まだオムニチャネルはやっていない!? タワレコ前田さん登場
逸見 前田さんとの出会いは、2年半ほど前にあるベンダーさんから、前田さんのマーケティングに関する講演の資料を見せていただいたことがきっかけでした。その資料を拝見して、こういう考えかたをする人はなかなかいないと思い、「紹介してください」とそのベンダーさんに頼み込んだんです。少し話し始めたら、「そうじゃない」「ああじゃない」とふたりしてホワイトボードに書き出して。そんな初対面でしたね。
前田(タワレコ) その後も、講演会場の控室で一緒になったり、飲みに行ったりと、何度かお会いする機会がありましたが、忘れられないのが逸見さんと一緒にオムニチャネルの講演をやることになった時のことです。
逸見 小売企業のシステム責任者を中心に、部長クラスの人たちが集まる会でしたね。私と前田さん、当時良品計画の奥谷さんと、オムニチャネルの話をすることになったんですよね。
前田(タワレコ) まだオムニチャネルはやっていないのに、どうしてくれるんだと思いました。
逸見 私がキタムラにいた当時は、オムニチャネルはできていたけれどマーケティングはこれからという状況でした。タワーレコードさんは、マーケティングが非常に進んでいるじゃないですか。どちらから先に始めるかの違いだと思います。
前田(タワレコ) 「足りないピース」というところでしょうか。オムニチャネルはまだですが、まる5年、タワーレコードオンラインでCRMを進めてきましたので、今回はそのお話をしたいと思います。
音楽が好きだから 百貨店、コンサルを経てタワレコオンラインに
逸見 前田さんのキャリアを振り返りたいと思います。大学卒業後に西武百貨店に入社されたということで、店頭を知っていらっしゃるわけですよね。そして、プライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)を経て、スクウェア・エニックスのオンライン事業部長でECを統括されている。すごいご経歴です。タワーレコードさんには、どのようなきっかけで?
前田(タワレコ) 2011年にお声がけいただきました。もともと小売出身で音楽も好きだし、この会社でCRMをやったら伸びるだろうと考え、お受けしました。まる5年、タワーレコードオンラインでCRMに取り組んでいます。
逸見 Facebookでよくお見かけしますが、気がついたらライブに行ってらっしゃいますね。
前田(タワレコ) ONE OK ROCKというバンドが好きで、一昨年も下の息子と一緒に横浜アリーナのライブに行ってきました。何万人もの観客がいるなかで、もしかして、僕が最高齢で、息子が最年少なんじゃないかと思いました。
逸見 音楽が好きだという前提があって、今のお仕事をしていらっしゃるわけですよね。ECは仕組みの話になりがちなんですが、その商品が好きでなければやってられないですよね。
前田(タワレコ) おっしゃるとおりです。今は、オンライン事業部本部という部署名ですが、主な仕事はECです。息子には「前田くんのお父さん、何してるの?」とお友達に聞かれたら、「ECの店長と答えなさい」と言っています。