輸入建築材を販売するサンワカンパニーは、2000年からインターネットビジネスを開始。エンドユーザーに建材が届くまでいくつもの流通が入ること、また、保証のためにストックしてある商材を手頃な価格で販売することを目的に、カートも決済もないホームページから始まった。
FAXで注文を受け現金支払のみ、しかも入金があった後に発送するというアナログな仕組みだったが、2002年から少しずつ売上が上がるようになっていった。2004年~2006年は集客目的で楽天市場にも出店、リアルな場で商材を確かめられるショールームも名古屋を皮切りに大阪、東京とオープンした。2007年からはリスティング広告を始め、顧客属性に対応した数種類の紙のカタログも作るなどの取り組みから売上が伸びていく。
2009年までに大きく売上が伸びていったのは、プロモーション施策以外にも、商材を増やしたのが大きい。それまでのタイルなどの商材に加えて、賃貸マンション用のキッチンを売り始めたのだ。「ニッチでいちばんになる」ための施策だった。
賃貸マンションのリフォームは、退去者が出た際に1つひとつ行うのが常。随時1つずつから購入できるサンワカンパニーのECサイトは、業界のニーズに合っていた。
2008年には、設計事務所・デザイン事務所を紹介するメディア「アーキナビ」をオープン。商材を購入したエンドユーザーから、「どうやって取り付けたらいいのか」という問い合わせが後を絶たなかった。そのため、顔の見える設計事務所を紹介することにしたのだ。
好評につきショールームを増やしていったが、訪れるユーザーの8割がECサイトがきっかけだと言う。それは、50代、60代のエンドユーザーであっても同じだそうだ。荒砂さん曰く、「インターネットはきっかけづくり」。カタログやショールームもすべてあってこそのビジネスだと言う。
「誰でも買えて、誰が買っても同じ価格」を掲げてやってきたサンワカンパニーのECサイト。今後も、同社のビジネスに共感する層の支持を得ていきたいとして講演を締めくくった。