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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2019 Autumn レポート(AD)

SHIPS萩原氏、ECエバンジェリスト川添氏登壇 画像検索ソリューションから考えるアパレルECのCX

 2019年4月よりEコマース向け画像検索ソリューション「popIn Action」の提供を開始したpopIn株式会社。2019年10月3日に「ECzine Day 2019 Autumn」にて行われたセッションでは、前半にEコマースソリューション事業の責任者を務める吉岡真宏氏がサービスの概要を紹介。後半では、実際にpopIn Actionを導入している株式会社シップスの萩原千春氏、株式会社ビジョナリーホールディングス(メガネスーパーの親会社)の川添隆氏も登壇し、パネルディスカッション形式でサービスやECにおける画像検索の可能性について語った。

CVRが327%アップ より良い商品との出会いを創出する画像検索ソリューション

popIn株式会社 Eコマースソリューション事業部 部長 吉岡真宏氏

 レコメンドエンジン型のネイティブアドネットワーク「popIn Discovery」を主軸に、広告領域で存在感を示すpopIn。設立11年目を迎える今年になって、なぜEコマース領域への参入を決めたのだろうか。

 その背景に、popInが行ったアンケートの結果がある。3ヵ月以内にオンラインショップを利用した女性600名に対し、「あなたはファッションアイテムをオンラインで購入する際にどのサイトを使いますか?」と尋ねたところ、45.8%が「公式オンラインショップ」と回答。半分以上が公式オンラインショップで服を購入しないという結果を受け、吉岡氏は「企業が独自ドメインのECサイトで購入してもらう理由をユーザーに提示しなければならない」と考えた。

 さらにアンケートからは、「有名人のコーディネート画像を参考にしている」という人が20.5%、さらにおよそ3人に1人が「コーディネート画像をスマホに保存している」という結果も見られた。これらを受け、吉岡氏は「画像検索が選ばれる理由になり得る」と考え、popIn Actionのローンチに至ったという。

 popIn Actionには主にふたつの機能が備わっている。ひとつは、「画像検索機能」だ。ユーザーがカメラのアイコンをタップすると、自分のスマホ内に保存している画像や、その場で撮影した画像をアップロードすることができる。アップロードした画像をもとに似ている商品を抽出し、検索結果として提示するものだ。手元に欲しい商品の画像はあるがブランドや商品名がわからない場合でも、商品を探すことができる。

 この機能を用いてアップロードされる画像のうち40%を占めるのは、Instagramの画像。次点には、雑誌の誌面のコーディネートを撮影した画像が続き、さらには商品画像のスクリーンショットやテレビに映る芸能人の姿を撮影したものなどもアップロードされている。

「ECサイトでユーザーがどんな画像をもとに商品を探しているのかというデータは、今までなかなか蓄積できていなかった。このデータはとても価値があると捉えています」(吉岡氏)

 なお、アップロードされた画像は導入企業がデータとして持つことができる。アパレル企業にとって、これらのデータは商品の打ち出しかたや次なる商品開発に活きる貴重なデータと言えるだろう。

 もうひとつの機能は、「類似商品検索機能」だ。商品画像の右下に表示されるアイコンをタップすると、その商品と似た商品の一覧が表示されるというもの。これは、数ある商品のなかからユーザーが求めているものを簡単に抽出でき、「顧客体験の改善につながる機能である」と吉岡氏は述べた。

※クリックすると拡大します

 前述のアンケートで、オンライン上で欲しい商品が売り切れだった場合に類似商品を購入した経験があるか聞いたところ、60.8%が「ある」と回答している。ここからも、類似商品のレコメンドの重要性が見て取れる。吉岡氏は、「残り40%の離脱ユーザーを取りこぼさないためにも、このレコメンド機能が必要になってくる」と語った。

 実際に、導入企業ではどのような効果が表れているのか。ここで、ハースト・デジタル・ジャパンが運営するELLE SHOPの事例が紹介された。同社がpopIn Actionの類似商品検索機能を利用したユーザーと利用していないユーザーで比較を行ったところ、利用したユーザーの滞在時間は327%長く、CVRは274%、購入単価は142%高く出た。この理由について吉岡氏は、「比較検討を促して、より良い商品との出会いを創出した結果、最終的にCVRや購入単価の引き上げに貢献できたのでは」と考察した。

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アドネットワークとのシナジーも popIn Actionで叶える顧客体験の向上

 popIn Actionには最近、新たにふたつの機能が追加された。ひとつは、ユーザーが商品をお気に入りに追加すると、popIn Actionが類似する別の商品を画像認識で抽出して一覧表示する「お気に入りレコメンド機能」だ。お気に入り投入率とそこからのCVR、いずれの向上にも貢献する機能となっている。

 もうひとつの追加機能は、「コーディネートページのリッチ化サービス」。これは、前述のアンケートで「コーディネート画像の充実」を求めているユーザーが多かったことを踏まえて追加されたものだ。

 「『コーディネート画像の撮影はするものの、着用商品のリンクを貼るだけではなかなかコンバージョンにつながらない』という声を導入企業からいただいていた」と語る吉岡氏。この機能が追加されたことによって、撮影に時間や手間がかかるコーディネート画像をより効果の高い資産に変えることができる。

 セッションの前半を締めるにあたり、吉岡氏はpopInが創業時より提供しているアドネットワークサービス popIn Discoveryについて触れた。

 現在、国内で850のインターネットメディアと提携し、各メディアの記事下にネイティブフォーマットで広告配信できるpopIn Discovery。吉岡氏は、この仕組みを「ECサイトの支援にも活用できる」と述べた。ユーザーをリターゲティングせずに広告配信するpopIn Discoveryは、「送客するユーザーの9割以上が新規ユーザー」という実績だ。コーディネートページや特集ページにユーザーを送客することで、商品やブランドに対する理解促進を図り、そこから商品ページに遷移した際は、popIn Actionの画像検索や類似商品のレコメンドにより、ユーザーの購買をサポートすることができる。

「popIn Actionのアイコンをクリックして表示された商品のCTRは、約35%。回遊を促すことで、最終的にコンバージョンが生まれています。私たちはpopIn Discoveryで認知の部分、popIn Actionで検討・接客の部分を支援します」(吉岡氏)

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SHIPS萩原氏、ECエバンジェリスト川添氏と探る アパレル×画像検索の未来

 続くセッション後半は、吉岡氏がモデレーターを務め、パネルディスカッションが行われた。登壇者は、SHIPSで2006年からECを担当し、今年よりデジタルマーケティング全体を統括している萩原氏と、レディースアパレル企業のアドバイザーも務める川添氏の2名。両者ともpopIn ActionをECサイト内で利用しているが、導入の決め手となったのは初期設定時における工数の少なさだったという。

株式会社ビジョナリーホールディングス 執行役員/デジタルエクスペリエンス事業本部 本部長 川添隆氏

 ユーザーがアップロードした画像のデータをpopIn Actionが無償で提供していることは先に触れたが、その活用方法について川添氏はこう語った。

「これまでアパレル企業では、ユーザーに直接『誰を参考にしていますか?』『どんな雑誌を読んでいますか?』と聞くことしかできませんでしたが、検索時にアップロードされた画像のデータがあれば、自社の商品を買うユーザーが何を読んで誰を参考にしているかがわかるので、良い材料になるのではと考えています。アップロードされている画像は、雑誌やテレビを切り取ったファッショナブルなものだけでなく、SNSで投稿している物撮り画像も含まれています。身近な画像から『買いたい』という空気が生まれているのは興味深いです」

 サービスローンチ時に吉岡氏が懸念していたのは、類似商品検索機能によるレコメンドを行った結果、価格の低い商品が買われてしまうことだ。popIn Actionは、画像認識により純粋に類似した商品を並べるため、閲覧中の商品より手ごろな価格の商品が表示される場合も当然ある。その点について、萩原氏はこう語った。

「単価が下がる不安はありましたが、SHIPSのようなセレクトショップの場合は、ベースの価格帯となるオリジナル商品から高価なインポート商品まで、お客様の行動履歴を問わずに表示してもらえるので、お客様に提案できるアイテムの幅が広がったと捉えています。また、『たとえ予算以上の商品でも、品質に納得することができれば購入したい』という本物志向のマインドはどのお客様も潜在的にお持ちなので、結果的に購買単価の引き上げにつながっていると実感しています」

株式会社シップス デジタルマーケティング部 デジタルマーケティング課 課長 萩原千春氏

 川添氏がアドバイザーを務めるガールズアパレルECサイトでは、経由売上が上昇しているコーディネートページを閲覧したセッションと比較すると、popIn Actionで表示された類似商品画像を経由したセッションのCVRのほうが2〜3倍高いという。

「この数字は、popIn Actionで表示される画像をユーザーが『意味のあるコンテンツだ』と認識していることの表れだと思います。意味のあるコンテンツを自動的に提供できるのは、運用側として非常に有難いですね」(川添氏)

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「魅せる画像」と「検索してもらう画像」を作り分ける

 popInだけでなく、多くのプラットフォーマーが参入する画像検索領域。なかには自社開発したエンジンを使っているECサイトもあるが、今後のEコマースにおける画像検索の可能性を2名はどう捉えているのか。

「この業界で仕事をしていて思うのは、検索が『スキル』だということです。たとえば、ググると言っても、慣れていないと検索ワードが適当でなかったりします。また、Instagramは検索しづらい設計なのでノウハウがなければ検索できません。一方で、自分が持っている画像をアップロードすれば欲しかったものが見つかる画像検索はスキルを問わない。これなら、ECを使い慣れていない人も検索が可能ですよね。今後は、このようにスキルを要さず直感的に自分の欲しい情報が手に入る技術が、主流になってくるのではないでしょうか」(川添氏)

「たとえば、スタッフが上げたコーディネート画像に今は取り扱っていない商品が写っていたとしても、その類似商品をきちんと出せるところは画像検索のメリットです。接客という目線で捉えても、人の対応のほうが不向きなことはもちろんですが、自分たちの手が回っていないところを補完してくれる存在は、企業にとっても重宝されるはずです」(萩原氏)

 また、popIn Actionを運用するにあたり、意識するべきポイントについてはこのように述べた。

「裏側で動いているのはAIなので、AIが選びやすい画像、より正確にレコメンドしてくれる画像とはどういった画像なのかを考えるようになりました。いわゆるキレイ、わかりやすいといったら端的ではありますが、コーディネート写真は物撮り写真に比べて情報量や単品の見えかたも異なりますし、認識しづらくなることもあると思います。一方、ブランディング、訴求においてもそのようなアプローチは必要です。たくさん使われることでAIの精度も上がると思いますが、AIが認識することが前提だということは、意識はしておきたいですね」(萩原氏)

「画像認識の技術が広まると、画像の役割が変わるはずです。たとえば、『魅せる画像』『検索してもらうための画像』という役割。たとえ服が見えにくくても、雰囲気で魅せるための画像は必要ですし、画像認識によって類似商品としてヒットしやすい画像も必要です。もしかすると自社で撮った写真が他社の画像検索で使われるかもしれませんが、そこに入っておく意味はあると思っています。popIn Actionはそれを練習していくきっかけになるんじゃないでしょうか。今後は、今まで以上に画像にコストをかけなければならないでしょうね」(川添氏)

 ECサイトにレコメンドエンジンを提案していた経験もある吉岡氏は、セッションの最後にレコメンドエンジンと画像検索ソリューションの共存についてこう語った。

「現在は、多くのECサイトで行動履歴を活用したレコメンドエンジンが使われています。ECサイト支援を始めて間もない弊社が、そのレコメンド枠のリプレースの提案をすることに、ほとんど価値はないと思っています。popIn Actionはレコメンドエンジンではなく、画像から似ている商品を簡単に探せるソリューションです。行動履歴をベースに行う商品レコメンドもECサイトには必ず必要なので、併用してpopIn Actionをご利用頂くことでCXの改善と売上の最大化に貢献できると考えています」

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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