Amazonのセール「プライムデー 2016」で、Amazonデバイス以外でもっとも売れた商品がカルビーのシリアル「フルグラ」だった。カルビーといえば、「ポテトチップス」「かっぱえびせん」「じゃがりこ」「じゃがビー」など、スナック菓子で不動の人気を誇るが、これらをネットで販売するビジネスはなかなか難しそうだ。しかし同じカルビーの製品である「フルグラ」は、ネットでも継続的なヒット商品となりそうである。その違いとは？ フルグラ事業部事業部長の藤原かおりさんにうかがった。
Amazonプライムデー1日で240万食分以上の売上
2016年7月12日に開催された、Amazonの有料サービス「プライム会員」向けセール「プライムデー 2016」。例年、デジタルコンテンツが視聴できるAmazon製のデバイスが売れ筋となっているが、それ以外の商品で日本においてもっとも売れたのが、カルビーのシリアル「フルグラ 800g×6袋」だった。1日限定のセールで、240万食分以上が売れた計算だ。プライムデーはアメリカ、イギリス、フランス等でも開催されたが、食品が1位となったのは日本だけというのも特徴的である。
穀物を焼いたグラノーラとドライフルーツをミックスしたもので、ヨーグルトやミルクと一緒に食べる。
フルグラのヒットによりご飯やパンに替わる「第3の朝食」として認知されるようになった。
フルグラはすでに、スーパーやドラッグストアなどリアルな場での売れ筋商品となっている。Eコマースでの販売は、2012年から本格的に開始。約4年でフルグラが、ネットで買う定番商品となりつつある理由を、藤原さんは「ミネラルウォーターに似ている」と述べる。
ミネラルウォーターは、ネットのショッピングモールでの売れ筋商品だ。理由は、運ぶのが重く、切らせたら困るもので、まとめ買いするとオトクなように価格が設定されているからである。たしかにフルグラも、ひと袋あたりが800gと重めで、毎日朝食として食べている人にとっては切らせたくないものであり、6袋セットなどまとめて購入するとお買い得な価格になる。「Amazonランキング大賞2016」の食品＆飲料部門では、トップ10のうち8商品がミネラルウォーターで、3位にフルグラがランクインした。
大学卒業後、旭硝子、マッキャンエリクソン、ダノンウォーターズオブジャパンを経て2011年カルビーに入社。
2012年から「フルグラ」のマーケティングを担当、2014年4月より、現職（2017年1月の取材時）。
「Eコマースは、『とくに欲しいと思っていなかったのについ買ってしまう』といったことが起こるように、仕掛けがうまいですよね。Amazonさんのプライムデーは、リアルタイム検索でずっと追いかけていたのですが、『思わずノリで買ってしまった』といったコメントが目に入ってきました。
しかしフルグラは、買って損はない商品です。たとえ衝動買いだったとしても、おいしいと思っていただけるはずですし、手軽に用意できるので時短にもなり、食物繊維も豊富なので健康志向の方にも喜んでいただける。『また食べたい』と思っていただける商品だと自負しています」（藤原さん、以下同）
