なぜ、名もなき中小企業が日本3位になれたのか?
伊藤久右衛門のSNS活用。今回は、Facebookに焦点を当て、エンゲージメント率企業ランキング日本3位を獲得するに至った過程、なぜ、この結果が生まれたのかを見ていこう。
Facebookページ別 2014年 年間エンゲージメント率平均 TOP5
順位 | ENG | ページ名 | ファン数 |
---|---|---|---|
1位 | 13.8% | Amino-Value アミノバリュー (大塚製薬) | 12,872 |
2位 | 10.2% | JaguarJapan(ジャガー・ランドローバー・ジャパン) | 43,888 |
3位 | 9.0% | 京都・宇治 伊藤久右衛門 | 38,430 |
4位 | 8.9% | シングルモルトウイスキー 白州(サントリーホールディングス) | 11,272 |
5位 | 8.8% | シングルモルトウイスキー山崎(サントリーホールディングス) | 30,890 |
前回、SNSをはじめる際に大切なことは、SNSを通じて何をしたいか、つまり、「何を目的とするか」を決めた上で、1~3年後の目標を設定すること。当社では、「伊藤久右衛門の社名をひとりでも多くの人に知ってもらう」ことを目的とし、Facebookにおける1年目の目標を「ページへのいいね!数10,000かつエンゲージメント率10%以上」にした、と述べた。
だが、はじめからこの設定ができていたわけではない。当初の目標は、「ページへのいいね数10,000」のみであり、「エンゲージメント率10%以上」が固まったのは、本格的な運用開始から約1ヶ月後のことである。それまでは、当社もしっかりばっちり迷走していた。
最初は、「伊藤久右衛門の社名をひとりでも多くの人に知ってもらう」ため、伊藤久右衛門を前面に押し出す投稿を行っていた。当社は、大企業のように社名が通っているわけでもなく、知名度も低い。まずは、社名を知られなければ、と言う思いがあった。そのため当時は、実店舗の紹介やスタッフの様子をメインに投稿していたが、これらに多くのいいね!がつくことはなかった。
ところで、2012年当時の大企業におけるFacebookトレンドを覚えているだろうか? お金をかけ、広告やキャンペーンでFacebookページへのいいね!を集めていた時期である。この時期、懸賞やプレゼントのアプリ投稿を多く見かけたと思う。
こうした手法でいいね!を集めた企業の多くに、当てはまる特徴があった。それは、Facebookページ自体ヘのいいね!は多いものの、投稿へのいいね!やシェアがまったくないと言うものだ。つまり、エンゲージメント率が極端に低かったのだ。
膨大ないいね!数を誇る大企業でさえ、投稿が読まれていない状況なのに、中小企業である我々が同じようにページへのいいね!を獲得することを目標にするのは正しいのか。そもそも、SNSとは、多くの人に共感してもらうこと。つまり、いいね!やシェアをされ続けて、はじめて企業が運用する意味の生まれてくるのものでないのか。そう考えるようになった。
そして、投稿の方針を大きく変更した。一旦、「伊藤久右衛門」の社名を押し出すことを止めたのだ。企業のカラーを前面に出すのではなく、シンプルに、抹茶スイーツが好きな人達にとびきりの抹茶スイーツの写真で楽しんでもらおう、と。そうすることで、徐々に投稿にいいね!が付くようになった。
さらに、瞬間的に良いと思われるだけでは意味がない。多くの人に共感し続けてもらわなければ。そうして設定し直した目標が、「ページへのいいね!数10,000かつエンゲージメント率10%以上」となった。魅力的な投稿を続けることで、ファンを増やしていくスタンスだ。
投稿の「エンゲージメント率10%以上」を意識し続けた結果が、日本3位のエンゲージメント率につながったわけだが、投稿を重ねる中で、反応の良い投稿もあれば芳しくない投稿もあった。検証を積み重ね培った「反応の良い投稿」には、共通項がある。次は、そちらを紹介しよう。