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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

アパレルECの今を語る

[対談]不確定要素が多いファッションECで「積み上げ」ていくには マガシーク井上さんと語る


アパレルEC関連のさまざまなゲストをお招きし、メガネスーパーでECを統括する川添隆さんと対談していただくこのコーナー。第10回は、マガシークの井上社長が登場。2016年のファッションEC、どうなるのでしょうか。

マガシーク井上社長登場!自社EC強化、モール差別化について訊く

川添(メガネスーパー) 実は僕、これまでずっとファッション業界にいまして、前職はマルキュー系のガールズブランド「LIP SERVICE」でECを担当していました。現在はメガネスーパーですが、前職からの流れで、アパレルブランドやファッションECの方々と情報交換をしたり、相談をいただく機会が多いです。

最近のファッションECのトレンドとして、自社ECを強化していこうとの流れがあると思います。それから、巨大化したZOZOTOWNさん以外のモールで、どう売上を伸ばしていくか。さらに、大手さんはオムニチャネルはじめさまざまな施策が打てますが、中小のブランドがどう生き残っていくか、悩んでいるところも多いようです。

井上(マガシーク) ZOZOTOWNさん以外でも売上を伸ばしていくということに関しては、「マガシークさんもぜひ、がんばってください」というお声はいただいているんです。ただ、そもそも「マガシーク」には「Magazine」+「Seek(探す)」という意味がありますから、そこはブレずにやっていきたいなと考えています。

消費者の方が「洋服が欲しい」と思う瞬間は、以前は雑誌でモデルさんが着ているのを見ていて「いいな」と思ったり、スタイリストさんのアドバイスを見て「今シーズンはこれを買い足そう」と思うといった流れだったと思います。それが今変わりつつあるので、「欲しい」瞬間をいかに演出できるかを追求していきたい。

ブランドさんのお話をお聞きすると、仕掛けたい商品、売りたい商品がその都度ありますが、ブランド都合で情報発信すると、どうしても響かないところがある。そこをマガシークでどう仕掛けていくか、まさに取り組もうとしています。

川添 確かに、ブランド都合の情報をどのようにしてマガシークらしさに落とし込むかが重要ですね。具体的には、どんな施策をお考えですか?

井上 ひとつは、画像撮影の際にロケをやってみたりしています。雑誌風に撮ったほうがいいのか、斜に構えて顔が見えないほうがいいのか、商品一覧でぱっと目に留まる写真はどれかといったことを追究するプロジェクトに取り組んでいます。

雑誌という視点から言えば、最近はデジタルで「MERY」のようなウェブメディアも増えてきていますよね。我々にはたくさん情報があるので、最近流行りの「オウンドメディア」ではないですが、いかにそれを出していくかということも考えています。

川添 商品画像の話になると、どうしても在庫や連携のことは避けて通れませんよね。以前は、各ブランドが御社のようなモールEC側に在庫を預けて、商品撮影を含め、ささげ業務まですべてやっていただくスタイルがメインでした。それが、ブランド側で商品画像を撮って提供する、または画像を含めた商品マスタを連携する、在庫に至っては、システムで在庫連携をして受発注でモール側に都度発送するというスタイルも増え、ブランド(テナント)とモール(ディベロッパー)との業務の境目がなくなってきています。

ブランド側の立場から言うと、こちらから商品画像をはじめ商品やブランド情報をタイムリーに提供するようになった時点で、モールとしてどういう価値を提供してくれるか、独自性を出してくれるかを期待します。けれど、それについてモールEC各社は、まだ方向性が見えていらっしゃらないのかなと感じています。

井上 写真について言えば、ブランドさんからご提供いただくものを利用するだけでは、どこのサイトに行っても同じものが掲載されることになります。マガシークでランキングに入るような商品は、やはり当社ならではの撮影のしかたをしているものなんですね。ですから、そういったところで差別化し、個性を出していきます。もちろん、動画も同様です。

一方で、当社の株主のひとつにドコモさんがいまして、そこからの導線が非常に強い。「d fashion」も順調に伸びています。さらに、マガシークに入れていただいた商品は、d fashionや百貨店さんなど、さまざまなチャネルに流していくことを考えています。マガシークをプラットフォーム的に使うと、さまざまなチャネルで合算して売れるという流れを作っていきたいんです。BtoBのビジネスに強いという特徴を活かしていきます。

川添 百貨店とのサテライト戦略については、非常にユニークだと感じました。アイディアはどちらから出たんでしょうか?

井上 それはもちろん、僕のアイデアです。そもそも、d fashionもサテライト第一号みたいなものですからね。マガシークに置いてある在庫をd fashionで見ると、こうも変わるのかと思っていただけると思います。d fashionは実は、楽天チックな撮りかたをしているんです。まだZOZOTOWNさんやマガシークでも買ったことがないECエントリー層のように、そうしたアプローチが響く層もいるんです。

百貨店さんとのサテライトなら、それにあったアプローチをしていきます。百貨店さんも、ファッションのブランドが入ってくれば、彼らがもともと持っている別の商材を一緒に売ることができる。でも、ブランドさん側からすれば、それ用にまた在庫を作るとなると、ただでさえ複雑に入り組んでいる在庫が、またややこしくなるというお悩みがある。それなら、マガシークがプラットフォームになって、そうした問題を解決していこうという考えです。

川添 ECでの売上を増やしていきたいブランドとしては、情報や在庫の効率化を考えると、そのプラットフォームに乗っかりやすいですね。一方、各ブランドの自社ECを伸ばしていきたい、店舗と連携を強めてオムニチャネルを推進していきたいという動きについては、いかがですか?

井上 ブランド力があるところほど、自社ECが強くなっていくでしょうし、そのほうが収益性も高いでしょうから、強化していく流れは当然だと思います。そこに当社がどうかかわっていくかというと、ひとつはECソリューション事業がありまして、ワンストップで運営代行を行っています。

一方で、複数のブランドをミックスしたコーディネートもできるのがマガシークの強みですし、送料やポイントなどオトク感もあります。あるブランドを指名買いで来たわけではなくても、マガシークでたまたま見ていたらよかったので買ったというお客様も少なくないと思います。ですから、自社ECとモールはこれからも共存していけるのではないでしょうか。

川添 マガシークさんとしては、リアル店舗との連携についてはいかがですか?

上 百貨店さんとの取り組みが進めば、百貨店さんの店頭でというのは当然あると思いますし、ドコモさんはドコモショップを持っていますから、そこで何かできないかという話も挙がっています。直接、洋服を買っていただくのでなくとも、たとえばお料理教室のようなユーザー層が重なるところとのお取り組みでマガシークを知っていただき、コミュニティを作っていったり、リアルな場の活用も視野に入れています。

川添 これからさらに、百貨店やドコモとのシナジーが生まれていくわけですね。

井上 そうですね。ZOZOTOWNさんはこれからますます巨大化して、ニッチな戦略は取られないんじゃないかと考えていますので、我々はそこを攻めていく。いろいろなコミュニティを作りながら、独自性を出すという戦略はあり得ると思います。

コミュニティというキーワードは、すでに言われていることではありますが、ただファッションを買うだけだとつまらない。何かそこに、プラスのつながりが生まれていくようにしていきたいです。

川添 逆に、ブランド側に期待することはありますか?

井上 さらに深いリレーションを作って、一緒に仕掛けをやっていきたいですね。どうしたらさらにバリューが上がるか、お客様に支持していただけるかを一緒に考えていく。最近の実績だと、予約販売があります。マガシークでいただいた予約から、カラーやデザインのバランスを決めていただいて、実店舗でのロスが減っていると感謝のお言葉をいただいています。

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この記事の著者

ワダ スミエ(ワダ スミエ)

2013年11月11日〜2023年3月31日までECzine編集部在籍。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

コマースプロデューサー 川添 隆(カワゾエ タカシ)

組織で動く企業の中で、組織・チーム・ユーザーのバランスをとりながら”組織Eコマース&デジタル推進”を泥臭く改革進める人。2社の企業再生経験があり、独自の方法論と実践を通じてEコマース事業において、1社では売上を10倍以上に、5社では2倍以上に増加させてきた。2017年より代表を務めるエバンで小売企業...

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