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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

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大西理氏と振り返るEC業界25年史 顧客に求められるシステムとサービスはどう変わった?

デジタルもアナログも 「選べる」が最大のステータスに

──「この企業やブランドになら情報を渡してもいい/渡したい」と思ってもらえるような働きかけが必要な反面、原材料費高騰による値上げや物流2024年問題への理解など、顧客に変化や負担を求める場面が増えているのも事実です。さじ加減が難しい時代に企業はどうすべきでしょうか。

大西 スマートフォンが買い物を便利にしたように、今はあらゆる情報が人々の目に入ってくる時代です。Z世代をはじめとする若年層は、SDGsへの問題意識も高くなっていますし、物流2024年問題は国全体で取り組もうと多くのマスメディアでも取り上げられています。働き方改革などにもあるように、世の中全体が誰かに無理を強いるのではなく、課題感を共有して持ちつ持たれつの関係を築くのが健全だという流れになりつつあるのではないでしょうか。

村田 コロナ禍も、多様性の時代に少なからず影響を与えていると思います。「店舗に多くの人を集められない」「非接触推奨」という外的要因がきっかけですが、住んでいる場所や生活スタイルなど、様々な理由で店舗に足を運べない顧客は昔から存在しました。オンラインがあれば顧客との出会いの可能性が広がるとわかったことで、企業は「リアルな世界で体験を完結しなければならない」という思い込みから脱却できたのではないでしょうか。多くの人々の価値観が変わり、体験に求めるものが一律ではなくなったようにも感じます。

大西 オンラインとオフラインの垣根をよい意味で曖昧にするサービスも、コロナ禍前後に増えました。特に、2019年に生まれたスターバックス コーヒー ジャパンの「Mobile Order & Pay」と、2020年にサービス開始した日本マクドナルドの「モバイルオーダー」は、体験としても秀逸です。これらの普及により、行列はステータスではなく顧客にとっては「面倒な体験」であり、顧客に選択肢を用意すべきという新たな概念がサービス業全体に普及したと思います。

村田 顧客の中にも、スタッフからのサービスを積極的に享受したい人と、効率を重視したい人が存在するはずです。話しかけてから様子をうかがうのが従来型の手法でしたが、スマートフォンやオンラインを介して顧客が主体的に選べる状況は、心理的ハードルも下げられますよね。

 一方で、店舗主軸の飲食店やサービス業では、まだ体験提供において発展途上な部分もあると考えています。たとえば、居酒屋でテーブルオーダーができるようになり、接客要素がゼロになってしまうと、「その店舗がどこで競合と差別化するのか」という新たな課題が生まれるでしょう。「どこに行っても均質な体験」では、選ばれる理由がなくなってしまいます。ここはまだ、工夫の余地があるといえます。

大西 デジタルに長く携わっていますが、実は私自身はまだ店舗で商品を購入したい派です。接客を受け、コミュニケーションを取りながら購入した商品は思い出含めて愛着が湧きますし、ECサイトでこうした人間味のあるサービスを提供できているかという点で見ると、まだまだ伸びしろがある部分だと考えています。

 オンライン、オフラインを問わず、これからの売り場に必要なのは立体的なサービスやサポートです。インターネット以前の世界では、カタログ通販やテレビショッピングなど、企業側が一方通行で情報を届ける手段しか存在しませんでしたが、インターネット以降は顧客側からの情報発信も簡単になりました。とはいえ、従来型のタッチポイントが完全に消滅したわけではなく、選択肢として今もなお生き続けています。重要なのは「顧客が自由に選べること」で、それこそが顧客の心地よさにつながっているといえます。

村田 当社にも、各社から顧客の選択肢を増やすための要望が寄せられています。特にeコマースでは、ECサイトで選んだ商品を希望店舗で試着予約できるようにする機能の実装などが多いですね。

──顧客の細かな要望に応えれば、プラスなUGC創出にもつながりそうですね。

大西 今は、個人の発信力が強い時代です。だからこそ、企業に求められるのは「誠実さ」だと思います。

 先日、公益社団法人日本マーケティング協会が34年ぶりにマーケティングの定義を刷新しましたが、これが大変興味深いものでした。注目すべきは企業に対し、「顧客や社会と共に価値を創造」する関係性を築くよう推奨しており、マーケティングの「主体は企業のみならず、個人」もなり得ると述べている点です。「関係性の醸成には、新たな価値創造のプロセスも含まれている。」と記載されていることからも、これからビジネスを伸ばすには、企業が一方的に望む形で情報を届けるのではなく、対等な関係で共創する意識が必須だといえます。

村田 そうなると、企業がもつ課題を顧客に共有し、一緒に解決する心持ちも必要だといえます。既存の「企業はこうあるべき」という概念を一度取り払い、ブランド育成や商品・サービスをより使いやすくするために必要な要素をまず顧客に聞いてみる。そして、意見を踏まえて都度磨き込みを図っていく。顧客の要望に応え続けるには、どこまで柔軟に動けるかも重要です。「システムをカスタマイズしなければどうしようもない」といったように、ツールやプラットフォームが阻害要因になるのであれば、今後を見据えた抜本的な見直しが必要なタイミングだといえるでしょう。

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 Omni-Base for DIGITAL’ATELIERは、店舗とECを横断した在庫管理や顧客管理が可能なバックオフィス機能を兼ね備え、OMO戦略を実現するためのフルフィルメント業務全般をオールインワンでカバーします。本記事で興味を持たれた方は、DIGITAL’ATELIER公式サイトからお問い合わせください。

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この記事の著者

夏野 久万(ナツノ クマ)

フリーライター。制作会社などで勤務後、独立。紙媒体をはじめ、企業のオウンドメディアやビジネス系、ライフスタイル系メディア、コラム、エッセイなども手掛ける。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:BIPROGY株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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