EC女子・Amazonバイヤー皆川新子さんのキャリアを訊く
――現在のお仕事にたどり着くまでの経緯をお聞かせください。
まずは新卒で、日本の大手コンサルティング会社に入社しました。インターンを経験しておもしろそうな仕事だと思ったこと、いろいろな業界と接することで、その後の人生の選択肢が増えそうだと考えたからです。消費材業界を中心に事業計画立案、業務改善、マーケティングリサーチなど幅広く担当しました。優秀な同僚や、各社の第一線で活躍している方たちと一緒に働くのは、とても刺激的でした。
ただ、どうしても長時間勤務にはなりがちでした。若手のうちは「量が質を生む」というような価値観もあり、深夜残業やタクシー帰りが当たり前だったんです。今思えば、あまり向いていない仕事をしていたのかもしれません。そんな日々が6年続き、28歳くらいになって、ずっとこの仕事を続けていくイメージを持てなくなってしまったのです。
――女性が一番悩み出す年ですよね……。
具体的に、何か人生のプランがあったわけではなかったんですけれど。でも、そういうことをたくさん考えてしまう時期ですよね。最後のほうは「長期旅行がしたい!海外に行きたい!!」という思いが積もりすぎてしまって、半ば勢いで辞めてしまいました。転職が決まると、長期間旅行に行けなくなると思ったので、次のことは考えず……。
ヨーロッパ各国をバックパッカーのような感じで、ぶらぶらと3か月間旅行しました。帰国後に就職活動をしましたが、リーマンショックの影響を受けて内定が取り消しになったこともありました。
――皆川さんのような方でも、そんな時期があるんですね。次のお仕事は、何を基準に選択しましたか?
「手にとって実感できる仕事がしたい」と考えていました。コンサルティングのように目に見えないものを提供するのではなく、物理的に手に取って確かめられるような、身の周りにある商材にかかわりたいと思ったんです。そこで、消費財業界向けに戦略コンサルティングをしていた経験を活かすことができそうな、企画職やマーケティング職を中心に探していました。
そんな中、ご縁があったのが前職の化粧品通販ベンチャーでした。とても良い商品を作っていたので、もっと世の中に広めたいと思い、転職を決めました。
――どんな業務を担当されましたか?
小さい組織でしたから、いわゆる何でも屋でしたね。自社ECサイトの運営、集客のためのウェブマーケティングやTVショッピング、カタログ通販など、幅広い企画に携わり、お客様のダイレクトな反応を感じることができました。また、商品企画やPRなどにもかかわることで、ひとつの商品を生み、育てていくプロセスの全体像を体感させてもらいました。楽しく、やりがいがある仕事だったのですが、長時間労働を価値とする企業風土で、結婚や育児との両立が難しいのではないかと考えるようになりました。