JALでは、ウェブサイトで空席情報や運賃情報を含めた航空券の予約システムを提供。ユーザーが空席照会や座席予約をすると、外部予約エンジンサービスへのリクエストが発生し、その量に応じてJALへの課金が発生する仕組みになっていた。
訪日外国人需要の高まりで、サイトを通じた航空券の売上が伸びる一方で、価格比較を目的として空席や運賃情報を照会するだけで、購入に直結しないボットによるアクセスも増加し、外部へ支払う課金が大きな負担になっていた。
それに対し、JALではさまざまな対策を施したが、ボット側が対策を察知してアクセス元を次々に変えるよう進化したため、効果は限定的だった。そこで、アカマイの「Bot Manager」の採用に至る。
Bot Managerは、ウェブサイトにアクセスする多様な種類のボットを効率的に管理するサービス。良性ボットと悪性ボットを識別するポリシーや、悪性と判断したボットに対する対応を柔軟に設定できる。また、単にブロックするだけではなく、代替サイトから擬似回答するなど、ボットの性質に応じて最適な対処を実施し、ボットトラフィックがビジネスとITに与える影響を適切に制御する。
JALのIT企画本部 IT推進企画部 顧客・eコマースグループマネージャー恩田和哉氏は、以下のようにコメントしている。
「アカマイは試用期間に蓄積した膨大なログを分析してボットの挙動を確認しながらチューニングをくり返してボットの検知精度を高めていき、全アクセス数の約86%のトラフィックをボットが占めていたことを把握することができました。そしてボットにより発生していた無駄なリクエストが無くなった結果、外部サービスの課金を59%削減することに成功し、数年来の課題を解決することができました。プロジェクトを何とか成功させたいというアカマイの熱意、そして、見えないボットを可視化しようという熱意が大きな成功に繋がりました」