SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

最新イベントはこちら!

ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

今さら聞けないEC知識

カゴ落ちとは?起こってしまう原因と改善方法を解説


 ECの事業者としては、カゴ落ちによる機会損失はできるだけ防ぎたいものです。そのためにはユーザーが購入の一歩手前のプロセスで止まってしまう原因を把握して、必要な施策を実行していく必要があります。今回は、カゴ落ちが発生する原因とその対処法について詳しく紹介します。

 ECに取り組んでいると、「カゴ落ち」という言葉をよく耳にします。カゴ落ちが起こることで、本来であれば売上につながったはずのものが機会損失となるため、ECに取り組む事業者としては重視すべき課題だと言えるでしょう。効果的な対策を施すためには、カゴ落ちが発生する原因を把握する必要があります。カゴ落ちの特性を知り、有効な改善策を実行していきましょう。

カゴ落ちとは?

 ECサイトでの売上を伸ばすためには、カゴ落ちへの対策が欠かせません。ここでは、カゴ落ちの定義とどの程度の割合で発生するのかを見ていきましょう。

商品の購入につながらず離脱に至る「カゴ落ち」

 「カゴ落ち」とは、ECサイトを訪問したユーザーが商品をカートに入れたまま購入せずに、サイトから離脱する行為のことを指します。ECサイトを運営する事業者としては、売上を獲得するために、必要な手段を講じて再度購入を検討してもらうことが重要です。

 カゴ落ちは事業者にとって売上に直結する部分であるため、そのままの状態で放置しておくのは良くありません。カートに商品を入れている状態というのは、少なくとも商品そのものには興味を持っているので、アプローチを仕掛けることで購入に結びつけられる可能性があります。

カゴ落ちの割合

 アメリカのBaymard Instituteの調査資料「41 Cart Abandonment Rate Statistics」によると、ECサイトにおけるカゴ落ちの発生率は約70%と言われています。

 ただし、カゴ落ちへの対策を適切に行えば、商品の購入に結びつけられる場合も多くあります。大手ECサイトほどカゴ落ち対策に力を入れており、それらのサイトのカゴ落ち率は40~45%となっています。

 カゴ落ち対策は、商品の購入にまで至っていないユーザーが抱えている不満や要望を洗い出し、原因を特定することが大切です。そして、具体的な改善策を実行していくことで、カゴ落ちの発生率を低下させていきましょう。

カゴ落ちが発生する5つの原因

 カゴ落ちへの有効な対策を講じるには、なぜカゴ落ちが発生するのかを的確に捉える必要があります。ここでは、カゴ落ちが起こる原因について5つのポイントから見ていきましょう。

1.送料や手数料が高い

 ECにおいてユーザーが気になるポイントとして、送料や手数料がかかる点があげられます。送料や手数料は可能であれば無料であるほうが購入につながりやすいですが、無理をして無料にしてもサービスの継続が難しくなる場合もあります。

  無料にできない場合は、商品を注文することで送料や手数料がいくらかかるのかを明確にしておきましょう。事前に必要な金額が分かれば、ユーザーが商品の購入を途中で止めることを防げるでしょう。

2.よく利用する決済方法が使えない

 ユーザーが使いたいと感じている決済方法がなければ、カゴ落ちが起こる可能性が高まります。ユーザー目線に立って、決済方法の利便性を高めることが重要です。

3.購入のためにアカウント作成が必要

 商品を購入するために会員アカウントを作らなければならない場合、ユーザーの心理的なハードルが上がってしまいます。会員登録を必須とすれば、「不要なメルマガが送られてくるのではないか」「入力項目が多くて面倒」といった印象を与えがちです。

4.購入完了までのプロセスが長い

 商品購入までのプロセスが長ければ、急いで購入したいと思っている人は途中でサイトを離脱してしまうでしょう。また、入力する項目が多いと途中で面倒になって離脱の原因となります。

5.返品について不安が残る

 ECではユーザーが商品を直接手に取って確認するわけではないため、気軽に返品できるかどうかが気になる点でもあります。販売する商品の特性から、どのように返品対応をすべきか考えてみましょう。

カゴ落ちを防ぐための7つの改善方法

 カゴ落ちが起こる原因を知ったうえで、必要な改善策をすみやかに講じていくことが大切です。7つの改善方法について、1つずつ解説します。

1.配送方法の選択肢を増やす

 ECでは、配送方法について重視される面があります。単に画一的な配送を行うのではなく、ユーザーが自分に合わせた配送方法を選べるように仕組みを整えることが大切です。

 送料無料プラン、急いで配送してくれるプラン、配達日指定、コンビニ受け取りなど複数の配送方法を用意してユーザーの利便性を高めてみましょう。また、「〇〇円以上購入すれば送料無料キャンペーン」のように、特典を設けてみると購入額を高めることにもつながります。

2.決済方法の選択肢を増やす

 銀行振込・クレジットカード払い・コンビニ払い・電子マネー決済・代引きなど、幅広い決済方法を用意しておくことでユーザーの利便性を高めてみましょう。決済方法の選択肢が多いほど、途中で購入を止めてしまうユーザーを減らせるはずです。

3.会員登録なしで購入できるようにする

 商品を購入するために会員登録を行わなければならないと、煩わしさを感じてしまうユーザーも多くいます。カゴ落ちを防ぐためには、会員登録なしで購入できる方法を示したり、会員になることで特典がもらえたりする工夫が必要です。

4.購入までのプロセスを短くする

 改善方法として、事前に登録しているアカウントから発送先や決済情報を読み取れるようにすれば、購入までのプロセスを短縮化できます。ワンクリック注文とまではいかなくても、可能な限りすぐに購入できるよう手順を見直してみましょう。

5.返品や交換の条件を明確にする

 販売する商品によっては、返品や交換をユーザーから求められることがあります。例えば、衣類であれば「サイズが合わない」「イメージと異なる」といった理由で返品したいと考える場合もあるでしょう。

 そのため、返品や交換のルールが不明確だとカゴ落ちにつながってしまう可能性があります。あらかじめ返品や交換の条件を明らかにして、ユーザーの安心感につなげてみましょう。

6.入力フォームのアシスト機能を追加する

 購入手続き中にエラーやクラッシュが起こってしまえば、カゴ落ちの原因となります。何度も同じ入力を行うのは手間がかかるため、サイトを離脱してしまうでしょう。

  必要な対策としては、入力フォームにアシスト機能を追加することです。どのように入力すればよいかをあらかじめ示しておくことで、ユーザーが入力画面で戸惑うことを防げます。

 また、セールなどでアクセスが集中するときは、サーバーの機能強化が必要です。どの程度の訪問者数があるかを予測したうえで、対策を講じるようにしてみましょう。

7.セキュリティ対策を強化する

 ECサイトでは個人情報を取り扱うため、セキュリティに懸念があるサイトは敬遠されがちです。特にクレジットカードで決済を行う場合には入力をためらってしまい、カゴ落ちの原因につながりやすくなります。

 個人情報を入力するページのSSL対応が必要であり、入力した情報を暗号化して通信できるようにしておきましょう。

カゴ落ちメールとは?

 カゴ落ちは一度発生したからといって、その後に改善できないわけではありません。カゴ落ち対策として有効な「カゴ落ちメール」について紹介します。

カゴ落ちメールを配信する意味

 カゴ落ちメールとは、「カゴの中の商品をお忘れではありませんか?」といったメールを送ることを指します。メールを送信する理由は商品の購入につなげるためであり、一見地味に思える方法ですが、カゴ落ち対策として効果的です。

 カゴの中にある商品を値下げするなどすれば、ユーザーが購入を判断するための後押しとなるでしょう。

メール配信を行うための方法

 カゴ落ちメールが有効だと分かっても、多くのユーザーに対して1通ずつメールを送るのは大変な作業だと言えます。そのため、カゴ落ちメールを送る際はMAツール(マーケティング・オートメーションツール)を活用してみるとよいでしょう。

 ユーザーに対してどのようなアプローチを行えているかを視覚的に判断できるので、効率良く必要な施策を実行できるはずです。

まとめ:顧客目線でECサイトを改善しよう!

 カゴ落ちが起こったままの状態を放置することは、ECサイトを運営する事業者にとって売上を得る機会の損失につながります。カゴ落ちが起こる原因はさまざまあるので、自社のECサイトをチェックしたうえで、必要な対策を講じていきましょう。また、MAツールを使ってカゴ落ちメールを送信することも大切です。地道なアプローチを重ねていき、売上アップにつなげてみましょう。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
今さら聞けないEC知識連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

ECzine(イーシージン)
https://eczine.jp/article/detail/10377 2023/06/14 17:46

Special Contents

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング