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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2021 Winter レポート(AD)

変容する消費行動 購買体験向上のためにOMOを考える

 コロナ禍を迎える以前より目まぐるしく変容し、常にデジタルシフトを遂げてきたと言えるEC業界。実店舗とECの関係性もO2Oからオムニチャネル、そしてOMOと変遷をたどってきた。1990年代後半から2000年生まれのZ世代が消費者層として台頭し、コロナ禍で世の中の変化のスピードがますます加速する中、企業・ブランドは改めて「気持ちの良い顧客体験」をとらえるべきと言えよう。2021年1月28日・29日に開催された「ECzine Day 2021 Winter」にて、ZETA株式会社の山﨑徳之氏が登壇し、OMOの最新動向とデジタル接客の推進方法について解説した。

コロナ禍で加速した消費行動とマーケ手法の変容

 ユーザーの消費行動や企業の事業展開が大きく変容した2020年。2021年1月には二度目の緊急事態宣言が一部都府県に発令されるなど、事態の収束にはまだ時間を要するが、近い将来コロナ禍を脱したとしても、待ち受けているのは「New Normal」と称された新しい世の中である。ECシフトが止まることはなく、一定数の企業ではテレワークが継続されるなど、生活様式は大きく変化するだろう。

 消費行動の変容はコロナ禍に限った話ではない。世代間における差も大きく表れている。バブル世代や団塊世代と比べて、「Z世代」と呼ばれる若年層はお金を使うことに慎重な傾向が強いとされている。

 万人に受け入れられる爆発的なヒット商品作りが目指されたかつての時代は、テレビや雑誌を駆使したマスマーケティングの手法が時流にマッチしていたが、デジタルデバイスの普及によって個人が積極的に情報収集やコミュニケーションを行える現代は、マーケティング手法もデジタルを用いたパーソナライズが当たり前の時代となった。ユーザーに応じて表示される広告が切り替えられ、可視化されたリアクションに基づき、マーケティングの最適化が実現されている。

 デジタルシフトにともない、実店舗のあり方も変わりつつある。従来の実店舗は、消費者と商品の出会いを創出するマーケティングの場でありながら、バックヤードに在庫を保持する倉庫の機能も備える必要があった。しかしECの登場によって、大型家電をはじめ翌日以降の受け取りでも差し支えがない商品は実店舗に余剰在庫を抱えなくとも販売が可能となっている。山﨑氏は購買活動を巡るさまざまな変化について「コロナ禍でなくても必然的に起こっていたはずですが、この1年で大きく加速したことは確かです」と語る。

 オンラインとオフラインの関係性にも、近年大きな変化が起きている。黎明期は実店舗の対立概念として語られるケースも多かったECだが、オンラインで接触したユーザーをオフラインに送り込むO2O(Online to Offline)の考え方が台頭し、送客のフックとしてオンラインに意義が見出された。

 時代が進むにつれ、今度はユーザーと複数の起点で接触することを目指すオムニチャネルの概念が注目され、企業に向けては主に在庫情報や会員ID、ロジスティクスを整備するといった文脈で語られた。そして現在はこれらの考え方を発展させたOMO(Online Merges with Offline)が命題となり、実店舗の内外を隔てることなく、デジタルデバイスを通してユーザーとの接触面を保ち続ける取り組みが目指されている。

「実店舗はあくまで場所であり、デジタルは情報の流通手段です。対立させること自体、本筋から外れているという認識を持ちましょう。ユーザーはスマートフォンを使い、実店舗内のみならず、移動中の車内や自宅、カフェなどさまざまな場所で商品の価格や評判を調べることができます。企業もそれに合わせてオンラインとオフラインを横断し、融合させる必要があるでしょう」(山﨑氏)

ネガティブな口コミもユーザーにとっては貴重な情報

 ユーザーがスマートフォンを用いて行う行動のひとつに、他者とのコミュニケーションが挙げられる。ZETAが提供するレビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」に備えられているQ&A機能は、商品購入を行ったユーザーのみが投稿する口コミとは異なり、購入を検討するユーザーが商品に関する質問を投稿できるようになっている。投稿された質問には、ユーザーのみならず実店舗スタッフや企業・ブランドの担当者も回答することができ、ユーザーは収集した情報を基に十分に検討した上で納得のいく買い物をすることが可能となる。

「情報収集に熱心なZ世代の消費者は、このようなコミュニケーションを非常に重視しています。こうした特性に向き合い、きちんと取り組みを行う企業とそうでない企業には大きな差がついてしまいます」(山﨑氏)

 アメリカのウォルマートが始めた「Scan & Go」という取り組みがある。ユーザーが店頭で商品に付随した二次元コードを読み込むと、スマートフォンに商品の詳細情報や売り場の人気商品ランキングなどが表示されるというものだ。ここで提供する情報が多ければ多いほど納得感のある購買を促すことができ、その場で購入を決断しなかったユーザーには後日クーポンを発行し、背中を押すこともできる。単純接触効果を増やすことで実店舗の外もマーケットの対象になるという、逆O2Oのような仕組みとなっている。

 山﨑氏は約3年前にパリで行われたイベントに参加した際、市内の視察ツアーで「Scan &Go」を体験した。アロマショップで商品別の二次元コードを読み取ることでアロマの成分やアレルギー情報を閲覧できたと言う。

 同ショップではスキャン時に遷移するURLが固定され、誰に対しても同一ページが表示される仕様となっていたが、ZETAのOMO・DXソリューション「ZETA CLICK」は、二次元コードにランダムなURLを設定することで、読み込むユーザーに応じて表示するページを出し分けることができる。スキャンしたユーザーの情報を受け取った実店舗スタッフは、閲覧履歴を参照しながら最適な接客を行うことが可能となる。さらに、実店舗での接客がオンラインでの購買につながった場合も履歴を追跡し、評価をすることができるため、実店舗スタッフのモチベーション向上にも役立つ仕組みであると言える。

 また、「ZETA CLICK」はスキャンすることで実店舗にいながらも、レジを介さずスマートフォンで決済と配送の手配まで完了できる点にも大きな特徴がある。これまではECサイトごとに会員登録を行い、決済情報や配送先の入力をする必要があったが、非接触型決済サービスを用いれば、それらの手間と情報漏洩リスクを排除することができる。会員登録必須であったECサイトの利用に「会員登録なしで購入する」という選択肢が加わることで、ユーザーの体験はより気持ちの良いものとなるはずだ。

「OMOにおいては、ユーザーの購買体験の質を上げることが非常に重要となります。いくら他社の販売価格や悪い口コミを知られたくないと思っても、ユーザーが店頭でスマートフォンに触れる行為は防ぎようがありません。購入に踏み切れないユーザーが情報を集めやすくなるよう協力し、誠意ある姿勢を心がけなければユーザーから見放されてデジタルシフトと若年層向けマーケティング、ふたつの文脈で遅れをとることになります。巣ごもり特需にあぐらをかき、デジタルシフトを先延ばしにしていてはコロナ禍収束後に梯子を外されかねません。コロナ禍にかかわらずデジタルシフトには取り組むべきです」(山﨑氏)

口コミはいずれソーシャルメディア化する

 海外の事例では、レビューが10件になるとCVRが1.5倍に、50件では2倍になるというデータもある。また、口コミの効果はCVRのみならず、返品率にも現れている。「ZETA VOICE」導入企業からは、口コミが寄せられている商品の売れ行きが平均1.8倍から2倍にまで高まり、「ユーザーが口コミを読み納得した上で購入するため、返品率減少にも成功しているといった声が寄せられている」と山﨑氏は述べた。

「消費者は、企業と比べほかの消費者の声を3倍信用すると言われています。ハッピーなカスタマーは最高のマーケターです。口コミを恐れすぎず、前向きなソリューションとしてとらえ、ネイティブなインフルエンサーを育てることが肝要です」(山﨑氏)

 アメリカでは、検索エンジンからAmazonのレビューページへ多くのユーザーが流入しているというデータも存在している。今後は日本でも口コミ文化がより盛んになり、口コミはメディア化していくと山﨑氏は予測する。

「口コミは今後、ECサイトという企業のオウンドメディアにおけるソーシャルメディアとして育っていくはずです。今は商品ページに添えられる形で口コミが表示されていますが、いずれは口コミがECサイトのメインコンテンツになり、口コミに目を通した上で商品詳細ページを見にいく、といった流れが生まれると考えています。Q&A機能も含めて商品のノウハウがそこに蓄積され、ユーザーが購入しやすい仕組みが整備されていくでしょう」(山﨑氏)

 変化する時代において、ユーザーの体験を向上させるサービスを提供する「ZETA CX シリーズ」は、豊富な導入実績と年間流通総額で圧倒的なシェアを誇るEC商品検索・サイト内検索エンジンの「ZETA SEARCH」に加え、前出したレビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」、OMO・DXソリューションの「ZETA CLICK」という3つの製品を主軸に構成されている。年間950億もの検索クエリを処理し、導入サイトの流通総額が2兆円にものぼる同シリーズは、およそ15兆円と言われる日本国内のEC流通額の1割強を占め、大手ECプラットフォームの流通額を除くとその割合は約3割にも上る。導入後の継続利用率も98%と非常に高い水準を記録し、デジタルツールの導入に積極的なアパレル企業の事例が豊富な点も特徴だ。

 山﨑氏は、最後に「アパレル企業のようにビジネス規模が比較的大きく、これまで実店舗ビジネスを主軸に展開を進めてきた企業はデジタルシフトが急務となります。私たちも皆様のお役に立てるよう、サービス向上に努めてまいります」と語り、講演を締めた。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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