矢野経済研究所は、「食品宅配サービス市場に関する調査結果2015」の調査結果サマリーを以下のように発表している。
2014年度の食品宅配サービス総市場規模は前年度比102.9%の1兆9,348億円
2014年度の食品宅配サービス総市場規模(主要10分野合計値)は、前年度比102.9%の1兆9,348億円であった。少子高齢化の進展に伴い、国内の食関連市場が縮小傾向。そのなかで、食品宅配サービス総市場は堅調に推移していることがわかる。
この背景には、共働き世帯の増加やライフスタイルの多様化に加え、高齢者人口の増加に伴い、高齢者の見守りサービスを兼ねた食事や食品の宅配需要が確実に増加していることがある。
また、食料品の購入や飲食に不便を感じるといった高齢者を中心とする買物弱者の増加や、女性の社会進出といった社会的需要もあり、食品宅配サービスは年々その重要性を増している。
実店舗とインターネット通販などを相互活用したオムニチャネル化の動き
市場は堅調に推移しているが、事業者の積極的な参入による業種業態を超える競争の激化や、宅配事業者の値上げ等による配送コストの上昇と配送員不足といった配送に関連する課題もある。
また、実店舗とインターネット通販などを相互活用し、あらゆるチャネルで顧客(消費者)と接点をもつといったオムニチャネル化への対応も求められてきている。宅配以外に店舗での受け取りや店頭での買い物を自宅配送にするなど、都市部を中心に多様な受け取りサービスを希望する消費者が増えている。
こうしたなか、各々の商圏に実店舗を構え、食品や日用品を扱ってきた百貨店や量販店、食品スーパー、コンビニエンスストアなどの小売業がインターネット通販にも進出。また、インターネット通販事業者が実店舗をもつ事業者との連携を図るといった動きもある。食品宅配サービスにおけるオムニチャネル化が活発化していることがうかがえる。
2019年度の食品宅配サービス総市場規模は2兆1,470億円の拡大基調を予測
食品宅配サービス総市場規模は、2019年度には2兆1,470億円に拡大し、2015年度から2019年度の年平均成長率(CAGR)は2.0%推移と予測。
今後も高齢者世帯や共働き世帯、子育て世帯を主要ターゲットに、分野別ではコンビニエンスストア宅配やネットスーパー宅配、在宅配食サービスなどが比較的大きな伸びを示すものと考えられる。
本調査は、2015年4月~6月、配食サービス・惣菜(食材)宅配サービス企業、ファストフード・外食チェーン店運営企業、コンビニエンスストア、生協、量販店、乳業メーカー、食品宅配支援サービス企業、その他関連企業・団体等を対象に、専門研究員による直接面接取材及び電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用で実施された。
本調査における食品宅配サービス市場とは、以下の宅配サービスで日用品、雑貨を除く食品群のみを対象とした。
- 在宅配食サービス
- 惣菜(食材)宅配サービス
- 宅配ピザ
- 宅配寿司
- 外食チェーン・ファストフード宅配
- 牛乳宅配
- 生協の個配サービス
- ネットスーパー宅配
- コンビニエンスストア宅配
- 自然派食品宅配