最低限やっておくべきナビゲーションとは
大前提として、出品するだけでは、誰も商品ページまでたどり着いてくれません。かといって、バナーやメルマガからの導線には限りがあります。商品の存在を知ってもらうためには、カテゴリを象徴としたナビゲーションで全商品を網羅することが必要です。「出品することで手いっぱいで、あとは広告頼り」というショップも少なくありません。見直しませんか。
まず、「その他」というカテゴリは禁止です。型番や商品名を知らない(検索しにくい)人が、「その他」をクリックするのは極めてまれです。たとえばYahoo!ショッピング全体では、買物客の30%~35%がカテゴリ・リストを下って商品にたどりついています。仮に商品が1点しかなくても、カテゴリを作るべきです。
また、ある商品の売り場が1つのカテゴリとは限りません。たとえば「最中」なら、「和菓子」と「贈答品」の2カテゴリに置くことができます。在庫が1個しかないと、実店舗にはできませんので、ECならではの強みと言えるでしょう。
最低限+α、広義のナビゲーションとしてバナーも最適化できます。フリーワード検索やカテゴリの選択に連動したバナーを表示します。たとえば、「酒」をクリックした人に「ウコン」のバナーを見せるのは気が利いていますが、「タイヤ」だったら閑古鳥が群れで飛来しそうです。
パーソナライズされるナビゲーションは、ITにとっては苦手で、リアルの店員の得意領域と思われてきましたが、誤解です。ITには、人間を大きく凌駕する無限の記憶力があります。テクノロジーを活用しつつ、知恵を絞ることで、実店舗の接客を超える可能性があります。
Amazonに勝つ秘策は、高度なナビゲーションか
Amazonに対抗し、サバイバルするにはどうするべきかという議論がよくなされています。品揃えやITシステムへの投資力では勝てません。1つのヒントは、曖昧な購買欲求に応え、かつ独自性や専門性の高いナビゲーションにあるのかもしれません。
そのためには、上記のような最低限+αの取り組みだけでは難しい。レシピやコーディネートといったコンテンツも、ナビゲーションとして購買欲求を生み出しています。コンテンツマーケティング、ECサイトのメディア化ですね。
コンテンツを強化すると、セッションは増えるものの、購買まで至らずに離脱されることが増えますので、CVRは低下します。
たとえば「北欧、暮らしの道具店」さん。メディア・コマースの成功事例として真っ先に取り上げられますが、コンテンツそのものを入口としています。ECサイトのメディア化によって、「セッション回数は7倍になっているので、セッションあたりのコンバージョンレートがものすごく下がっている」(インタビュー記事より)とおっしゃっています。CVRだけ見ていたら、できませんよね。
そこで本連載のテーマである「CRO(コンバージョン最適化)」により、持続的な購入を目指す覚悟が必要になってくるのです