なぜ“推し活”で公式グッズ以外の商品が売れるのか?
自社商品の売上が安定しない。たしかに需要はあるはずなのに、購入にはつながらない。そんな悩みを抱えてはいないだろうか。売れない理由を探るには、まず消費者の立場を思い出さなければならない。そこで、人々が商品を買いたくなる20のきっかけをまとめたのが『売れている会社に共通する これ買いたい! をつくる20の技術』(ワニブックス/博報堂買物研究所 著)だ。

たとえば「推し活」。好きなアイドルのメンバーカラーが赤だから、日常的に使用するものも赤色を選びたい。そんなファンは多いはず。そこで「一緒に推しを応援しよう!」と訴求するとどうか。推し活とは関係がないように思える商品でも、新規顧客と出会えるチャンスが拡がるだろう。
本書では「推しをよく見るために、目の疲れを取ろう」「推しに会う時にビジュ(≒外見)を整えるために、むくみを取ろう」「推しのライブに合わせて、体調管理する」(P.30)などと、様々な消費者心理が紹介されている。これらが商品開発や新たな販促施策のヒントとなるはずだ。
欲しいのはモノではなく体験 購入のスイッチを入れるには
本書において興味深いのは、商品を手に入れるために買物をするのではなく、行為自体を楽しんでいるという観点だ。様々なブランドや商品が生まれては消える昨今。競合他社が多く、商品の違いや価格だけでは差別化が難しい時代ともいえる。だからこそ、体験を重視する必要があるだろう。良い例として、本書で取り上げられている購買のきっかけ「驚愕・非日常」がある。
経験が少ないために蓄積された基準が簡単に覆り、買物スイッチが入りやすいシチュエーションが旅行です。(中略)私も、クリスマスマーケットで買った雪だるまの置物、民芸品のランプなど、家の近所の雑貨屋さんに置いてあれば、おそらく買わなかったけれど、旅先だから思わず買ってしまったものがたくさんあります。(P.128)
もちろん、旅行でなくても驚愕・非日常を演出することは可能だ。この例に限らず、本書には消費者の「欲しい」を引き出す施策が詰まっている。自社商品の魅力をより良く伝える方法が学べるだろう。