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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2022 Spring レポート(AD)

検索やレビューが企業・ブランドの売上を左右する時代に OMOの第一歩となる店舗でのEC活用を探る

 この数年で消費者の購買行動は多様化し、購入手段としてオンラインとオフラインの区別をとくに意識することなく、目的に応じて活用することが当たり前になってきた。こうした消費者意識・行動の変化に対応する術として期待されているのが、オンラインとオフラインの融合を意味する「OMO(Online Merges with Offline)」だ。2022年3月17日開催の「ECzine Day 2022 Spring」に登壇したZETA株式会社 代表取締役社長 山崎徳之氏が、OMOのファーストステップとなる「店舗におけるEC活用」を中心に解説した。 

Z世代の半数はF1・M1層に 店舗とECの連動で顧客体験はより豊かになる

 社会環境や顧客行動の変化・多様化に対して、ビジネスにもさまざまな変革が求められている。とくに近年、実店舗にとっての重要課題とされているのが、店舗における「DX(デジタルトランスフォーメーション)」および、オンラインとオフラインを融合する「OMO(Online Merges with Offline)」の推進だ。

 なぜ、店舗においてDXやOMOが求められるのか。その理由のひとつに、山崎氏は主要購買層の変化を挙げた。

「デジタルネイティブ/スマホネイティブと言われるZ世代の半数程度は、すでにさまざまな分野でメインの購買層となるF1・M1層の年代(20~34歳)になっています。彼らは生活のあらゆる場面で当然のようにデジタルを活用しており、それは店舗での買い物でも同様です」(山崎氏)

ZETA株式会社 代表取締役社長 山崎徳之氏

 Z世代に限らず、店舗内でスマートフォンを用いて商品情報を調べる顧客は増加傾向にある。かつてはそのような行為に少なからず難色を示す店舗もあったが、それはもはやナンセンスだと山崎氏は指摘する。

「デジタルの活用は、基本的にCX(顧客体験)を向上する上で有効に作用します。顧客が店舗内で商品についてスマートフォン検索をするのは、『買い物で失敗したくない』『納得のいく買い物をしたい』という気持ちがあるからです。店舗を運営する企業・ブランドは、顧客がよりデジタルを活用した買い物がしやすくなるように協力すべきと言えます」(山崎氏)

 その際に懸念となるのが、店舗をショールームとして利用され、最終的に他社のECで購入されてしまうことだ。スマートフォンで商品情報を調べると、行き着く先がECの商品ページであるケースも多い。すぐに持ち帰る必要のない商品や、書籍・音楽・映像ソフトのようにデジタルデータとしても流通している商品などは、たまたま検索結果でヒットしたEC上でそのまま購入ページまで遷移することも十分に考えられる。

 しかし、それでは自社の売上にならず、目の前にいる顧客をみすみす逃してしまうことになる。これを防ぐ方法について、山崎氏はシンプルに「自社が運営するECに誘導すること」と解を明示した。

「たとえ、店舗ではなくECで購入されたとしても、最終的に自社ECの売上となれば、企業・ブランドとして問題はないでしょう。かつては社内の組織的事情などから、店舗とECを対比・対立する存在としてとらえることもありましたが、そのような考えかたはもはや通用しません。

 店舗は『場所』であり、ECは『手段』です。CX向上という目的のために、これからは店舗においてECをツールとしていかに活用するかが重要です。これこそが『店舗でのデジタル活用支援』であり、OMOの取り組みにおけるファーストステップでもあります」(山崎氏)

OMOが進むほど重要度を増す商品検索 顧客の期待に応える情報提供を

 店舗でのEC活用は、CX向上に寄与するとともに、店舗にとっても多くのメリットをもたらす。そのひとつが店舗在庫の軽減だ。後日配送が一般化している大型家電製品や家具のほかにも、顧客にとって後日受け取りで差し支えがない、もしくは自宅で受け取りができたほうが都合が良いという商品は多い。こうした商品の在庫をECと共通の倉庫・配送センターに保管すれば店舗スペースに余裕が生まれ、代わりに実店舗ならではの機能と言える体験スペースの拡充などへの有効活用が可能となる。

 では、店舗におけるEC活用の大前提となる「自社ECへの誘導」を成功させるにはどうすれば良いのか。もちろん店舗内でスムーズにECへ誘導するような仕組みの検討・実践も欠かせないが、それ以前に重要となるのが「ECに必要とされる要素を正しく理解し、それらを備えた自社ECをしっかりと構築・運用すること」だと山崎氏は強調する。

「ECの主要機能は、『商品検索』『決済』『配送』の3つです。このうちマーケティング要素となるのは商品検索で、売上を上げるための頑張りどころと言えます。多くの顧客は『商品を探したい』あるいは『商品のことを知りたい』と考えて、自社ECにアクセスします。検索機能が弱い自社ECは、それだけで顧客の期待を裏切ってしまうと考えてください」(山崎氏)

 なお、商品検索には検索機能そのものだけでなく、顧客が商品を探す行為をサポートする機能すべてが含まれる。たとえば、トップページに売れ筋の商品を表示しておくのも商品検索の一部ということだ。

 また、現状の一般的な商品検索では「誰が」「いつ」「どこで」検索を行っても、まったく同じ検索結果が表示されるケースがほとんどである。ここで山崎氏は、検索結果のパーソナライズにより他社との差別化が可能なEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を紹介した。

「顧客の登録情報や購買履歴などを組み合わせて分析することで、同一キーワードで検索しても顧客ごとに異なる検索結果が表示されます。ほかにも、パソコンやスマートフォンといったようにアクセスするデバイスや時間帯、在庫状況によっても検索結果が変動するように設計しました。検索結果はマーケティングであり、パーソナライズして然るべきと考えています」(山崎氏)

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 店舗でECが用いられる割合が増えれば増えるほど、商品検索のクオリティーが店舗の売上、ひいては企業・ブランド全体の売上にもたらす影響は大きくなっていく。「店舗DXやOMOの推進は、必ずしも前向きな『攻め』の取り組みばかりではなく、こうしたマイナスの影響や成長を妨げる要素を少しでもカバーするための『守り』の取り組みとしても重要」だと山崎氏は続けた。

店舗からECへの誘導にも作用 高価格帯商品ほど重要視されるレビュー

 商品検索と併せて、店舗でのEC活用やCX向上に貢献する要素として山崎氏は「レビュー(口コミ)」を挙げる。同氏は海外の調査結果を踏まえ、「レビューに対し、『続きを見る』などのアクション(操作)をする人は、コンバージョンが120.3%高くなる」と紹介。さらに、レビューによるコンバージョン増加は、高価格帯商品のほうが顕著であると補足した。

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「低価格商品ではレビューによって190%増加したコンバージョンが、高価格商品の場合は380%増加したという調査結果も存在します。高額な商品ほど『慎重に買いたい』と考える顧客が多く、よりレビューが重要視される傾向にあるということでしょう」(山崎氏)

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 ZETAが提供するレビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」では、こうした傾向を踏まえレビューのさらなる進化系として「Q&A機能」を提供している。同機能は商品購入を検討する顧客が投稿した質問に対し、店舗スタッフやメーカーの担当者もしくは購入済のほかの顧客が回答を行うという、従来のレビューに双方向性を持たせたものだ。

「ECで顧客が商品を購入せずに離脱してしまうのは、納得しきれていないからです。レビューやQ&A機能の役割は、顧客が納得感を得るために必要な情報・判断材料を提供し、購買における最後の後押しをすること。これは店舗でも同様で、今後ますますレビュー活用の成否が店舗の売上に与えるインパクトは大きくなるでしょう。店舗では、顧客がレビューにアクセスしやすい環境を整えておく必要があります」(山崎氏)

 山崎氏はこうした環境変化を踏まえ、「レビューは店舗の顧客を自社ECに誘導する有効なツールにもなり得る」と続ける。

「たとえば、店舗内で自社ECの口コミへ容易にアクセスできる二次元コードを商品ごとに設置すれば、店舗で商品情報を調べたいと思った顧客をスムーズに自社ECへ誘導することが可能です」(山崎氏)

 なお、「ZETA VOICE」ではレビューと検索を組み合わせた活用も実現している。顧客にとって参考となるのは、自分と似た人の生の声だ。そこで、体型や年齢を検索条件としてレビューの絞り込みを行い、必要な情報を効率的に探し出せる環境を作り上げている。

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「とくに海外のアパレルブランドでは、目や髪の色といった検索条件から自分に合ったレビューを検索するケースが多いと聞きます。早期からレビュー機能を取り入れていた企業・ブランドにとって、レビューは貴重な資産であり、検索機能などを組み合わせた活用も今後さらに広がっていくでしょう」(山崎氏)

 山崎氏は最後に、同社が展開する「ZETA CXシリーズ」の中から、改めてEC商品検索・サイト内検索エンジン 「ZETA SEARCH」、レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」、OMO・DXソリューション「ZETA CLICK」の3製品を紹介し、セッションを終えた。

 ZETAが提供するECマーケティング・リテールDXを支援するソリューション「ZETA CXシリーズ」の資料は、資料ダウンロードページよりダウンロードいただけます。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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