矢野経済研究所は、健康食品、特定保健用食品、機能性表示食品に関する消費者アンケート調査を実施し、20代から70代以上の消費者における健康状況、機能食品に対する需要などを分析した。
調査結果概要
同調査では、健康食品(サプリメント)の摂取経験のある20代から70代以上の男女1,200名に対し、身体の状況や、健康食品や機能性表示食品の利用状況について消費者アンケート調査を2020年12月に実施した。事前調査(n=3,424名)において、「健康食品(サプリメント)は摂取したことはない」と回答したのは男性が4割強、女性が4割弱であった。残りの約6割は摂取経験(「現在」、「ときどき」、「必要に応じて不定期に」の回答合算)があったが、現在摂取している人は、若年層(20~30代)の男性が2割弱でもっとも低く、年配層(60~70代以上)の女性が4割弱で摂取している比率がもっとも高い結果となった。
同調査結果では、摂取経験のある1,200名に対し、年齢(20~30代、40~50代、60~70代以上)と性別(男女)の6つに区分し、それぞれを比較分析した。
男性では健康食品の摂取している種類がもっとも多いのは若年層(20~30代)の2.45種類、支出金額がもっとも高いのは年配層(60~70代以上)の3,108円であった。一方、女性では、種類、支出金額ともに年配層ほど高くなる傾向が見られ、1ヵ月平均の支出金額が4,000円を超えている。
また、健康食品の購入場所は、若年層でドラッグストア、薬局・薬店(男性59.5%、女性63.5%)が高いのに対し、中年層(40~50代)以降では通信販売(男性51.5%、女性57.5%)がトップであり、さらに年配層で通販の比率(男性65.0%、女性70.5%)が高くなる傾向が見られる。
健康食品を利用し始めたきっかけとしては、若年層から中年層は男女とも「インターネットで、自分で検索して」がもっとも多く、年配層は男性が「インターネットの広告を見て(30.0%)」、女性が「テレビCMを見て(28.0%)」がトップである点が対照的である。また、年配層の女性でも第2位が「インターネットの広告を見て(24.0%)」であり、在宅時間が増えて、インターネットを見る機会が増えるなかで、年配層においてもインターネット広告を契機に健康食品を購入する機会が増えていることが示唆される結果となった。
健康食品を摂取する目的に関しては、「免疫力の向上」が男性の若年層(20.5%)と年配層(24.0%)、女性の年配層(24.5%)と2割を超えており、コロナ禍において免疫に対する関心の高まりを示している。
注⽬トピック
機能性表示食品は、腹囲周囲径、整腸に関する機能性表示への関心が高い
健康食品(サプリメント)の摂取経験のある男女1,200名のうち、機能性表示食品を週1回以上摂取しているのは、若年層男性(56.5%)がもっとも高く、次いで中年層男性・年配層女性(いずれも47.5%)、年配層男性(45.0%)と続いた。男性の摂取率が高い傾向が見られ、特に若年層ほど割合が高いのが特徴である。また、女性は年配層において5割弱とほか世代よりも突出して高い。
機能性表示食品の機能性表示への関心は、男性が各世代とも腹囲周囲径(おなかの脂肪)や体重減少(若年層35.5%、中年層37.0%、年配層31.5%)、腸内環境への関心(若年層32.0%、中年層26.5%、年配層26.5%)が高く、女性は腹囲周囲径や腸内環境のほか、年配層で骨の健康維持(33.5%)がトップであり、骨粗鬆症に対する関心の高さが明らかになった。
なお、関心のある機能性表示食品であれば摂取する意向を示す割合が男女ともにもっとも高く、各世代において男性で4割から5割、女性で5割から6割の割合に達する結果となった。
調査概要
- 調査期間:2020年12月
- 調査対象:健康食品を現在、あるいはときどき、必要に応じて不定期に摂取している20代〜70代以上の男女1,200名(年代、性別ともに均等に配分し、各年代200名、男女別600名の合計1,200名)
- 調査方法:インターネット消費者アンケート調査