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2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

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意外と知らない日本のECから買う国や好みの決済手段を調査!「2022年ペイパル海外通販レポート」

 ペイパル(PayPal)が毎年発表している海外通販レポートの2022年版が8月にリリースされた。インバウンド減と円安傾向で脚光を浴びる越境EC。2022年こそ本腰をと思うなら、ぜひチェックしてほしい内容だ。

越境ECに挑戦するなら「2022年ペイパル海外通販レポート」をチェック

 オンライン決済サービスをグローバルで展開するペイパル(PayPal)が8月4日、「2022年ペイパル海外通販レポート」を発表した。世界の主要マーケットにおける最新の動向や消費者の考えや行動に対する理解を深めることで、世界市場を視野に入れた企業が商機を引き出すための一助となることを目的としたもの。

 世界の14の市場(日本、中国、香港、シンガポール、アメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、メキシコ、ブラジル)の1万4,000人(過去3ヶ月以内にオンライン購入をしたことがある18歳以上)を対象に、2021年12月~2022年1月に実施している。

 本調査の目的について、ペイパル東京支店 広報部長の村田弦也さんはこう語る。

「ペイパルはグローバルで約4.3億人のユーザーを有し、その中には約3,500万の加盟店を含みます。日本では越境ECと呼ばれる自国のみならず海外のサイトからものを買ったり、海外のお客様にものを売ったりするクロスボーダーショッピングが活発になっており、ペイパルでは越境ECに積極的な消費者や事業者の方をサポートするためにも定期的にレポートを公開しております。2022年は14の国・地域を対象にとくに決済に焦点を当て、トレンドや新たなムーブメントについて調査しました。越境ECをお考えの事業者様が、どの地域に向けどのような商売をしていくかのヒントをご提示できればと思います」

話を聞いた人:PayPal Pte. Ltd. 東京支店 広報部長 村田弦也さん

PayPal Pte. Ltd. 東京支店 広報部長 村田弦也さん

 外資系広報代理店を経て2008年にアメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.に入社。 広報マネージャーとして多岐に渡るPR活動に携わる。その後、2017年にウォルマート・ジャパン/西友に入社。企業コミュニケーション部にて新商品ローンチなどの社外PRを担当したほか、コーポレートブランディングの強化を目的としたウェブサイトの構築や公式ソーシャルメディアの運営などにも従事する。2019年11月より現職。

「2022年ペイパル海外通販レポート」は、「エグゼクティブサマリー」「主な変化」そして14の国と地域の「市場別概況」の3つのパートから構成されている。まずは「エグゼクティブサマリー」から読み取れることを解説してもらう。

「グローバルにおけるEコマースの取扱高が、2020年から2021年にかけて7,000億米ドル増加したことがわかっています。経済の先行きに不透明感があり、かつロックダウンによる巣ごもり消費からリアル回帰の傾向が見えているにもかかわらず、Eコマースへのニーズは堅調に伸びていると言えます」

 次に「主な変化」だが、こちらは大きく3つの変化に分けられると言う。ひとつめは「ライフスタイルの変化」だ。

「コロナ禍を経て、時間や場所に縛られないライフスタイルに移行する人たちが増え、その変化はものを買う行為にも影響を与えています。とくに決済手段は柔軟性を求められており、今回のレポートでは消費者の46%が『分割払いを受け付ける小売業者を優先して利用したい』と回答しました。BNPL(Buy Now Pay Later、後払い)へのニーズは高まってきており、関連してペイパルでは日本で2021年9月にあと払い決済サービス『ペイディ』を提供するPaidyを買収しました。アメリカでは仮想通貨の利用も増えてきており、従来のクレジットカードや現金に加え、新たな決済手段が求められる変化が起きています」

分割払いを受け付ける小売業者を優先して利用したいが46%

 ふたつめ、3つめは消費の選択の際に物理的なスペック以外の要素が影響を与えるようになった変化だ。

「『友人や家族と一緒に楽しむ製品やサービスの購入により多くを費やした』と回答した消費者が57%と半数を超えました。コロナ禍において、外出せずに家の中で楽しむための消費が増えた面もありますが、自分のためだけではなく親しい人たちと一緒に楽しむことができるものにお金を使うようになったと考えられます。

『友人や家族と一緒に楽しむ製品やサービスの購入により多くを費やした』が57%

 さらに『社会に有益な取り組みを行う企業を優先して利用したい』が59%と、社会的課題に対して何らかのアクションを起こしている企業が支持され、消費行動にもつながっていることが読み取れる結果となりました。サステナビリティやSDGs(持続可能な開発目標)についてはコロナ禍以前からも関心はありましたが、コロナ禍を経てその傾向が強くなったと感じています。

 興味深いのは、国によって重視する社会的課題が異なることです。レポートによれば、フランスやイタリアは商品の素材にサステナブルな素材が用いられていることを重んじ、イギリスやブラジルはより環境に配慮した消費を行い、中国ではリユースに対して積極的な傾向がうかがえました。越境ECに取り組む事業者様におかれましては、このような国ごとの傾向をおさえていただくのにも役立つレポートではないかと考えております」

『社会に有益な取り組みを行う企業を優先して利用したい』が59%

 次ページからは、最後のパートとなる14の国と地域の「市場別概況」より、越境ECに取り組む日本の事業者の役に立ちそうな特徴的な国と地域をピックアップして解説してもらおう。

海外への販路拡大のチャンス!コロナ禍で越境ECを始める企業も

 市場概況の前に、日本の事業者にとって越境ECに取り組むビジネスチャンスが到来していることを伝えたいと村田さんは言う。その理由はふたつある。

「世界の消費者を見ると、『2020年と比較して海外のECサイトから購入することに抵抗を覚えなくなっている』が42%となりました。日本では一般的とまでは言えませんが、国によっては越境ECの利用が7割を超えるところもあります。そんな中、円安傾向により海外の消費者が日本の商品を購入しやすくなることから、日本にとって有利な状況にあると言えます。現在、多くの日本の中小企業様にもペイパルをご利用いただいていますが、我々のデータから見るにジャパンブランドへの評価は高く、日本の良い商品サービスを海外で販売するチャンスはもっとあるのではないかと感じています」

 日本のポップカルチャーへの支持やインバウンド観光客の爆買いなど、越境ECが脚光を浴びる機会がこれまでもなくはなかったが、言語や通貨、物流などバックヤードの壁に阻まれてきた。

「ペイパル 中小企業によるEコマース活用実態調査」より越境ECへの取り組み

「従来、日本の中小規模の事業者様に越境ECについてお尋ねすると『優先順位が高くない』との回答が一定の割合でありました。しかしながら2021年12月に発表した『ペイパル 中小企業によるEコマース活用実態調査』では、45%が既に行っている、もしくは計画中との回答でした。既に行っていると回答した事業者のうち、39%がコロナ禍に開始しています。国内だけでビジネスを拡大するのが難しくなっていく中、海外に目を向け、成長を模索する動きが始まっています。越境ECにお取り組みになる中小企業様をペイパルではしっかりとサポートしていきたいと考えています」

意外と知らない日本のECサイトから購入する国とは

 越境ECを始めるといっても世界は広く、言語や通貨はさまざまある。どこに向けてビジネスを行うかを考えるヒントとして、村田さんは「2022年ペイパル海外通販レポート」より、日本のECサイトから積極的に購入する傾向がありながら、それがあまり知られていない国として、ブラジルとメキシコを紹介してくれた。どちらも越境ECの購入先の国として、日本が3番目に高い割合となっている。

「レポートによれば、両国とも越境ECで購入する商品カテゴリとして『衣料品・アパレル』が4割強を占めています。利用者の年齢層を見ると、45歳未満が約7割を占め、若い層が消費を引っ張っていることがわかります。越境ECを利用する理由としては、価格の安さもありますが、『新しくて面白い商品が発見できる』が高い割合であることにも注目です。決済手段としては、ブラジルではペイパルが3割、メキシコでは5割となっています。このようなデータは、販路拡大の国と地域を定める際のヒントになるのではないでしょうか」

「2022年ペイパル海外通販レポート」よりブラジルの消費者基本データ

ブラジルの消費者基本データ
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「2022年ペイパル海外通販レポート」よりメキシコの消費者基本データ

メキシコの消費者基本データ
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 やはり距離が近いアジア地域についても、おさえておきたい。中国、香港は本レポートでも日本のECサイトからの購入が3割以上を占めているが、経済成長を遂げたシンガポールも気になるところだ。

「シンガポールは、越境ECを利用する年齢層が55-64歳が最多となっているのが特徴です。将来を見据えて若い世代にも注力すべきですが、現時点で多数を占める利用者層にいかにアプローチするかも重要でしょう。

 コロナ禍の2020年以降、新たにペイパルを利用するようになったユーザーのデータを見ると、50歳以上の『シルバーテック』と呼ばれる層が世界的に急増しました。従来はリアル店舗を中心に利用していた層が、ロックダウン等でEコマースを利用するようになり、ロックダウンが解除されてもEコマースの利用を続けていると考えられます。シンガポールはまさに、シルバーテックの層が越境ECのトレンドを作っている良い例と言えるかもしれません」

「2022年ペイパル海外通販レポート」よりシンガポールの消費者基本データ

シンガポールの消費者基本データ
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『自分は良心的な消費者である』が過半数 欧州の消費動向

 サステナビリティやSDGsなどの取り組みで日本より先行する、欧米についてはどうだろう。

「ヨーロッパについては、『CONSCIOUS CONSUMER(コンシャスコンシューマー)』という言葉がひとつのキーワードとなっています。サステナブルやエシカル(倫理的)な消費を心がけ、環境への配慮などを重視する層のことです。ある調査によればヨーロッパの56%の消費者が『自分はコンシャスコンシューマーである』と回答しています[1]。『2022年ペイパル海外通販レポート』でも、英国の3分の2の消費者は持続可能な生活スタイルを求め、イタリアの約6割の消費者が社会的に害のない良質な商品により多く支出することがわかりました。ヨーロッパに向けて販売する際には国を問わず、このような消費者の姿勢を考慮する必要があるでしょう。

 アメリカについては、越境ECで購入するカテゴリの第2位が『おもちゃ・ホビー』となっており、非常に興味深いです。コロナ禍のロックダウン時に、ペイパルの日本の加盟店様のアニメグッズなどがよく売れていました。日本のアニメのようにクオリティの高いものが、アメリカの消費者から高い評価を受けていることがわかります。トイジャンルを取り扱う事業者様は、アメリカ市場を販売先として検討するのもひとつの選択肢と考えられます」

画像を説明するテキストなくても可
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  最後に、越境ECを検討する、またすでに取り組んでいる日本の事業者に対し、メッセージをもらった。

「ペイパルがご支援できることは大きく3つあると考えています。ひとつは、日本のみならず海外に販路を広げビジネスを拡大していこうとする際に、ペイパルをご活用いただくとペイパルが持つ世界の約4.3億人のユーザーベースにアプローチすることが可能になります。ふたつめにペイパルを導入いただくことで、国や地域ごと異なる現地通貨や決済手段に都度対応するのではなく、ひとつのプラットフォームで済ませることができます。3つめに、不正決済への対応です。ECが成長するとともに、不正が伸びており世界的に深刻な問題となっています。2021年だけで200億米ドルの不正取引による被害が出ていると言われています[2]。ペイパルは24時間365日決済取引をモニタリングしており、AIなどを活用して毎月10億件以上の取引を安全に処理しています。また、消費者・事業者様双方にプロテクション制度を設けており、万一何か起きてしまった場合でも一定の条件を満たせばペイパルが保証しますので、安心してご利用いただけます。

 今回のレポートは、海外に目を向けるうえで興味深いインサイトが多数見つかると思います。海外進出の第一歩として、どの国や地域がふさわしいのかのヒントを見つけていただければと思います」

海外への販路拡大を考えるヒントに「2022年ペイパル海外通販レポート」

2022年ペイパル海外通販レポート表紙画像

 世界の14市場を対象に実施した越境ECにまつわるヒント満載のレポートです。海外へと販路を広げ、ビジネスを拡大したいEC事業者の方はぜひダウンロードの上、どの国・地域にビジネスチャンスがあるかをチェックしてみてください。ダウンロードは「2022年ペイパル海外通販レポート」サイトから。

[1] European Commission, New consumer survey shows impact of COVID-19.

[2] Statista、Value of e-commerce losses to online payment fraud worldwide in 2020 and 2021、2021年11月

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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