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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

季刊ECzine vol.24特集「Find out! Create new connection~テクノロジーで拡張する顧客体験と売り場の可能性~」

「好き」を軸に継続的につながる フェリシモ部活が創出する新たなコミュニティと顧客体験

 ニッチだけどディープな関係を構築。共感・拡がりを生む商品開発・交流の秘訣とは。 ※本記事は、2023年3月25日刊行の『季刊ECzine vol.24』に掲載したものです。

 企業・ブランドが顧客から確固たる支持や信頼を獲得するには、購入前後の体験向上だけでなく、CRM推進、コミュニティ創出など、継続交流、関係深化に向けた取り組みも欠かせない。顧客と向き合う中で自社が選ばれている理由などへの理解が深まれば、体験をさらに洗練させるヒントにもつながっていくだろう。

 ファッション、生活雑貨など多様な商品展開を行う株式会社フェリシモは、「ともにしあわせになるしあわせ」をコア・バリューとして掲げ、2010年より「フェリシモ部活」と呼ばれる取り組みを行っている。興味関心を軸に、部署を超えて集まる部活動を顧客にも開放。企業と顧客の垣根なく人や社会のしあわせ創出を試みることで、新商品開発や継続的な社会的な活動につなげるなど、顧客接点の拡大・強化を実現している。ユニークな商品や多様なアプローチが生まれる土壌や、考えかたの根本にあるものは何なのか。それを探るべく、同社の定期便企画MC部 部長橋本和也さんに話を聞いた。

株式会社フェリシモ 定期便企画MC部 部長 橋本和也さん

好きを突き詰める個性を活かし開始したフェリシモ部活

 フェリシモ部活発足のきっかけは、「社内交流の一環」であったと言う橋本さん。共通の趣味や好きなものを持つ社員同士が時間を決め、仕事以外での交友関係を広げる場としてスタート。商品開発ありきではなく、「互いの個性や興味・関心を活かすことで自発性を促し、仕事にもプラスの効果があればと考えて発足されたもの」であったそうだ。

「『猫部』は、フェリシモ部活発足当初から活動している象徴的な存在と言えます。『猫と人とがともにしあわせに暮らせる社会』を目指すべく、社内の猫好きが集まりました。現在は、販売価格の一部が犬猫を救う基金として活用されるオリジナル猫グッズの開発に加え、休日のフェリシモオフィスで定期的に保護猫の譲渡会を行うなど、活動の幅を広げています」

 橋本さんはフェリシモ社員の特徴として、好きなことを突き詰めたい人が多い点を挙げた。ものが溢れる時代に他社と差別化を図るには、そのジャンルへの理解や当事者感覚が欠かせない。部活動=商品開発とノルマを課しているわけではないが将来的には事業化を目指しており、意見交換をするうちに自然と「こういった商品をつくりたい」「この課題を解決したい」といった声につながり、アクティブな部活動として表に出ているものは現時点で14にも及ぶ。

「実は、『まず集まるところから始めてみたい』と賛同者を募り、水面下で動いている部活動も複数存在します。世に発信できる部活動は定期的に生まれていますが、活動が活発化して長く存続するかどうかは『ワクワク度』にかかっていると思っています。

 参加する社員や活動を応援してくれる顧客がワクワクしていなければ、ユニークな発想やニーズのある商品・サービス展開にはつながりません。そのため、『商品開発のために共通の趣味嗜好を持つ人を集める』のではなく、『趣味嗜好や価値観を軸に集まる』を起点としています」

 ニッチでありながらも、確実にニーズのある商品・サービスを生み出すために、フェリシモでは「クラスター戦略」に取り組んでいる。フェリシモ部活もその一環だ。

「前出のように、当社では『ともにしあわせになるしあわせ』というコア・バリューを掲げています。これは、相手がいなくては実現し得ないものです。

 ここで指す『相手』とは、顧客や自分以外の社員に加えて、フェリシモが事業を行う上でかかわる企業や団体も含まれます。皆様と未来をつくるには、多様な価値観やそこにいるクラスターの存在を理解することが必要です。フェリシモ部活は、全員のしあわせを実現する手段のひとつであり、こうした考えに基づいて部活動の数や活動の幅を広げています」

 商品開発をともなうケースもあると、知識や経験が必要と思われるかもしれないが、フェリシモ部活は職種や役職を問わず立ち上げることが可能だ。実際にアクティブに活動する部活動の中には、総務部の社員が商品開発に挑戦しているケースもあるとのこと。

「職能を超えてフェリシモの核となる業務を経験できるのも、部活動のおもしろさと言えるでしょう。社員の相互理解が深まるだけでなく、助け合いの精神が育まれたり、新たな交友関係からさらなるチャレンジにつながったりと、プラスの循環が生まれています」

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この記事の著者

景山 真理(カゲヤマ マリ)

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、ウェブメディアや雑誌をはじめとする紙媒体のライティングの仕事をしています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、仕事・働きかた、デジタルトランスフォーメーションです。 ウェブ●Mari Kageyama Writing Works

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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