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中国越境EC第一人者にしてリアル店舗あり キリン堂&アリババ・ジャパンに聞く、天猫国際とインバウンド

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2015/12/25 08:00

まだ成功法則が見えない「越境EC」は、EC事業者とそれを支援する事業者の二人三脚が必要です。先進企業の事例に村山らむねさんが迫ります。今回は、天猫国際での成功の秘訣と、インバウンド観光との循環について、引き続きキリン堂さん、アリババ・ジャパンさんに伺います。

この記事は後編です。前編はこちら↓
「独身の日」4億5,000万円突破!キリン堂&アリババ・ジャパンに聞く、商品と組織

中国でECはメインディッシュ マインドが成否を決める

村山らむね 天猫国際について、詳しくお聞きしたいと思います。キリン堂さんがお使いのプランは、カスタマイズプランとのことでした。基本的な料金体系を教えていただけますか?

木村(アリババ・ジャパン) 企業様のご商材やご状況に応じてサービスをカスタマイズしてご提供するため、一律の料金プランはございません。天猫国際へ支払う補償金が年間15万元(約300万円)、年間手数料がカテゴリによって変わりますが、5,000~10,000ドル(約60~120万円)、その他販売額に応じた手数料、初期費用、運用料金などを頂戴しております。

村山らむね 天猫国際は、天猫とは異なり、現地法人を作らずとも出店できるんですよね。

木村(アリババ・ジャパン) はい。ですが今は、世界各国の企業からお問合せが殺到している中、中国でニーズが高いブランドをお取扱いの企業様から優先的に出店できるようになっているため、あいにく日本の中小企業様が必ずしも出店できるとは、お約束できない状況です。

村山らむね 今、出店希望が殺到しているでしょうからね。天猫と天猫国際とでは、消費者に違いはありますか?

呉(アリババ・ジャパン) そもそも天猫国際は、中国にいながら海外の商品を購入できるプラットフォームなので、海外の商品を購入したいお客様がいらっしゃいます。特徴としては、天猫よりも年齢層が若いこと。80年代後半~90年代で、海外で流行したものへのニーズが強いです。それも、日本で、去年、一昨年売れたものではなく、まさに今、日本で人気があるものを欲していらっしゃいます。

伊藤(キリン堂) 当社のお客様もお若く、スマホから購入されますね。でも、スマホが多くなってきたのは、本当にここ最近のことです。1年前の「独身の日」の比率は、PCとスマホの割合が1対1でした。それが今年は、スマホ経由が70~80%を占めている。

自宅にパソコンを持っていない人が、会社の休み時間にPCを使い、友達とのグループ購入で送料無料の金額にしていたのが、個人がスマホで購入するようになっているんだと思います。中国に行っても、新聞を読んでいる人に会いませんからね。皆スマホを見ていて、そこから情報収集しているようです。

村山らむね 日本で今まさに流行しているモノについて、どこから情報収集されるのでしょう。

呉(アリババ・ジャパン) Amazon.co.jpや楽天市場も見に行きますし、WeChatや微博で拡散されるスピードは、日本より早いくらいです。

村山らむね 日本から中国への越境ECでは、アリババさんのほか、京東集団も頑張っておられます。御社からは言い難いかもしれませんが、アリババさんとの違いを教えていただけますか。

呉(アリババ・ジャパン) アリババは圧倒的ナンバーワンで、中国EC市場の8割のシェアを持っています。京東さんは、これまでアリババがやってこなかった、メーカー直販モデルを提供されて、残りのシェアを獲得されたのかなと。アリババグループでも、今年8月に中国家電小売り最大手の「蘇寧電器」様と戦略的提携を発表させていただいて、家電のオフラインの対応も含めて強化しています。

アリババは、市場を切り拓いて新しいものを生み出す会社です。越境ECについても、アリババと、キリン堂さんのようなリスクを恐れず挑戦してくださった出店者様と、一緒に大きな市場を切り拓いてきました。今後も、ナンバーワンの会社として、新しい市場を切り拓いていくでしょう。

さらに、天猫国際が「独身の日」1日で売り上げた金額は、中国の他の越境ECプラットフォームが1年間かけて売り上げる金額に匹敵するものです。どちらと一緒にやりますか?と、問いかけたいですね。

株式会社キリン堂 新規事業開発部・通販ネットビジネス部長 伊藤雄喜さん

村山らむね 挑戦的ないいお言葉をいただきました。今後、日本の小売やメーカー企業が中国に進出する際に、どうしたらキリン堂さんのように成功できるか、ポイントを教えていただけますか?

呉(アリババ・ジャパン) テクニックよりも、マインドのほうが重要だと考えています。というのも、日本やアメリカでは、デパートやスーパー、コンビニが周囲にあって、ECはデザートのようにしか思われていない。「ECもやるか」という感じですね。

一方中国では、ECがメインディッシュです。2014年の中国の小売市場のうち、アリババのシェアが10%を占めました。それほどECが、流通総額が多いプラットフォームなんです。

中国の小売のメインディッシュ、ど真ん中の主戦場で勝負するという覚悟を持って臨んでいただくのが、まず大前提です。組織としては、キリン堂さんのような社長直結の、即決できる組織で臨んでいただくのが、いまの中国市場には合っていると思います。

木村(アリババ・ジャパン) 今の中国小売市場においては、ECは、スーパーや百貨店の流通額よりも大きくなっています。多くの日本企業様が、「越境EC、トライしてみてうまくいったらいいな」といった、トライアルの気持ちでいらっしゃるのですが、そういった姿勢ですと、中国のシビアなお客様の要求に、太刀打ちできないかなと思います。

良い商品を、適切な価格で、良いサービスで提供できている企業様が、規模や知名度にかかわらず、成功されています。人や在庫のリソースを、どれだけ中国に向けて割けるか。事業部の方だけでは解決できない問題があると思いますので、トップの方の関与が必要かなと。

村山らむね 呉さんから見た、日本の良いところ、残念なところを教えてください。

呉(アリババ・ジャパン) 良いところは、30元、50元くらいの商品に100元の価値があるところです。中国では、1元のものは1元の価値、100元のものは100元の価値で、本当に良いものが欲しかったら、お金を出しなさいという考えかたなんですね。日本のドラッグストアで販売されている商品は、値段以上の価値がある。そんな商品を生み出せるのは、日本の良いところだと思います。残念なところは、社会や組織が成熟してきていますので、意思決定のプロセスが遅くなっているところでしょうか。キリン堂さんは違いますが。

村山らむね スピーディーな即決が必要だというお話がありましたね。呉さんから見ると、日本企業は決断が遅いと。

呉(アリババ・ジャパン) 中国のネット企業で、創業者が決断しているところと比べると、少し遅いかなと感じます。一方で、時間はかかりますが、正しい決断をする確率は、格段に高いとも思います。

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