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越境EC物語

「ホンモノの日本茶の味を海外に届けたい」150年続く老舗お茶メーカーの越境EC物語


架空の企業が独自サイトを主に越境ECに取り組む物語をお届けします。第1回は、150年続く静岡の老舗お茶メーカーが登場です。この物語はフィクションですが、越境ECを考える事業者さんのお役に立つヒントが何かしらあるかと思います。

創業150年、年商2億の日本茶メーカーが越境ECをやるなら

 A山B太郎、28歳です。実家は静岡で、お茶の製造・加工・販売、県内に自前の畑・製茶場・自社店舗を持っています。創業150年、地元の決まった企業から、贈答品等の目的で毎年お買い求めいただき、年商は2億円程度です。

 いずれ家業を継ぐことは決まっていたため、少しでも外の世界を見ようと、大学卒業後、1年間アメリカに留学しました。現地で知ったのは、“green tea”と名前がついた商品はあっても、「本物のお茶」を売っていないこと。実際は、中国・台湾製のモノばかりです。これが日本茶として嗜まれているのです。

 その経験から、「いつか本物の日本茶の味を世界に届けたい」と強く思いました。就職先にネット企業を選んだのは、インターネットなら国境を越えられるとの期待を漠然と持っていたからかもしれません。当時は、“越境EC”という言葉さえ知りませんでしたが。

 ネット企業を退職し、実家に戻ると、父親である代表からネット事業をすべて任されました。ホームページのリニューアルや、楽天市場に出店するなどして国内でのネット通販をひととおり終え、今年からいよいよ海外販売に取り組むことにしました。

 とはいえ、どうやって海外販売をすればいいのでしょうか。現地の代理店・販売店を探すにも、何を調べればいいかわかりませんし、そもそも、英語の商品カタログも作っていませんでした。時間やコストを考慮すると、まずは英語の越境ECサイトを作るのがよいのではと思いつきました。

 前職のネット企業でできたツテをたどり、信頼できそうなECコンサル会社を紹介してもらえました。話し合いを重ね、魅力ある独自サイトを作り、eBay等のグローバルマーケットプレイスで販売実績を積みながら、ソーシャルメディアで情報発信して、日本茶の本来の淹れかた・嗜みかたを伝えていくことが必要だというところに至りました。同時に、健康志向を持つ海外の方々に、ヘルシーな飲み物としての日本茶の認知度を高めていく……というわけです。

 越境ECをするといっても、当社の海外販売で目指すもの=最終ゴールは、BtoB(法人)取引です。当社の商品は、BtoCで1個1個販売するのではコストがかかりすぎますし、継続性のあるビジネスにはなりにくいです。それに原点に立ち返ってみれば、日本におけるビジネスもBtoBなのでした。このあたりは、ブームに乗ってしまうと意外と忘れがちだと思います。

越境ECのステップ1:サイト構築サービスを選定する

 そうと決まれば、カートシステムの選定から始めます。ECコンサル会社と相談しながら自分で勉強し、オープンソースの『Magento』か、独自サイト用サービス『Shopify』のいずれかで検討しました。

 国内の独自サイトはASPカートを使っていたのですが、新しくサイトを作る際には、もっと操作性の良いものに変更したいと考えていたからです。残念ながら国内のASPカートは、海外のサービスと比較すると、制作と維持にかかるコストが高く、操作性・拡張性もイマイチだといわざるを得ません。

 『Magento』か『Shopify』か。日本のサービスに無理やり置き換えると、『EC-CUBE』か有料版『BASE』かというところでしょうか。社内、というか自分自身でも手を動かしてメンテナンスしていくことを考え、『Shopify』を採用することにしました。

 『Shopify』は月間の維持コストとしては、利用料金のUS$29ドル+商品販売時に発生する約3%の販売手数料。それに有料のデザインテンプレートを採用し、メールやソーシャルメディアなど、マーケティング系のプラグイン(拡張機能)をいくつか追加しました。

 さて、いよいよサイト構築にあたり、これまで相談してきたECコンサル会社では、アドバイスに物足りなさを感じるようになってきました。そこで、海外販売に詳しい制作会社を探すことにしました。

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この記事の著者

ジャパンコンサルティング株式会社 代表取締役 佐藤亘(サトウ ワタル)

1972年北海道出身 株式会社ビジョンの取締役を経て35歳の時にバックパッカーで世界40ヶ国を巡る旅へ。 約1年の旅の中で日本製品の需要と評価の高さを実感する。帰国後、「日本と世界をつなぐ仕事」をしたいと言う思いから、ジャパンコンサルティング株式会社を設立。海外販売・海外WEBマーケティング、販路開拓をさま...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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