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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2015 OSAKA レポート(AD)

越境EC、ID決済、ソーシャルコマースまで EC決済のグローバルスタンダード、ペイパルとは

2015年11月10日(火)にナレッジキャピタル カンファレンスルームで開催した「ECzine Day 2015 OSAKA」のセミナーレポートをお届けします。ペイパル杉江さんが、「Eコマース決済のグローバルスタンダード、ペイパルとは。」と題し講演しました。

越境EC先進企業がペイパルを選ぶワケ:決済三原則とは

PayPal Pte. Ltd. 東京支店 コミュニケーションズ部長 杉江知彦さん

 実は17年の歴史を持つペイパル。杉江さんは、8つの数字からペイパルの現状を説明した。

 「203の国と地域で、1.7億人が年に一度はペイパルを決済手段として利用していて、1日あたりの取引件数が1,250万件、年間取扱高が29兆円に上り、かなり大きな取引になっています。なかでも注目すべきは、ペイパル全体の取引のうち、3割がモバイル決済になっていること。2010年は1%程度でしたので、モバイル決済がいかに伸びているかがよくわかります」

 このように、グローバルでユーザーの支持を得る理由は、越境EC決済の三原則をペイパルが満たしているからだという。三原則とは、以下のとおり。

越境EC決済の三原則

  1. 安心して決済ができる
    セキュリティ、カード情報の漏洩などがない、いざという時に保護される
  2. 主要なカードブランド・現地通貨決済に対応
    好きなカードブランド・現地通貨で決済できることの利便性 
  3. モバイルにも対応
    旅行の予約・購入・着地後の情報取得でのスマホ利用が多数

 とくに3の「モバイルにも対応」についてだが、観光時の情報取得ツールとして、スマホの利用が拡大。観光先で知り、帰国してからのリピートをECサイトというのが、越境ECを利用する流れのひとつになっているが、どちらの場合でも決済手段として利用できるのがペイパルの強みなのだ。

 さて、何度目かの越境ECブームと言われる昨今だが、「一歩ずつ取り組み始めている企業さんが、成果を出していらっしゃる」と杉江さん。そうした成功企業は、ECの重要な機能のひとつである決済に、ペイパルを選ぶ傾向にある。

 たとえば、クールジャパン機構の支援を受け、ライセンスされたグッズやコンテンツを海外に販売するTokyo Otaku Mode。

 「起業時にはペイパルを導入されていなかったのですが、海外のお客様からの強いご要望があり、導入したところ、今ではペイパル決済が半数を占めるとのことです。海外のお客様が越境ECにおいて、いかにペイパルを信用しているかがわかる事例だと思います」

 越境ECの悩みどころのひとつとして、クレジットカードの不正利用がある。Hobby Link Japanは1995年から越境ECを営む老舗サイトだが、かつては月100万円にものぼる不正利用に悩んでいた。それが、ペイパルを導入することによって改善。カード決済も含め、決済手段を完全にペイパルに移行するに至った。

 「365日24時間走らせている監視システム、取引でトラブルが発生した際、8,000人もの社員が対応するカスタマーサポート、不正が認められた場合にペイパルが補償する『売り手保護制度』など、不正取引からECサイトを守るさまざまな仕組みがあります。こうした仕組みも、ペイパルが選ばれる理由のひとつです」

 さて、昨今のブームである訪日観光・越境ECを、17年前からの実績で支えるペイパル。安心・安全を提供しながら、一方で、「新しいショッピング体験」を提供しようと挑戦もしている。

ID決済で新しいショッピング体験を ヤマダウェブコムの事例

 ペイパルが目下取り組んでいる「新しいショッピング体験」のひとつが、「ID決済」の活用である。ペイパル等のIDでログインすると、配送先等の個人情報が別サイトでも利用できるというもの。ソーシャルメディアや、大手ショッピングモールのID決済がよく知られるところだ。

 ペイペルのID決済を導入した事例として、ヤマダ電機のECサイト「ヤマダウェブコム」がある。商品検索から、IDログイン、決済までが3ステップで進み、ユーザーが希望すれば会員登録も同一ページ内で行える。

 「各商品詳細ページのカートボタンの下に、ペイパルボタンがあります。そこからログインしていただくと、ペイパルに登録している情報が自動で入力され、かなり手間が省けます。ヤマダウェブコム様の場合は、注文確定と同一ページに会員登録ボタンも設置しています。会員になりたい場合は、パスワードを設定するだけです。

 会員登録をせずに購入できるというのも、素晴らしいと思います。たとえば、パッとケーブル1本買いたいというお客様にも、それが可能なユーザー体験を提供されているわけです。最近は、個人情報を登録することにためらいを覚える消費者の方も少なくありませんから、EC事業者様は、いかにお客様に選択肢を与えるかを考える必要があります。

 ヤマダウェブコム様の場合は、『会員登録して購入する』『会員登録しないで購入する』『ペイパルのような決済手段を使って購入する』と、3つの選択肢を与えていらっしゃるのが素晴らしいお取り組みではないでしょうか。導入したばかりで成果はこれからですが、コンバージョンも含めて、非常にいい結果が出るのではと期待しています」

スマホ普及で目立つ「カゴ落ち」 購入体験に選択肢を

 新しいショッピング体験が求められるもうひとつの理由は、ECにおけるスマホ利用の拡大だ。日本では2015年に、ネットショッピングのモバイル利用率が過半数を占めている。その結果として持ち上がってきた課題のひとつが、カゴ落ちである。

 「カゴ落ちの理由はさまざまありますが、注目すべきは『アカウントを登録する必要があった』『購入手続きが面倒だった』です。日本は、売上ランキングの上位100サイトのうち約7割が会員登録をしないと購入できない、一方でアメリカは、トップ100のうち75%が会員登録不要で購入ができるという調査もあります。

 会員登録のすべてがダメだと言っているわけではないのですが、一度だけ買いたいというお客様の意思も尊重すべきではないでしょうか。ヤマダウェブコム様のように、会員登録してもしなくても買えるといったように、お客様に選択肢を与え、バランスを見ていく。こういった姿勢が、利益に直結していくのではないかと考えます」

 なるほど、ペイパルをうまく活用すれば、変化を続けるユーザーの期待にも応えられそうだ。だが、ペイパルはそうした「利便性」にとどまらず、さらに新しいショッピングの未来を見ている。

ソーシャルコマース続々 最短距離で購入できるECへ

 ペイパルでは、ネットショッピングにイノベーションを起こそうと、新たな取り組みに邁進している。

 「たとえば『ワンタッチ決済』。オプトインが必要ですが、あるデバイスを使って一度ペイパルで購入(ログイン)をすると、同じデバイスなら、他のペイパル利用店舗で購入する際も、ログイン不要のワンタッチ決済が可能になるというものです。ユーザーが持つスマホやタブレットを、身体の一部とみなすという発想ですね」

 もうひとつのトピックスとして「ソーシャルコマース」、別名「コンテクシュアル・コマース」がある。2014年のFacebook、Twitterにはじまり、2015年はGoogle、Pinterest、Instagram、YouTubeなどが相次いで発表した。

 「今後のEコマースは、わざわざECサイトに行って買うのではなく、普段メッセージをやりとりしているところから、そのまま買えるようになっていくでしょう」と杉江さん。

 たとえば「Pinterest Buyable Pins」では、掲載されているすべての商品が購入可能。この裏側は、ペイパルの仕組みで動いている。

 最後に杉江さんは、「Eコマースは、今後ますます、日常の中に溶け込んでいくでしょう。新しいものに出会ったら、そこから直接買う、最短距離で買えることが重要になってきます。来年以降、ご説明したようなものが普及していくことも考えられます」と述べ、講演を締めくくった。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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