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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

新・スマホECユーザビリティの極意

18ブランドを販売する[.st]のスマホECサイトは、ブランド横断検索に注目!


アパレルEC「[.st](ドットエスティ)」のスマホサイトは、ブランド横断検索により顧客接点を保つ導線が秀逸です。

ブランド横断検索で、新しい出会い・販売機会を逸しない

 [.st]は、ローリーズファーム、グローバルワーク、niko and…など、18のアパレルブランドを取り扱う、アダストリア社のECサイトです。

 おそらく多くのユーザーが、「[.st]サイトに行こう」よりも、「自分の好きなブランドで新しい服を買おう」という動機でサイトに訪れているはずです。

 そんな[.st]のスマホECサイトで注目したいのは、「全ブランド一括検索」機能です。これにより、ユーザーはさまざまなブランドの商品と出会うことができますし、ブランドAのトップスが売り切れであっても、ブランドB,C,Dから好みのものを見つけられるかもしれません。

 企業側は、別ブランドを訴求し、販売機会を逃さずに済みます。「会社として」ユーザーと、ECサイトで接点を持とうとしているわけですね。

 ひとつ注文をつけるとすれば、「全ブランド一括検索」において商品カテゴリーの指定ができたほうが親切だと思います。

 また、「ブランドの複合検索」もあったほうがいいのではないでしょうか。たとえば、あるユーザーが、ブランドAでトップスを探したけれども見つからず、「全ブランド一括検索」にたどりつき、知った名前のブランドがあった場合、「ブランドB,Cの複合検索」で探すシーンが想定できるからです。

 さらに言えば、「全ブランド一括検索」からたどり着く商品詳細ページ、もしくはレコメンドアイテムのパーツは、別に用意してもいいかもしれません。現在、同一ブランドの商品が並ぶことが多いようです。

 ブランドページから「全ブランド一括検索」に移動したユーザーは、好きなブランドでなくても、気に入ったものがあれば買おうという意向が強いと考えられます。そうしたユーザーに、今後さらにどのようなレコメンドがなされるのか、注目したいと思います。

検索結果ページからブランド横断検索への「控えめな」導線

 あるブランドの商品カテゴリーを選び、検索結果一覧をスクロールしながら眺めていると、左下に「すべてのブランドから探す」が表示されるのも面白いと思います。

 このメニューによって、検索結果一覧からブランド横断検索ページに遷移できます。この工夫も、顧客接点を保つことを狙った自然な導線だと考えます。

 注目したいのは、一覧ページに遷移した時点では表示されておらず、ある程度スクロールすると、ポップアップとしてやや控えめに表示される点です。

 一覧にたどり着いた時点では、ユーザーはそのブランドのアイテムを見たい、探したいと思っているはずですが、ページの下部までスクロールしているのは、そこまでの段階で欲しいものが見つかっていないからです。そこまでくれば、他のブランドもオススメするという導線も自然でしょう。

 最初から表示されていると、ユーザー心理のギャップから、押し売りに感じてしまうユーザーもいるはずです。「すべてのブランドから探す」の配置ひとつにも、考えぬかれたユーザビリティを感じます。

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この記事の著者

株式会社モバイルコマース 代表取締役 飯野勝弘(イイノ カツヒロ)

日本IBM株式会社にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、2000年に株式会社エムティーアイ(JASDAQ)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ500サイト以上の立ち上げを経験。現在、株式会社モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業のスマホサイトコンサルティング業務と開発運営を行う。主業務に「売上の上がるスマホサイトの改善」大企業か...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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