CCCマーケティング総合研究所は、2021年11月より官公庁や自治体向けの新たなコンサルティングサービスをスタート。その一環として「農水産物の産地イメージに関する調査」を実施した。
2019年度「生産農業所得統計」(農林水産省)の主要な農水産物から産出額の高いものを中心に44品目を調査対象産品とした。今回、44品目の中から「有名な産地が複数ある」かつ「有名な産地が東西区分に分布している」農水産物の例として「ねぎ」(玉ねぎを除く)と「メロン」についての結果を発表した。
生活者が最も思い浮かべる産地イメージ“ねぎ”は「群馬県」、“メロン”は「北海道」
全国47都道府県の男女9,143人を対象に「ねぎと言えば、〇〇県?」と聞いた結果、「群馬県」が19.6%とトップとなり、続いて「埼玉県」19.0%、「京都府」13.1%という結果になった。 また、「メロンと言えば、〇〇県?」と聞いた結果では、「北海道」が55.3%、続いて「茨城県」16.3%、「静岡県」7.2%という結果となった。
ねぎの上位3府県には、有名な銘柄が存在しており、群馬県には「下仁田ねぎ」、埼玉県は「深谷ねぎ」、京都府は「九条ねぎ」など、すぐに思い浮かべられる産品ブランドが多かった地域がイメージとして挙げられたと考えられる。
同様に、メロン上位の北海道では、「夕張メロン」「富良野メロン」「らいでんメロン」、茨城県では「アンデスメロン」「イバラキング」など数多くの種類が生産されており、静岡県は「一木一果」と呼ばれる方法で栽培されている「クラウンメロン」などが有名である。産地イメージ上位の産品ブランドには、産地の地域名がブランド名に入っていることが多く、生活者の産地イメージにも影響を与えていると考えられる。
東日本と西日本で異なる“ねぎ”の産地イメージ。“メロン”は東西共通の結果に
全国47都道府県を東日本、西日本に分けて、それぞれの在住者別に産地イメージをみた結果では、東日本在住者は「ねぎ」と言えば、「埼玉県」が29.5%と最も多く、続いて、「群馬県」24.8%、「京都府」6.8%という結果となった。また、西日本在住者では、「京都府」20.3%、「群馬県」13.7%、「埼玉県」7.0%の順となっており、「ねぎ」は東と西に分けると順位が全国順位と入れ替わっている。
一方、「メロン」は全国・東西区分共に同じ都道府県が並ぶ結果となっており、全国的に共通の産地認識を生活者が持っていると言えそうだ。
“ねぎ”の産地イメージ、地域別でも上位は「群馬県」。中部・近畿がイメージの分かれ道
「ねぎ」について全国を8つの地域に分けて細かく分析した地域別の結果では、中国地方を除いて、各地域の上位3位までの都道府県は、順位は異なるものの「群馬県」・「埼玉県」・「京都府」で占めている結果になった。
3府県別にみると「群馬県」は、全国すべての地域別ランクで2位以上を確保しており、全国的にねぎと言えば群馬県の認識が生活者についていると言えそうだ。
また、「埼玉県」では、中部以北では2位以上を確保しているが、近畿以西では3位以下となる。「京都府」は、西日本全域で1位を確保しているが、東日本においては3位となっており、産地エリアによる影響力は、東西エリアで異なる傾向がみられる。
“ねぎ”のイメージ1位「群馬県」の産出額は全国7位。産出額と直結しない産地イメージ
産地イメージと実際の産出額を比較してみると、産出額が産地イメージに直結していないことがわかる。 ねぎの産地イメージ(全国)1位の「群馬県」は、産出額としては全国7位となっており、産出額に比べて生活者の産地イメージが顕著に高く、産品ブランディングに成功していると言える。また、前述の東日本・西日本在住者別や8つの地域別の分析結果においても上位3位までに「群馬県」は位置しており、全国的かつ平均的に「群馬県=ねぎの産地」という認識の定着が浸透していることがうかがえる。
一方、ねぎの産出額の視点からみると、産出額が最も高いのは「千葉県」だが、産地イメージ(全国)では4位となっており、千葉県はねぎの産品ブランディングに可能性が感じられる結果に。
メロンにおいても同様に産出額と産地イメージのギャップが伺え、産地イメージ1位の「北海道」のメロン産出額は3位であり、産出額2位の「熊本県」の産地イメージは5位という結果になった。
調査データ概要
①都道府県に関する調査より~農水産物の産地イメージ調査抜粋
- 調査対象:全国のT会員20代~60代男女 9,143名
- 調査方法:インターネットによるアンケート調査
- 調査期間:2021年3月22日(火)~3月29日(月)
- 実査機関:CCCマーケティング株式会社 本レポートで使用した農水産物の産地イメージの回答サンプル数は、ねぎ4,604人、メロン4,539人