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omni7の「flamingo」活用例 大規模ECもユーザー行動変化に合わせUI/UX改善を迅速に

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2021/01/06 11:00

 コロナ禍で急増したECへのニーズ。多くのユーザーに良い顧客体験を提供すべくECサイトのUI/UXの改善は急務だが、システム上の問題で着手できないと悩むEC事業者も少なくないだろう。日本でも有数の大規模サイト「omni7」は、UI/UX改善のためのクラウドサービス「flamingo(フラミンゴ)」によって高速にPDCAを回すことに成功している。その取り組みについて、omni7の運用を担当するセブン&アイ・ホールディングスの末田太郎氏、flamingoを提供するアイスリーデザイン 武本拓也氏に話を聞いた。

ECサイトのUI/UX改善をフロント部分のみで実現できるflamingo

 モノよりコトの時代、多くの企業がカスタマー・エクスペリエンス(Customer Experience、以下CX)」の向上に取り組んでいる。CXは、企業が持つそれぞれのチャネルのUI/UXの積み重ねで築き上げられるものだ。とりわけ、スマートフォンの浸透により、モバイルECにおけるUI/UXの重要性が説かれて久しいが、ECのようにバックエンドもかかわる複雑なシステムでは、PDCAを高速に回して改善し続けることが難しい場合もある。

 よりUI/UXを磨いていきたいが、システムやコスト面で思うように実行できていない。そんな悩みを抱える人に、UI/UX改善のためのクラウドサービス「flamingo(フラミンゴ)」を紹介したい。バックエンドシステムに影響を与えず、フロントシステムのみの改修を実現できる点が特徴のflamingoは、システムの仕組みが複雑で情報が多く、かつ高いセキュリティが求められる「チケットぴあ」や「ニッセンオンライン」などのECサイトや金融機関のサイトでの実績を多数持つ。同サービスの開発・運営を行うアイスリーデザインは、「ピーチ・ジョン」などのアプリ開発も手掛け、モバイル分野の開発とUI/UXに強みをもつDX支援会社だ。

 今回の記事では、日本有数の大規模ECサイト「omni7」のflamingoを用いたUI/UX改善事例を紹介する。omni7のSEOやサイト改善を担当するセブン&アイ・ホールディングス IT統括部 EC 末田太郎氏、アイスリーデザイン プロジェクトマネージャー 兼 UI改善チームリーダー 武本拓也氏に対談してもらった。

改善したいが始められない 大規模ECサイトだからこその悩みを解決

ーーflamingo導入以前、omni7のUI/UXについてどのような課題をお持ちでしたか?

末田(セブン&アイ) omni7は、セブン&アイグループ各社のECサイトを統合したものです。私たちの部署では、ヘッダーやカートなど共通部分の改善や、各社のEC担当者と協働して各社サイトのUI/UXなどの改善を行っています。中でも私は、flamingoを用いたUI/UX改善を担当しています。

 flamingo導入以前からUI/UXの課題はいくつか見えていましたが、軽微な改修でも影響範囲の広いテンプレートの改修が必要な場合もあり、迅速な改善は難しく、コスト面からも多くの施策を断念していました。一方で、お客様の行動が大きく変わってきており、従来の改善ペースでは追いつかなくなっていました。常にA/Bテストを行い、PDCAを高速で回すことが理想ですが、なかなかスピーディーに実施できない状況だったのです。そんな中、あるグループ会社のEC担当者からflamingoを紹介されました。アイスリーデザイン様に山積みになっていたUI/UX改善施策を共有したところ、非常に低コストかつ短期間でご対応いただけることから、2017年にflamingo導入を決め、2018年から本格的に活用を始めました。

ーーflamingo導入の決め手となったポイントを教えてください。

末田(セブン&アイ) この種のツールは、オリジナル画面を表示した後にJavaScriptによって画面に変化を起こすというものが多いのですが、flamingoは本当に一瞬で変わります。ユーザビリティを落とすことなく改善ができるのが、いちばんの決め手となりました。また、目に見える部分の改修だけでなく、たとえばmetaタグを変更した際にSEO改善が可能になる点も大きかったです。SEOについては課題のひとつと認識していたため、ぜひ取り組んでみたいと思いました。さらに、従来はなかなかA/Bテストが実施できていなかったのですが、flamingoでは容易に行うことができる点にも惹かれました。現在は月1回のペースで実施しており、このような頻度で実施できることを非常にありがたいと思っています。導入前にアイスリーデザイン様と何度かお話しした際に、コミュニケーションが取りやすいと感じたことも理由のひとつです。

武本(アイスリーデザイン) セブン&アイ・ホールディングス様のように、UI/UXの課題は見えているけれどもシステム上の都合で改善に取り組むことが難しいという企業様からのご相談をよくお受けします。中でも、大規模なEC事業者様や金融機関様は、セキュリティ対策が重要であり、かつ、ユーザーに提示しなければならない情報の量が非常に多いことが特徴です。このような制限がある中で、大量の情報をユーザーにどのように提示すれば成果につながるのか、UI/UXまで考慮したサイト作りを実現できている企業様はそう多くはありません。

 flamingoは、大規模なウェブシステムで改修が困難なシステムのモダナイゼーションを手軽に素早く実行できるDX支援サービスです。サーバーサイドには影響を与えず、フロントのDOM(Document Object Model)を書き換えることができるため、大規模なEC事業者様のような複雑なシステムであっても、UI/UX改善に取り組みやすくなります。基本的な操作を覚えていただければ、HTML・CSS・JavaScriptの変更から本番へのリリースまでの操作を容易に行っていただくことができます。また、個人情報などのデータがflamingo側のサーバーを経由せずに処理されるため、セキュリティ面でも安心な設計になっています。

ユーザー行動の変化に合わせ、UI/UX改善のPDCAを回し続ける

ーーセブン&アイ・ホールディングスとアイスリーデザインの2社では、どのような体制でflamingoを活用しUI/UX改善に取り組んでいますか?

末田(セブン&アイ) 導入から2年間で、それまで抱えていた課題をアイスリーデザイン様に共有し、いったんやり切ったところです。その後は、omni7の共通部分を担当する私たちの部署とグループ各社のEC担当者がそれぞれ、改善していきたい部分が出てきたらその都度相談を持ちかけています。UI/UXの改善はやればやるほど課題が出てくるものですし、お客様の行動変化に合わせてまた別の改善を重ねていく必要もあります。課題は見えているけれど具体的にどうしたら良いかわからないといった、要件定義が曖昧なものについてもアイスリーデザイン様にご相談しています。

 flamingoの画面で操作をして私たちが実際に作業することはなく、HTMLやJavaScriptを書き換えるのはアイスリーデザイン様にお願いしています。グループ会社6社とomni7を合わせた7社分の改修要望を読み解き、組み込んでいただく必要があるのですが、非常に迅速にご対応いただいています。コミュニケーションにはBacklogを用いていますが、ざっくりとしたご相談があってもレスポンスが非常に速く、真剣に取り組んでいただいていることがわかります。2社が、とても良いひとつのチームになっていると思います。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス IT統括部 EC 末田太郎氏

武本(アイスリーデザイン) セブン&アイ・ホールディングス様からいただいたご要望に対し、そのまま改善作業を行うのではなく、改善が必要になっている根本的な理由を考えるところから始めます。たとえば、「商品詳細画面のUIが良くないと思っている」とのご相談をいただいた場合、すぐにUI改善に着手せず、根本的な課題がほかにないかを探します。また、アイスリーデザインでは、ウェブのUI/UX以外にも、サービスデザインやアプリ開発なども行っているため、その知見を活かし、UI/UX改善に留まらない幅広い視点から提案しています。

株式会社アイスリーデザイン プロジェクトマネージャー 兼 UI改善チームリーダー 武本拓也氏

ーー数ある改善施策の中で、顕著に成果が出たものをご紹介ください。

末田(セブン&アイ) SEOについて、flamingo導入以前から専門のコンサルティング会社に入っていただいていました。いくつか有益なアドバイスをいただいていたのですが、システムとコスト面から改善施策が実行できていませんでした。それがflamingo導入で直観的に操作ができる環境になり、改善施策を実行に移すことができました。相当数の施策を追加したことで、狙ったキーワードで検索結果の上位に出現するなど、flamingo導入の成果が出せた取り組みであるととらえています。

日本企業のシステムの現実に即したDXをflamingoで支援

ーー今後のomni7のUI/UX改善へのお取り組みと、将来的なご展望についてお聞かせください。

末田(セブン&アイ) すでに申し上げたようにお客様の行動の変化が激しくなっているため、対応するべくPDCAを高速で回し続けていかなくてはと考えています。10〜20年後には、たとえばシニア世代も当たり前のようにECを利用するなど、インターネットリテラシーが高い層が増加し、ECの重要性がさらに増すでしょう。ECや通販企業が数多くある中で、たとえばセブン‐イレブンだけでも国内2万店舗を超える実店舗網がある当社の強みを活かしながら、今まで以上に安心してお買い物いただけるECサイトを目指していきたいと考えています。ECでは、実店舗ほどの手厚い接客がまだ実現できてはいません。実店舗の知見を吸い上げ、ECに反映するといったことも、flamingoの活用により可能になると思います。アイスリーデザイン様は、このような深い部分まで真剣に考え、親身になって実行してくださるため、頼もしく感じています。

武本(アイスリーデザイン) 導入から2年間は、セブン&アイ・ホールディングス様が取り組みたいと思っていたけれどこれまでかなわなかった施策を実行していくフェーズだったこともあり、「こうしたい」とご要望をいただいてから当社が動く形でした。今後は、当社から積極的にご提案していくことはもちろん、UI/UXに留まらない、サービス全体に関するご提案を行っていきたいですね。

 2019年末から、経済産業省を先頭に「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」という言葉がしきりに叫ばれています。「アナログからデジタルに切り替え、効率化する」という意味でとらえている人が多いと思いますが、当社ではグローバルでの言葉の意味を踏まえ、「デジタライゼーション」「デジタイゼーション」のふたつの意味があると考えています。「デジタライゼーション」は、たとえばUber Eatsのようにビジネススキーム自体を抜本的に変え、世の中を豊かにすること。「デジタイゼーション」は、従来アナログで行っていた作業を、RPAなどのITを用いて改善し、生産性を向上させることです。

 当社は、「ビジネスとテクノロジーとデザインで世界に貢献する」をミッションに掲げ、「i3DESIGN DX支援フレームワーク」を提供しています。flamingoを用いた「サイト改善ソリューション」も、このサービスフレームワークの一環です。日本企業は、コストやリソース不足などの理由から、市場環境に合わせたスピーディーな対応やユーザーを中心としたUI/UXの改善を十分に実施できていない企業が多く、レガシーなシステムも数多く存在します。flamingoは、時代の変化に応えそのようなレガシーなシステムをスピーディーに変えていく際に役立つものです。すでにお話したとおり、大手ECサイト様や金融機関様を中心に幅広い業種・業界の企業様にご利用いただき、「安定性のあるサービスだ」との評価をいただいています。このサービスで日本企業のDX推進のお役に立てると思います。今後は、当社のflamingo運用体制を強化していく予定です。

末田(セブン&アイ) コロナ禍により、日用品のEC購入が好調になる一方、音楽ライブや映画などが延期・中止になりコンテンツの販売が厳しい中で、インターネット上で楽しんでいただくための新しい取り組みも生まれてきています。アフターコロナにおいても、インターネットで購入する、インターネットで楽しむ機会が増えた生活様式は変わらないでしょうし、今後も変化し続けていくでしょう。その変化に対応し、omni7のUI/UXについてもさらに発展させていく必要があると考えていますし、こうしたお客様の行動変化へのスピーディーな対応も、flamingoの活用により可能になると感じています。

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