト以上の立ち上げを経験。現在、株式会社モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業のスマホサイトコンサルティング業務と開発運営を行う。主業務に「売上の上がるスマホサイトの改善」大企業か...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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