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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

EC関連企業の財務状況をきまぐれにチェック

上限500億円の自社株買いで注目のDeNA ゲーム事業低迷、EC撤退、新規事業開発はいかに!?

 20年3月に創業21年目を迎えるディー・エヌ・エーのビジネスに迫ってみた。祖業のEC事業を縮小するなど転機にあるようだ。主力のゲームに並ぶ新事業は?

積み上げたキャッシュから500億円を投じて自社株を購入!DeNA

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は今春までに500億円を投じて、自社株を購入する。自社の株式取得は株主対策。米国企業アップルの数兆円規模(19年9月期は668億ドル)には及ばないものの、日本企業としてはかなりの規模の株主還元策と言えよう。

 DeNAのこれまでの歩みを簡単に振り返っておこう。

 同社の売上高が前年比2.3倍の1,127億円(日本基準)と、はじめて1,000億円台に乗せたのは10年度。ピークは12年度の2,024億円(国際基準)だ。

 売上高アップの原動力は「ソーシャルメディア事業」や「ポータル・マーケティング事業」に組み入れていた、ゲームプラットフォーム「モバゲー」人気。モバゲー内での有料アイテム販売やプラットフォーム利用企業からの収入拡大が、企業としての成長に直結したことはいうまでもない。DeNAがゲーム会社と目される所以である。

 以後、ゲーム市場における競業の激化や米国子会社の清算、記事盗用といったトラブルもあったが無借金経営を継続。積み上げてきた1,000億円強のキャッシュのおよそ半額を、今回の自社株購入に投じるわけだ。

DeNAの売上高と営業利益の内訳推移

※内部調整があるため事業利益の和と合計は一致しない。

   14年度 15年度 16年度 17年度 18年度
ゲーム事業 売上高 1,128億円 1,092億円 1,012億円 979億円 835億円
営業利益 298億円 259億円 286億円 251億円 182億円
EC事業 売上高 186億円 189億円 183億円 153億円 116億円
営業利益 23.4億円 26.4億円 21.3億円 4.84億円 12.9億円
スポーツ事業 売上高 77.6億円 98.8億円 137億円 167億円 179億円
営業利益 -13.8億円 -10.0億円 10.9億円 18.2億円 14.5億円
オートモーティブ事業 売上高 1.47億円 1.97億円
営業利益 -18.7億円 -36.1億円
ヘルスケア事業 売上高 21.2億円 22.3億円
営業利益 -9.26億円 -12.4億円
新規事業・その他 売上高 31億円 56.6億円 104億円 71.3億円 85.6億円
営業利益 -40.9億円 -47億円 -49.9億円 -26.6億円 -24.3億円
合計 売上高 1,424億円 1,437億円 1,438億円 1,393億円 1,241億円
営業利益 264億円 219億円 257億円 180億円 109億円
   18年4月-18年9月 19年4月-19年9月
ゲーム事業 売上高 426億円 411億円
営業利益 100億円 68.9億円
EC事業 売上高
営業利益
スポーツ事業 売上高 145億円 164億円
営業利益 54.0億円 54.6億円
オートモーティブ事業 売上高 0.67億円 5.66億円
営業利益 -14.2億円 -31.9億円
ヘルスケア事業 売上高 10.5億円 7.84億円
営業利益 -5.99億円 -8.52億円
新規事業・その他 売上高 98.2億円 63.4億円
営業利益 -9.0億円 -12.2億円
合計 売上高 682億円 652億円
営業利益 116億円 64.8億円

 同社は19年度に入り、事業活動の区分(セグメント)から「EC事業」を除外した。「DeNAショッピング事業」をKDDIに、旅行事業子会社のDeNAトラベルをエアトリに、それぞれ譲渡したことによる。

 DeNAショッピングは、会社設立の1999年にスタートさせたオークションサイト「ビッターズ」を2013年に改称したもの。祖業というべきものだ。

 三菱UFJニコスと合弁で展開していた決済代行ペイジェントの保有株式も、NTTデータに売却済である。

 ネット関連企業が事業領域や提供するサービスを変更するのはめずらしいことではない。それどころか、企業の発展には事業や提供サービスの入れ替えは不可欠といえるだろう。

 現在のDeNAのセグメントは「ゲーム事業」「スポーツ事業」「オートモーティブ事業」「ヘルスケア事業」「新規事業・その他」の5つで構成されている。

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この記事の著者

ビジネスリサーチ・ジャパン(ビジネスリサーチ・ジャパン)

1995年設立。代表・鎌田正文。週刊誌や月刊誌、経済誌などを中心に、金融・流通・サービス・メーカーなどの各分野から経済全般まで、幅広く取材・執筆。著者に『図解! 業界地図 2023年版』(プレジデント社)、『図解 これから伸びる企業が面白いほどわかる本 2012年版』(新人物往来社)、『図解 人気外食店の利益の出し方』(講談社+α文庫)、『[図解]儲けの秘密がよくわかる本』(PHP研究所)、『[図解]気になるあの会社の給料がわかる本』(PHP研究所)『取締役の値段 6: 社会インフラ関連業界 [Kindle版] 』『数字でわかる! あの企業・店舗が儲けている仕組み』など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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