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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

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ねんどろいどを世界へ 柔軟性の高い「SAP Hybris」だから実現した越境EC戦略

 手のひらサイズのデフォルメフィギュア「ねんどろいど」をはじめとし、アニメやゲームのキャラクターグッズの販売を行っている、グッドスマイルカンパニー。海外にも積極的に進出している同社は、最適な自社ECを実現するための試行錯誤の末、「SAP Hybris」を選択したと言う。今回は、同社の通販事業を担う、グッドスマイル ロジスティクス&ソリューションズ アウトソーシング事業部の藤井直人さんに、その経緯についてうかがった。

日ごとに増えるトラフィック
海外市場を見越した「SAP Hybris」の導入

株式会社グッドスマイル ロジティクス&ソリューションズ
アウトソーシング事業部 藤井直人さん

――はじめに、御社のご紹介をお願いします。

親会社のグッドスマイルカンパニーは、アニメやゲームのキャラクターをデフォルメしたフィギュアである「ねんどろいど」をはじめとする、フィギュア・玩具などの製造・販売を行っています。通販事業は、イベント限定商品の販売から始めましたが、「ここでしか買えない」商品でもあることから軌道に乗り、開発から物流までのノウハウを身に着けました。私が所属するグッドスマイル ロジスティクス&ソリューションズはそのノウハウを他社様にも提供するべく、通販事業専用の別会社として設立したものです。

――現在、ECサイトは「SAP Hybris」で構築されているとのことですが、導入に至った経緯を教えてください。

もっとも大きかったのは、トラフィックの問題でした。商品の性質上、イベントなどがあると急激にアクセスが集中するため、当初利用していたASPカートでは耐えきれず、サーバーが落ちてしまうことが頻繁にあったのです。何とか解決を図ろうと検討していく中で、当時から海外市場を視野に入れていたこともあり、まずは海外製のオープンソースプラットフォームを導入しました。それが2012年頃ですね。

しかし、仕組みを切り替えてもトラフィックは捌ききれませんでした。ちょうど、ECのお客様が日に日に増えている時期で、2~3,000人のアクセスでもキツいなと感じていたところ、あっという間に1万人というレベルになっていきました。

また、当時利用していたプラットフォームでは、商品管理機能にも不安がありました。出荷、SKUの管理、在庫の引き当てや決済のタイミングなどが煩雑になりがちで、そのクセがわかっている人間が休むと回らないという、属人化が起きてしまっていたのです。2、3年後を見据えた対応を考えた時、よりスケーラビリティのあるプラットフォームに変える必要があると思い、SAP Hybris導入を決めました。

――いくつかある大規模コマースプラットフォームの中で、SAP Hybrisを選んだ決め手とは?

システム構築にあたり、とくに柔軟性を重要視していました。国内だけの販売であれば、どのようなトラブルが起きるか、ある程度見通しがつきますが、我々は最初から海外市場を意識していました。海外では、決済に流通にしろ、その国独自の習慣や決まりがある。そういった見通しの利かないものに対応できるレベルの柔軟性を、システムにも求めていました。

SAP Hybrisは、ドイツで作られた製品ですよね。ヨーロッパでは、国をまたいだ商売が大前提です。そうした環境下で生まれたSAP Hybrisは、我々のビジネスと相性が良かったとも言えると思います。

「今すぐ欲しい!」を実現した、SAP Hybrisによる負荷軽減

――実際に使ってみて、SAP Hybris独自の特徴的な機能などはありましたか?

圧倒的に、海外対応の部分ですね。管理画面ひとつ取っても、日本語しか使えないソリューションが多い中、SAP Hybrisは一体、何種類の言語が用意されているのだろうというくらい豊富です。また、SAP Hybris導入以前は、商品の発送は基本的に日本から行っていましたが、導入後は現地から行えるようになりました。現地の通貨で商品価格を表示し、現地の決済代行会社を経由して決済し、現地の配送業者によって商品管理と配送が行える仕組みが構築できるからです。

商品管理業務も、かなり変わりました。たとえば注文が入ると、まず新規受付から受注受付に切り替わり、入金の確認と在庫の引き当てを経て、出荷を準備し始めるという一連の流れがありますが、それまでの仕組みでは、それが国内と海外で分かれていました。そのため、同じSKUの商品に注文が入った際に、どちらを先に出荷するのか、どのようにデータを管理していくのかといった点で一元管理ができておらず、時に二度手間、三度手間になっていたこともありました。そういったクリアすべき課題が、SAP Hybrisではすべて処理できるようになっています。

――御社が扱っているのは、いわゆるオタクグッズといわれる特殊な商品ですが、そういった市場ならではの特徴はあるのでしょうか。

当社製品の特徴として、SKUの数が少ないことが挙げられます。人気商品に売上が集中していると言えるかもしれません。その場合に発生する問題として、たとえばひとつの商品に1万件の受注が集中した時に、決済と在庫の引き当てなどでシステムがフル回転してしまうため、SAP Hybris導入以前は、システムに丸1日以上触れなくなるといったことも起きていました。

日々の運用で我々の知見も積み重なり、決済会社側との処理を改善したことなども要因ではありますが、SAP Hybrisに変えてからは、それらのシステム上の処理が数十分で終わるようになるなど、スピードは飛躍的に改善されたように思います。

当社のお客様の特徴としては、「その瞬間、すぐ買いたい!」という方が多いんですね。本来は限定品でもない限り後でも購入できるのですが、「とにかく今、欲しい! 買ったことを、すぐにSNS上で共有したい!」方たちです。そういった特性がある以上、システム処理速度はこれからも重要になっていくと思いますので、SAP Hybris導入は正解だったと感じています。

BtoB分野にも意欲 海外ユーザーにも国内と同等のサービスを

――SAP Hybris導入にあたり、苦労などはありましたか?

SAP Hybrisを導入してリニューアルオープンした際、裏側のシステムのリプレースを最優先事項にしていたため、サイトのデザインなど、表の見た目はまったく変わりませんでした。そのことについて、周囲の人間を説得する必要がありました。ある程度の期間と予算を投入しているリニューアルですし、目に見える変化が欲しい気持ちはわかりますが、まず優先すべきは、3年後にグローバル展開していくために必要な土台作りであり、システムをより安定的に動かすことだと言って説得しました。

――今後、SAP Hybrisの導入を考えている企業などにアドバイスをお願いします。

SAP Hybrisのことを、きちんと理解しているSIerさんを選ぶことではないでしょうか。現在のところ、国内でSAP Hybrisを導入した経験がある開発会社さんは多くありません。かつ、我々のような越境ECの分野の知見があるところといったら、より少なくなるでしょう。

ただでさえ、ECは気を配らなければならない領域が広いため、はじめからあらゆる場合に備えておかないと、途中で行き詰まってしまいます。プロジェクトを進めていく上で気をつけなければならないポイント、たとえば物流ではこういうトラブルが起きやすいからそれを未然に防ぐ機能をつけておこうとか、決済時に処理が必要なデータ種別を洗い出すといった要件定義は、長い時間をかけないと後から痛い目に遭ってしまうことになりかねません。

当社では、SAP Hybrisの導入代行業務も承っており、物流やカスタマーサポートもセットでご提供していますが、SAPさん側でもそういった開発会社が増えるよう後押ししていただくと、より広まっていくのではと思います。

――最後に、これからSAP Hybrisを使ってやっていきたいことはありますか?

BtoCのみならず、BtoB領域や物流管理、それにまだ一部でしかできていない現地出荷を推進していきたいです。海外のマニアの方は、なかなか商品が手に入らないばかりに、定価の何倍も支払って購入しているという現実があります。それは健全とは言えませんし、逆にそれだけ需要があるということはビジネスチャンスでもあるわけです。

現地での販売や物流網の構築、海外のお客様に日本と遜色ないサービスを提供することに力を入れていきたいです。その頃にはSAP Hybrisも今以上に進化していると思いますので、機能を上手に利用してビジネスの成長につなげたいです(了)。

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