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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

[ECzine Press Winter 2024]業務効率化・売上成長に必須なERP活用術(AD)

日本の老舗を救うのはERPを活用したIT戦略 ドイツ出身の常務取締役が小田原の梅専門店を立て直す

 150年以上続く小田原の老舗梅専門店「ちん里う本店」が海外売上を伸ばしている。その裏にあるのは、老舗企業らしからぬIT戦略だった。今後も歴史を紡いでいくために、何が求められるのか。同社の社内改革に迫る。

日本の老舗企業が生き残る道は海外進出

 神奈川県小田原市に直営店舗を構える老舗梅専門店「ちん里う本店」。1871年に小田原城で最後の料理長として仕えていた小峯門弥氏が創業した。1代目は料亭を経営していたが、2代目から梅干し専門店となり、現在は梅干しを中心に漬物や菓子類を販売。直営店のほかにも、モール・公式オンラインストアといったECサイトを運営し、三越伊勢丹や高島屋などの百貨店にも商品を卸している。

 同社は2012年に海外事業部を設立し、越境ECサイト「NIHON ICHIBAN」を立ち上げた。自社商品とともに、小田原で仕入れた日本の商品をドイツ、アメリカ、オーストラリアなど100ヵ国以上に出荷している。

 2023年4月時点で、NIHON ICHIBANの取扱商品数は8,224品、仕入れ先数は158社、メルマガ購読者数は1万人。ちん里う本店の全体売上のうち、63%を海外事業が占める。

NIHON ICHIBAN
「NIHON ICHIBAN」のサイトより抜粋

 海外展開の立役者が、5代目・小峯孝子氏の夫でドイツ出身の株式会社ちん里う本店 常務取締役 ゾェルゲル・ニコラ氏だ。「これまで成長企業しか経験したことがない」と話すニコラ氏は、大学卒業後の1994年にソニー ドイツ社へ就職。1998年には、ダイソン ドイツ社へ二人目の社員として入社した。

「ソニー時代は財務担当でしたが、ダイソン時代は社員数がまだ少なかったため、何もかも自分の手でやらなければならない状況でした。コールセンターや経理の部署の設置、物流も担当しましたし、カスタマーサポートでは自ら商品の修理もしました」

株式会社ちん里う本店 常務取締役 ゾェルゲル・ニコラ氏
株式会社ちん里う本店 常務取締役 ゾェルゲル・ニコラ氏

 ニコラ氏が日本に渡ったのは2001年。ドイツの製薬会社の日本支社へ転職したときだ。2002年にはドイツテレコムグループであったT-Systemsジャパン株式会社の副社長兼CFOに就任し、IT事業部を生み出した。しかし、妻が5代目を継ぐと「老舗企業は家族」との想いから、外資系企業を退社。ちん里う本店の事業へ専念することにした。

 新規事業の立ち上げを数回経験したニコラ氏が、ちん里う本店の海外事業を設立したのは、将来的な日本市場の縮小を懸念したからだ。

「当社の商品は『ご飯のお供』となる食品がほとんどですが、現在はパンやピザが好まれ、日本人の食生活は年々変化しています。人口も減り続けており、10年後、20年後を考えると、特に食品を扱う老舗企業は海外へ進出しなければ売上が立ちません

 百貨店の催事で他の老舗企業の担当者と話した際、「海外向けに販売したいが方法がわからない」と聞いたニコラ氏。「自分は梅干しを作る職人にはなれないが、海外展開では役に立てると思った」という。

「外国人の90%は、梅干しが好きではないでしょう。一方、残りの10%は梅干しが大好きな人々です。世界人口の10%は大きな市場といえます。『小田原城の料理長が創業した』点も、外国人にとっては魅力的なストーリーに感じられます。当社のような小さい会社でも、海外に目を向けると可能性は無限大です」

この記事の続きは……

  • やってみて気付いた海外事業展開の阻害要因
  • 関税手続トラブルで20kg分のおろしわさびが廃棄に 失敗から見出したミス解消策
  • 3年で海外向け卸事業売上が7.8倍 急成長を後押しするITプラットフォーム構想

※この続きはECzinePress(PDF)に掲載しています。ECzinePressは会員の方のみダウンロードしていただけます。

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:日本オラクル株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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