TikTokは15~180秒程度の短い動画を手軽に作成して投稿できる動画プラットフォームです。ユニークな動画を誰でも簡単に作れる環境が整っているので、世界的にユーザー数が増加傾向にあります。
また、TikTokには広告を出稿できる機能が備わっており、マーケティング施策としてTikTok広告を積極的に活用している企業も増えています。 この記事では、TikTok広告の種類や特徴、費用などを詳しく解説します。
TikTokとは?
TikTok広告について理解するには、まずTikTokの基本的な特徴や広告を出稿する効果について把握しておく必要があります。それぞれのポイントを解説します。
TikTokの基本的な特徴
TikTok(ティックトック)は、2016年に中国のバイトダンスからリリースされたアプリです。ショートムービーの投稿や視聴が手軽に楽しめることから、10~20代のユーザーを中心に世界中で多くの利用者がいます。
正確なユーザー数は公式サイトでは公開されていませんが、2021年9月時点の推計では世界で約10億人を超えるユーザー数を抱えており、国内の月間アクティブユーザー数は1,690万人程度とされています(2021年8月時点)。
国内月間アクティブユーザーが3,300万人(2019年3月時点)のInstagramや4,500万人(2017年10月時点)のTwitterと比較すると、やや少ない傾向が見られますが、TikTokは新興SNSとして日本だけでなく世界中で利用者数を伸ばしています。
TikTokは基本的に15秒の短い動画をメインとしたSNSですが、2021年7月からは最長3分までの少し長めの動画も作成できるようになっています。
アプリに動画編集機能が備わっているので、直感的に動画を作成して投稿でき、さまざまなジャンルの動画が日々投稿されているのが特徴です。
TikTokで広告を出稿する効果
TikTokは利用者数が多いアプリであるため、自ずと広告の露出も多い傾向が見られます。広告配信においてAIアルゴリズムが使用されており、精度の高いターゲティングが行える点に特徴があります。
また、投稿に対するユーザーの反応が良く、商品やサービスの利用といった購買行動につながりやすいといえるでしょう。 さらに、アクティブユーザーが多いため、広告そのものに関心を抱いてもらいやすいという特徴もあります。
TikTok広告の種類と費用
ひと口にTikTok広告といっても、目的別にいくつかの種類があるので特徴を把握したうえで上手に活用することが大切です。ここでは、広告の種類と費用について解説します。
起動画面広告
「起動画面広告」とは、TikTokを起動したときに表示される音声なしの広告のことです。アプリを立ち上げたときに真っ先に目に入ってくる広告なので、ユーザーに見てもらいやすいといった特徴があります。
広告内にリンクを設置することが可能であり、自社のWebサイトにうまく誘導することもできます。広告が1,000回表示されると770円課金される方式で、起動画面広告は1日1社の配信に限定されています。
出稿内容によりますが、相場としては一度の配信で500〜600万円程度でしょう。
インフィード広告
「インフィード広告」は、TikTokの投稿欄の「おすすめ」に表示される広告を指します。「いいね」やコメントを得られるため、ユーザーの反応を確認しやすいのが特徴です。
また、広告そのものをシェアすることができ、普通の投稿と同じように表示されるので、ユーザーから敬遠される可能性も低いといえるでしょう。
費用についてはプランによって異なりますが、50万円程度から出稿可能です。
インフィード広告は3種類に分けられ、それぞれ特徴が異なります。主なポイントについてまとめると、次のとおりです。
Top View | Brand Auction | OneDayMax | |
---|---|---|---|
特徴 | アプリ起動時と、最初のインフィード動画として表示される15秒の音声付き広告 | 最長60秒のフルスクリーンで表示される音声付き広告 | 最長60秒のフルスクリーン音声付き動画をおすすめフィード4投稿目に表示 |
費用 | 625万円程度 | 42万円程度 | 300万円程度 |
活用法 | 新商品の紹介、イベントやキャンペーンの告知 | LPやアプリストアへの誘導に適している | ブランドの認知度向上 |
広告の種類によって費用や使い方に違いがあるので、広告を出稿する目的に合わせて活用しましょう。
ハッシュタグチャレンジ広告
「ハッシュタグチャレンジ広告」とは、ユーザー参加型の広告という特徴があります。
まず企業がテーマとなるハッシュタグを用意し、ユーザーがそのハッシュタグに沿った動画を作成して投稿することから、ハッシュタグチャレンジ広告と呼ばれています。
ユーザーが主体的にチャレンジする仕組みの広告なので、企業とユーザーとの間に一体感が生まれやすいといえます。 費用は期間契約で、利用するプランによってコストが異なりますが、相場は1,000万円〜となっています。
TikTok広告のターゲティング
TikTok広告は年齢や性別、住んでいる地域などのユーザー属性から、ターゲットを絞り込んで広告配信が行えます。広告効果を高めるには、自社のペルソナに沿ったターゲティングを行うことが重要です。
TikTok広告で行えるターゲティングとしては、次のものがあげられます。
- 性別、年齢、地域、言語
- 使用しているOS、デバイスの種類、通信環境、キャリア
- 興味関心カテゴリ(教育・旅行・ペット・金融・ファッションなど)
- 行動(『いいね』を押したユーザー、フォローしているユーザーなど)
- カスタムオーディエンス(顧客データなど)
また、カスタムオーディエンスに基づいた学習をAIが行い、解析結果から類似したユーザーに対して広告を配信する「類似オーディエンス」という機能も備わっています。
ターゲティングを細かく行うほど、より精度の高いアプローチが可能になるので、自社のペルソナをきちんと設定して効果的にTikTok広告を運用してみましょう。
TikTok広告を始める手順
TikTokで広告出稿をスムーズに行うには、基本的な流れを把握しておくことが大事です。ここでは、広告アカウントを作成するところから解説します。
広告アカウントの登録
TikTok広告を始めるには、TikTok For Businessの公式サイトにアクセスして、画面に表示されている必要事項を入力します。入力が必要な項目は、メールアドレスか電話番号とパスワードです。
認証コードが送られてくるので正しく入力し、利用規約同意にチェックを入れて「登録」をクリックします。
次の画面で「国/地域」「登録タイムゾーン」「アカウントの通貨」を選択後、アカウント名と電話番号を入力します。利用規約をチェックし、「登録」をクリックすれば、広告アカウントの登録は完了です。
ビジネス情報の登録
広告アカウントの作成が済むと、TikTok広告マネージャーの画面にアカウントの設定画面が表示されるので、ビジネス情報の登録に進みます。
まずは、「プロモーションリンク」の欄にプロモーションを行いたいサービスのURLを入力します。ちなみに、プロモーションリンクは運営側が広告内容を把握するための項目であり、広告の遷移先ではないので注意しましょう。
次に、「業界」欄で該当する業界を選択し、住所を入力します。住所は領収書などに記載されるため、企業所在地を正しく入力しましょう。
続いて、「代理店」または「広告主」を選ぶプルダウンで該当項目を選択し、課税情報(日本法人は記載不要)を入力します。 2つの支払いタイプ(自動決済/前払いの手動決済)から選択し、決済カード情報を入力すれば、ビジネス情報の登録は完了です。
すべての情報を入力すると、アカウントの審査が行われます。審査は最短1営業日ほどで完了し、審査を通過することでTikTok広告の出稿が行えるようになります。
入札方式について
TikTok広告で出稿する際の入札方式はおもに4つあります。広告を配信する目的によって入札方式は異なるので、どのような違いがあるのかをおさえておきましょう。
4つの入札方式についてまとめると、次のとおりです。
入札方式 | 課金されるタイミング | 計算方法(表示回数1,000回あたり) | 広告配信の目的 | ポイント |
---|---|---|---|---|
CPM(インプレッション課金型) | インプレッションが発生するたび | コスト÷インプレッション数×1,000 | リーチ | 設定した予算に応じて、できるだけ多くのユーザーにリーチする |
oCPM(最適化インプレッション課金型) | インプレッションが発生するたび | コスト÷インプレッション数×1,000 | アプリのインストール、CV | アプリのインストールまたはCVの可能性が高いユーザーに対して広告配信 |
CPC(クリック課金型) | クリック1件ごと | コスト÷クリック数 | トラフィック、アプリのインストール、CV | クリックしてくれる可能性が高いユーザーに広告配信 |
CPV(再生課金型) | 2秒・6秒・最後まで視聴 | コスト÷視聴回数×1,000 | 動画の視聴数 | 動画の再生回数を最大限に高める |
TikTok広告の成功事例を紹介
TikTok広告で成果を出すには、すでに導入している企業の事例を知っておくことが大切です。ここでは、各社の事例を見ていきましょう。
コーセー
化粧品の製造・販売を行う株式会社コーセーはTikTok for Businessと連携して、新しいアイカラーの発売に合わせて、質感や色味を疑似的に体感できる「ヴィセパノラマアイズ」を共同で開発しました。開発したブランドエフェクトは、アイパレットの全5色の質感や色味をリアルに再現しており、パノラマエリアと呼ばれる新しいアイメイクを体験できるのが特徴です。
まばたきをすることでアイカラーの色が変わり、TikTok上で全5色を試すことができます。商品を選ぶテスターの代わりとなる活用が狙いであり、CMの世界観も体感できるユニークな取り組みを行っています。
三重県観光連盟
三重県観光連盟とTikTokの人気クリエイター、TikTokが連携をして、地域活性化のための取り組みを行っています。三重県の観光事業を盛り上げることを狙いとしており、三重県の魅力を発信する動画の制作、投稿を進めました。
三重県各地の観光地や名産品の紹介などを行っており、幅広い世代に対して積極的な情報発信を行っています。新型コロナウイルス感染症の拡大によって、観光事業は厳しい状況が続いているため、県内の市町や観光協会、事業者とも連携しながら三重県の魅力を伝え続けているのが特徴です。
将来的に観光客として訪れてほしいユーザーに対して、三重県の認知度を高めるための取り組みとしてTikTokを媒体として選んでおり、人気クリエイターとのコラボによってリーチを広げています。
BAKE
潮風レモンチーズタルトなどのお菓子を製造・販売する株式会社BAKEでは、TikTok広告を活用して将来の顧客層となる潜在層への認知度を高める取り組みを行いました。既存顧客は30~40代の女性であるものの、将来の顧客を獲得するために10~20代の男女に向けたアプローチとして、TikTok広告を配信するに至りました。
動画の冒頭3秒間でブランドへの訴求力を高めるために、ブランドロゴを表示させているのが特徴で、商品に瀬戸内産のレモンを使っているため、瀬戸内を舞台にしたストーリーの内容となっています。
動画を作成する段階から、TikTokの縦型の画角に合わせた動画を作成し、予想を上回るリーチ数の獲得に成功しました。
動画のクリック数も目標を達成し、ほかのブランドについてもTikTok広告を活用することを検討しています。
TikTok広告を効果的に運用するポイント
TikTok広告で効果を出すためには、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。ここでは、TikTok広告を効果的に活用するための3つのポイントを解説します。
冒頭3秒でユーザーを惹きつける工夫が必要
TikTokは動画がメインであるため、広告展開においてもインパクトのある映像を用いることが欠かせません。最初の3秒程度で興味を持ってもらえなければ、離脱される可能性が高くなるでしょう。
工夫としては、ユーザーの関心を引きつけるタイトルを設定したり、アップテンポなBGMを用いたりすることが考えられます。投稿に対するユーザーの反応を見ながら、繰り返し改善していくことが大切です。
ターゲットを絞り込み過ぎない
TikTok広告の配信において、ターゲティングは重要なポイントですが、はじめからターゲットを絞り込み過ぎてしまうと配信数が減少するので注意が必要です。何となく設定するのではなく、オーディエンスの分析結果からターゲティングを細分化することが推奨されています。
ある程度のリーチを獲得してから配信内容に合わせてターゲットを絞っていくと、効果を出しやすいでしょう。
わかりやすいアクションを提示する
ユーザーの関心を引きつける広告を配信することは大切ですが、単に楽しんでもらうだけではCVにはつながりません。ユーザーに対して、次にどのようなアクションを取ってもらいたいかを動画内で具体的に提示しましょう。
たとえば、「商品をチェック」「1分で無料診断」などのわかりやすい文言が表示されれば、ユーザーも次の行動に移りやすくなります。 CVになかなかつながらないときは、ユーザーに対するアクションを見直してみてください。
まとめ:TikTok広告の特徴や種類を把握して運用効果を高めよう
TikTokは手軽に利用できるアプリということもあり、世界中で多くのユーザーに利用されています。TikTokのユーザー層と自社商材のターゲット層が重なる場合は、TikTok広告によって商品やサービスの認知度を高めたり、ブランド力を強化したりしてみるとよいでしょう。
TikTok広告にはいくつかの種類があるので、自社に合ったものを選んで運用していくことが大切です。ユーザーの目を惹く広告を作成して、多くのファンを獲得しましょう。