新品の半額以下で再販 それでも高い利益率
「THE FIRST CIRCULAR」の開催目的は、長期利用・リユース・リサイクルを優先するサーキュラーファッションの楽しさ、意義を広めることだ。開催期間中は、ワークショップやアップサイクル商品の展示、上映会、トークセッションなどが行われた。「THE NORTH FACE」「ミキハウス」「ミズノ」をはじめ、数々のブランドが参加。ミシンを使った商品のリペア、藍染でTシャツを蘇らせる方法の実演などが注目を集め、中には各ブースに立ち寄る外国人観光客の姿も見られた。
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本イベントの主催企業の一つであるFree Standardは、自社ECサイトにリセール(再販)機能を導入するための支援などを行っている。
リセールでは、多くの場合、販売価格が新品の半額以下となる。大手アパレル企業を中心に少しずつ事例が増えてきているものの、直接的な売上・利益につながらない点でハードルを感じるケースも少なくないだろう。しかし、Free Standardの取締役 野村晃裕氏は「環境面以外でもメリットはある」と話す。
「商品を回収する際、ブランド側が買取料を支払うのは難しい側面があります。そこで増えているのが、買取料ではなく会員ポイントを付与する方法です。お客様からすれば、次回お得に商品を購入できます。再度ブランドの実店舗や自社ECサイトに訪れるきっかけが生まれるのです。お客様と継続的な関係を築く意味で、CRM施策として活用できます。
また、適切にプロセスを設計すれば、利益率で見るとリセールのほうが高い点もメリットだといえます。新品の商品は、生産するのに材料費や人件費といったコストがかかります。リセールでは既に商品があるため、クリーニングや査定に必要なコストを含めても、原価を新品の半分以下ほどに抑えることも可能です。もちろん単価や収集方法、販路など、様々な条件によって大きく変わりますが、しっかりと利益を得られる仕組みを作れます」(野村氏)
こうした背景から、ブランドやメーカーが直接行うリセール事業の可能性に、各社が気づき始めているようだ。