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ECサイトの個人情報はなぜ狙われるのか 「セキュリティは全員参加」アラタナ×さくらインターネット対談

「セキュリティは全員参加」 意識せずともECが使える世界へ

増田(さくら) EC市場は伸び続けており、必ずしもネットやセキュリティに強いユーザーだけがECを利用しているわけではありません。ユーザー側のリテラシーも、情報漏えいなどの問題につながっているのでしょうか。

松野(アラタナ) 2通りの考えかたがあると思います。1つは、ネットショッピングをするユーザーの母数が増え、個人情報の価値が高くなっているというもの。もう1つは、これまでも被害はあったけれど、検知されていなかった。それが表に出てくるようになったという考えかたです。

 どちらにしても、リスクの部分だけに焦点が集まり、ECを利用する人、ECサイトを開設・運営する人が減ってしまうのは悲しいことです。ECは本来、とても便利なものですから。

 その便利さを享受するためにも、「セキュリティは全員参加」という意識を持つべきだと考えます。ECサイトが100あるうち、1つでもセキュリティ対策がとられていないサイトがあるだけで、先に述べたような被害が起こり得ますし、それが原因でECから離れてしまう人が出てくるでしょう。

増田(さくら) 「セキュリティは全員参加」、いい言葉ですね。そのためにはセキュリティへの啓蒙活動と、導入ハードルを下げることが重要だと考えています。

 そこで今年2月から、「さくらのSSL」のラインアップの1つとして、「SureServer for SAKURA」という新サービスの提供を始めました。特徴としては、コスト面での導入ハードルを下げるため、クラウドサービスのように月額制の料金体系を設けたことです。SSLサーバ証明書の契約は、年間単位で数万円というプランが多いのですが、先に述べたとおり、まだ何も起きていないのにそのコストは高い、と感じられる方も多いはずです。月額制にすることで、スタートアップなどこれからビジネスを拡大していきたい方が、「とりあえず始めてみよう」と思えるようにしました。

 もう1つの特徴として、エンジニアの負担を減らすため、有効期間を最長にしています。業界の決まりとして、数年に一度更新しなければならないので、できるだけその手間を減らして差し上げたい。そこで、通常の企業認証なら3年、EV認証なら2年と最長にして、月額の支払いでもこの有効期間は変わりません。ご自身での設定が難しい場合は、当社で代行することも可能です(別料金)。

SureServer for SAKURA ラインアップ
プラン名称 月額(税込) 認証レベル 有効期間 ライセンス
SureServer EV for SAKURA 4,860円 EV SSL 2年間 サーバ台数無制限
SureServer for SAKURA 3,780円 企業認証SSL 3年間 サーバ台数無制限

松野(アラタナ) SSLの導入は、ECサイトのセキュリティを考えるうえで基本中の基本です。役割は、ウェブサイトの運営者のプロフィールを証明する、入力する情報を暗号化するの2つ。サイトのプロフィールを示すことで信頼できるサイトか否かユーザーが判断できますし、情報を暗号化することで盗み見を防ぎます。

 しかしながら、2014年から報道されているように、SSL自体の堅牢性が危ぶまれていて、セキュリティ研究家含め、さまざまなエンジニアが脆弱性を探している状況です。そうなると、機動的な対応が求められるので、料金体系が月額制なら入れ替えも迅速に検討できるでしょうから、選択肢の1つとして有効かもしれませんね。

増田(さくら) 当社にご相談いただく方々の中には、「よくわからないけど、SSLを入れないといけないと言われて」といった具合で、「セキュリティは全員参加」というところまで考えが及んでいない方もいらっしゃいます。松野さんがおっしゃったように、SSLは基本中の基本ですから、まずは月額制で導入していただいて、そこからさらに意識を高く持っていただけるよう、啓蒙していきたいと考えています。

松野(アラタナ) ECシステムの歴史を振り返ると、まず便利な機能だけが先行して実装され、セキュリティが後追いになってしまった。セキュリティが実装されるスピードは加速度的に上がってきてはいるものの、そこにスマートフォンなど新しいデバイスが加わるなどして、混沌としているのが現状です。

 しかしながらセキュリティは本来、当たり前のことです。水が安全に飲める、空気が安心して吸えるのと同じレベルで、誰もがインターネットを安全に使えるようになるのがセキュリティのゴールではないでしょうか。

 そういう安全なECの環境を、さくらインターネットさんと一緒に作っていきたいなと考えています。

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この記事の著者

ワダ スミエ(ワダ スミエ)

2013年11月11日〜2023年3月31日までECzine編集部在籍。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://eczine.jp/article/detail/1804 2015/06/01 15:31

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