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【リアル×オンラインのハイブリッド開催】ECzine Day 2025 October (2025.10.9)

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

ブランド個別の最適化から全体最適へ ネスレ日本が語るファーストパーティデータ活用と組織改革の現在地

 デジタル環境の進化と消費者行動の変化。メーカーにとってもその影響は大きく、近年は各社がオンラインの売り場や顧客接点創出に注力しています。ネスレ日本株式会社は、こうしたチャネルの重要性にいち早く気づき、2010年からオンラインショップ運営を行っていますが、さらに前に進むための大きな変革期を迎えているそうです。本記事では、デジタル&Eコマース本部で検索を含むウェブ体験向上に取り組む陣内洋人氏と、ファーストパーティデータ活用・CRM推進に携わる守安梨紗氏に、同社の現在地と今後の展望について話を聞きました。

データ活用の深化・顧客体験向上に取り組むネスレ日本 デジタル&Eコマース本部

━━本日は、ネスレ日本のデジタル&Eコマース本部に所属するお二人にお越しいただきました。まずは簡単にそれぞれの役割がわかるよう、自己紹介をお願いいたします。

陣内(Web&Experience&Search部) 私は2017年にネスレ日本に入社し、お客様相談室やデジタルマーケティング部を経て、現在はデジタル&Eコマース本部のWeb&Experience&Search部に所属しています。この部署では、ブランドサイト、オンラインショップ「ネスレ通販」など、ネスレ日本が有するすべてのチャネルの検索体験を含めたウェブ戦略の立案と実行を担っています。SEOやユーザビリティ、ブランドエンゲージメントの向上、コンバージョン最適化なども担当領域です。

守安(CRM&Digital Analytics部) 私は中途入社でネスレ日本に入り、10年目になります。現在はCRM&Digital Analytics部で、各ブランドのCRMの戦略立案・実行や、ファーストパーティデータを活用したCRMツールの管理・運用を担当しています。

(写真左から)ネスレ日本株式会社 デジタル&Eコマース本部 Web&Experience&Search部 陣内洋人氏/ネスレ日本株式会社 デジタル&Eコマース本部 CRM&Digital Analytics部 守安梨紗氏

(写真左から)ネスレ日本株式会社 デジタル&Eコマース本部 Web&Experience&Search部 陣内洋人氏

ネスレ日本株式会社 デジタル&Eコマース本部 CRM&Digital Analytics部 守安梨紗氏

━━「デジタル&Eコマース本部」と部門名が掲げられているように、ネスレ日本ではオンライン上の顧客接点の最適化に取り組まれている様子がうかがえます。現在、デジタル変革やデータ活用をどのような方針に基づいて進めていらっしゃるのか、お聞かせください。

陣内 「デジタル変革」というにはおこがましいですが、日々仕事をしている中で、ネスレ日本全体の考え方が「個別最適」から「全体最適」へと変わりつつあるように感じています。

 たとえば、かつてはブランドサイト、Eコマース、オウンドメディアなどそれぞれの担当者が施策を考え実行してきましたが、これだと役割やメッセージの重複、無駄が生まれます。この数年は「これらを見直しましょう」という大きな流れがありました。「デジタル&Eコマース本部」となったここ数年で、特にデジタル施策とEコマースの結びつきは強くなっています。

守安 私の役割も、以前はMAの実装やパーソナライズに向けた環境整備を主としていましたが、2025年7月の組織変更によって、効率的なファーストパーティデータ収集や集めたデータを生かしたCRMにまで業務範囲が広がっています。

 CRMについては、これまでは各ブランドの担当者がリードしていましたが、部署として役割を引き取り、ファーストパーティデータと紐づけながら「戦略」としてどう構築していくか、ネスレ日本なりの最適解を模索しているところです。ブランドごとの最適なアプローチ方法をどうツールに落とし込み、LTVの向上やさらなる顧客理解につなげていくかが私の所属する部署のミッションとなっています。

━━「個別最適」から「全体最適」へ、という背景も踏まえると、使用するツールやシステムの見直しや業務改善も図られているのでしょうか?

守安 従来はブランドごとに独自のツールやシステムを入れていたケースもありましたが、今は統一化が進んでいます。ただ、消費者の特性やブランド側が取りたいアプローチに違いがあるから個別最適がなされていたので、関わる全員がwin-winになる要件を導き出して言語化し、IT部門と連携するのはなかなか大変ではありますね。まだまだ土台を整えている段階です。

陣内 ツールやシステムといった仕組みでの解決も図っていますが、定型業務でもまだまだ人間の手が必要なサイトの制作・更新・運用などは、オフショア移行に向けて動いています。私のいる部署では、フィリピンのマニラに拠点を構えるチームとワークフローの最適化を進めている状況です。

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年間約数千万円分の売上創出につながる“メール施策のアプデ”とは

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。2025年4月1日より、ECzine 副編集長を務める。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/17196 2025/10/02 07:00

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