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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2024 Spring レポート(AD)

ECサイト運営で考慮したいAIツールの選び方 キーワードは「長期目線」と「密着度」

 EC業界におけるAIの存在意義とは、何だろうか。売上向上やコスト削減を重視する事業者ほど、要望をかなえるために目的を見失ってはならない。出発点から間違えてしまうと、ツール選択やその先の成果にも影響を及ぼすからだ。2024年3月14日開催の「ECzine Day 2024 Spring」にて、シルバーエッグ・テクノロジー株式会社 マーケティング部 シニアマネージャーの園田真悟氏が登壇。One to Oneマーケティングを実現するAIツールの選定を例に、重視すべきポイントや注意点を語った。

AIツールは「技術」ではなく「目的」から選ぼう

 独自開発のパーソナライゼーション技術を用いたレコメンドエンジンを提供するシルバーエッグ・テクノロジー。同社は、創業者である代表取締役社長兼CEOのトーマス・アクイナス・フォーリー氏自身も、エンジニアとしてAIエンジン開発経験をもち、自社にデータサイエンティストを保有している点が強みだ。園田氏は「アイジェント・レコメンダー」など主力サービスの特徴を、次のように語る。

「シルバーエッグのAIサービスは、ECサイト内でよく見る“あなたへのおすすめ”を表示するだけではありません。One to Oneのコミュニケーション精度を高めることで、カスタマージャーニー全般の最適化に貢献しています」

シルバーエッグ・テクノロジー株式会社 マーケティング部 シニアマネージャー 園田真悟氏
シルバーエッグ・テクノロジー株式会社 マーケティング部 シニアマネージャー 園田真悟氏

 人間のように学習、推論を行い、問題を解決するAIは多様化し、機能が細分化されてきた。しかし、園田氏は「分類はあまり意味をなさない」と説明する。その理由は、同じ目的でも使われているアルゴリズムが異なったり、目的が違っても応用的に同様のアルゴリズムが使われていたりといったケースがあるからだ。また、要望をかなえるAIツールが、複数のAI技術の集合体であることも多いという。

「生成AI、画像認識AIなど、技術から選ぶことはお勧めしません。自社の課題と向き合い、解決するために必要なAIは何なのか、突き詰めて考えた上で要望に合った機能やアルゴリズムが搭載されたAIツールを選ぶべきです」

AI導入のヒント
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 ECサイトに求められるAIの究極の目的として、園田氏は「売上を上げる」「コストを下げる」の二つを挙げた上で、「このどちらにもコミットできないAIは、採用する意味がない」と断言。これらの目的に、AIの特徴となる「学習能力」「自動化と効率化」「柔軟性」「予測能力」がどう寄与できるか。これが「価値判断の分かれ目になる」と補足した。

陳腐化しないAIツールの選び方 トレンドはどう見極めるべきか

 目的にコミットできるAIツールを導入する際、類似するツールや他社事例を収集した上で選定するのが一般的だが、AIは高度な業務を実行できる分、その結果に確実性がないことが課題となりがちだ。何を判断軸とすれば良いか悩む人も中にはいるだろう。

「AIのアウトプットは環境によって異なるため、特にECサイトの売上に関わるAIツールは、実環境(本番環境)でのテストが求められます。可能なかぎりA/Bテストを並行実施し、実地で試していくしかないのですが、結果が出るかわからないツールにコストをかけるのはリスクだと感じるケースもあるでしょう。無償のテスト導入を提供しているものや、AIによって売上が生まれた際に課金が発生する成果報酬型のツールを選定するのも一つの手です」

 園田氏は続いて、業務にAIを導入する際の注意点を解説。「実環境での計算時間」と「変化への追従」の2点を挙げた。

AI導入の注意点
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「『実環境での計算時間』は、導入時に意外と考慮されないポイントですが、高度な計算を実施して予測値を導き出すには当然、ある程度の時間がかかります。これを短くすることこそアルゴリズムの本質ですが、サーバーコストがかさむ場合もあり、ECサイトで採択できないケースは多々あります」

 たとえば、顧客のニーズを正確に捉えられるAIレコメンドツールを導入しても、ニーズ予測の計算に1秒、2秒と時間がかかってしまうと、スマートフォンで隙間時間にアクセスし、買い物を済ませる現代のユーザーはレコメンド商品を見ることなく離脱してしまう。「顧客に購入を促す」という目的を達成するには、単にレコメンドの精度が高ければ良いのではなく、許容可能な時間内で予測計算を行い、結果を表示できるリアルタイム性が不可欠になることは間違いない。

「精度と計算時間のバランスは非常に大切で、両立できるAIシステムを構築するにはプロの力が必須です」

 「変化への追従」について、園田氏はキュウリの検品システムを例に挙げて説明した。

「画像認識AIで、曲がったキュウリを排除するシステムは簡単にできますが、『ほんの少し曲がっているキュウリこそが美しくおいしい』とトレンドが変化した場合、そのシステムの賞味期限は切れてしまいます。こうしたトレンドの変化のたびにAIのアルゴリズムを変えるのは負荷が大きいため、どんなキュウリが売れているかを随時計測し、AIが常に学習し続けるシステムを構築する視点は不可欠です」

 変化に追従する仕組みがあるAIシステムは陳腐化も形骸化もせず、長期的に見れば費用対効果を高められる可能性が高い。園田氏は、AIツールを選定する際に「リアルタイム学習の重要性にも目を向けるべき」だと語った。

上手に使えば、EC売上の2割はレコメンドから生み出せる

 近年注目を集めるOne to Oneマーケティングを効率的に、かつ精度高く行うには、AIツールの活用が欠かせない。園田氏はその一例として、AIレコメンドエンジンを紹介した。

「たとえば、シルバーエッグ・テクノロジーが提供するアイジェント・レコメンダーは、店舗では日常的に行われているOne to One接客のように顧客のニーズに共感し、信頼を獲得していくまでのグッドスパイラルを、デジタルの世界に再現する目的で作られています」

自動推薦システム - レコメンドエンジン
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 園田氏は「アイジェント・レコメンダーでは、従来型の広告・CRMツールのような一方的な“仮説”と“分類”による商品の押しつけをなくし、24時間365日営業しているECサイトで安定したクオリティーの接客を提供し続ける術を考えた結果、AIレコメンドエンジンに行き着いた」と、同社の歴史を解説。ECサイトにレコメンドを入れて得られる効果として、「顧客ナビゲート」「商品理解」「新規需要創出」の三点を挙げた。

「一人ひとりのニーズを自動的に感知し、大量のコンテンツの中から最適な商品やコンテンツを提案できれば、顧客体験向上を実現できます。また、単にお勧めの商品を表示するだけでなく、閲覧経路から好まれそうなオウンドメディア記事や、購買につながる可能性が高い別カテゴリーの商品などを提案すれば、商品に対する理解度や購入モチベーション向上のきっかけになるでしょう。閲覧履歴などから潜在ニーズの高いコンテンツを予測し、新たな商品との出会いや購入促進ができれば、売上向上にもつながります」

ECサイトにおけるレコメンドの主要効果
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 こうしたメリットから「AIレコメンドエンジンは、単なるアップセル・クロスセルを促すツールではなく、顧客との親密度や信頼関係の向上が実現できるツール」だと説明。続いて、主なAIレコメンドエンジンで使われているアルゴリズムについて解説した。

「AIレコメンドエンジンでは、主に『属性情報ベース』と『行動情報ベース(協調フィルタリング)』の二つのアルゴリズムが用いられています。AIの性能が発揮されやすいのは後者です」

 「行動情報ベース(協調フィルタリング)」の場合、類似度の高いユーザー群の行動情報を学習した後は、パーソナライズしたアドバイスが可能となる。閲覧や購買などといった行動情報は完全性や更新性が高いため、売上などの数字にもつながりやすい。シルバーエッグ・テクノロジーの支援先でも、業種によってはEC売上全体の約2割がレコメンドによって生み出されており、園田氏は「AI活用の可能性が感じられる」と強調する。

 レコメンドと聞くと、オンラインチャネルでのアプローチを想起するかもしれないが、シルバーエッグ・テクノロジーでは「OMOレコメンド」と呼ばれるメニューも提供している。店舗の顧客データだけでは困難だった精度の高いレコメンドを、ECサイト側の顧客データと統合・分析することで実現。会員メールやアプリを通じて、店舗の再訪率(F2転換率)向上や、ECサイトとの相互送客が期待できるという。

OMOレコメンド
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 レコメンドは、MAと組み合わせることでより効果を発揮する。既存のMAツールは、最適なタイミングや経路、手法でメッセージを届けることを得意としているものの、「何を出すか」について策を施しきれていない部分があった。こうした足りない部分をレコメンドで補完すれば、適切なタイミングや経路で、最適な商品をふさわしい人に提案することも夢ではない。既に実店舗のID-POSデータを取り込み、ECサイトのデータと統合した上で「次に買うべきアイテム」をパーソナライズして提案する事例も、同社には存在する。

 アパレル・食品など、ECサイトでの買い物が生活に根づきつつあるカテゴリーであればなおさら、顧客が求める細かなニーズに応えるためのパーソナライゼーションや、顧客の「今の行動」を捉えた速やかな改善施策は欠かせない。それをかなえる手段の一つとしてAIを使えば、成長の鈍化を課題としていたECサイトにも新たな展望が見えてくるはずだ。園田氏は最後にこう語り、セッションを締めくくった。

「シルバーエッグ・テクノロジーは、これからもポジティブなコミュニケーションサイクルの実現に向け前進し、『良いものを届けたい』という企業の想いと『良いものに出会いたい』という消費者の想いをつないでいきます。カスタマーライフタイムバリューの最大化に取り組みたい方は、ぜひご相談ください」

EC売上につながるレコメンド導入に興味がある方必見!

 シルバーエッグ・テクノロジーでは、アイジェント・レコメンダーをはじめとするAIを活用した様々なサービス・ソリューションを提供しています。興味がある方は、ぜひ資料ダウンロードページをご覧ください。

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提供:シルバーエッグ・テクノロジー株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://eczine.jp/article/detail/14503 2024/04/15 11:00

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