日本オラクルは2025年7月8日、2026年度の事業戦略説明会を実施した。同社は2025年度、通期で過去最高益を達成。売上高成長率は約8%となった。グローバルでも大規模受注を積み上げており、取締役 執行役 社長 三澤智光氏は「再成長を始めた」と強調した。

2026年度の事業展開の核として、AIが挙げられた。AIが学習を重ねるためには、データが必要となる。しかし「単にデータを準備すれば良いわけではない」と三澤氏。その背景まで理解しているかが重要だという。
「AIの活用には“コンテキスト”、つまりデータの意味を表すものが必要です。それをどう学習させられるかで、どれだけAIが活躍できるかが決まるでしょう」
EC事業においては、顧客の購買履歴だけでなく、なぜその商品を選んだのか、どのような問い合わせがあったのかといった背景までAIが理解できるかに焦点が当たる。
AI-Readyなデータプラットフォームとして、日本オラクルは「Oracle Autonomous Database」を提供している。これはデータの背景情報(コンテキスト)を管理するために、コメント機能やアノテーション機能などを備えているという。顧客データや商品データに付随する「意味」までAIが深く理解することで、たとえばECサイトでのパーソナライズ、レコメンデーション、あるいはカスタマーサービスにおける高度な自動応答など、より精度の高いAI活用が可能になると考えられる。
なお、日本オラクルは、自社のERPやCRMなどのクラウドアプリケーションにもAI機能を多数組み込んでおり、今後もその数を大幅に増やしていく方針を示した。