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「#おうちでサブウェイやってみた」に見る 時勢を反映したブランドコミュニケーションの極意

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 「アンバサダー(Ambassador)」という言葉は一般的に「大使」と訳され、日本では芸能人などがブランド大使に任命される時に使われることが多いようです。一方、SNSの普及により個人がより簡単に情報を発信できるようになり、自分の好きな企業やブランドについて発言や推奨するだけでなく、他ユーザーへのサポートやブランドの擁護まで自ら行うファンの存在が注目されています。本連載では、ファンの力を活用して課題解決を行う「アンバサダー的アプローチ」についてお話しします。第16回は、「時勢を反映したブランドコミュニケーション」についてです。

 この原稿が公開されるタイミングで、世の中がどうなっているのかさえわからない先行き不透明な状態がいまだに続いている。そんな中、自分に起きた変化のひとつとして、SNSやソーシャルメディアを眺める時間が多くなった。情報収集するためという側面もありつつ、SNSでつながっている人たちの投稿や自分が好きなものの情報などを眺めていると、普段にも増して孤独感が和らいだり、気持ちが明るくなる気がしたというか、自然とそういったことを求めていたのかもしれないなと以下の動画を見て、気づかされた。

 BEAMSがYouTubeチャンネルにて公開している「Dear friends. ~ わたしの世界篇」。映像の演出もさることながら、ナレーション、歌、音楽が見事なバランスで調和していて、心の奥がギュッと締めつけられた。

 「会いたい」

 まさに、自分の中の心の声が代弁されていて、初めて見たときに涙が出たのを覚えている。

 誰かに会うというごく普通のことが、ある日突然遮断された時、こんなにも心に影響を受けるものなのだと実感した。とくに著者は日頃人に会うことが多かったので、余計にそう感じたのかもしれないが、「会える」ということがどれだけ素晴らしいことだったのかにも気づかされた。しかも、著者はこの動画のメッセージが、単に「人に会う」ということだけではなく、自分が好きなものに接する機会(=出合い)を求めるという意味での「会いたい」にも受け取れた。

 つまりこれは、今まで当たり前だったことがそうではなくなった。ということであり、そこにこそ、コミュニケーションのヒントがあるのではないだろうか。

 そこで、今回も事例を交えながら、ファンとブランドそれぞれがお互いを思い、「会いたい」と願う気持ちについて、お話ししていきたいと思う。

状況に応じたメッセージ発信ができる組織 サブウェイの事例を紹介

 今回は、日本サブウェイの事例をご紹介する。

 サブウェイは、アメリカに本社を置くファストフードチェーン店で、世界100ヵ国に約4万店を展開している。日本では1992年に第1号店が誕生し、今年で28周年とのこと。著者は「生ハム&マスカルポーネ」が好きで、よく利用している。今回は、同社の広報である辻本さんにお話を聞くことができたので、事例を交えながらお伝えしよう。

 まずは、組織構造について。同社はマーケティング本部内に広報があり、PRはもちろんのこと、各種マーケティング関連業務やSNS領域も広報管轄で行っているそう。基本的にSNSを活用した企画や、投稿内容の判断などは辻本さんが行っているとのことだった。実は、最初に組織構造を聞いた際にはあまりピンと来なかったのだが、話を聞くうちに同社のSNSコミュニケーションにおいては、広報管轄にあるからこそ、その時々の状況に応じて打ち出すメッセージやコミュニケーションへの臨機応変な対応が可能になるのだろうと実感した。

 同社のマーケティング本部長と著者が以前から面識を持っていたこともあり、2020年3月に以下のような取り組みを一緒に行った。

 「SUBWAY総選挙」という企画名を見ればお分かりいただけると思うが、同企画はフォロー&リツイートキャンペーンとは違い、ファンそれぞれの「サブウェイ愛」を「#推しサンド」というハッシュタグをつけて語ってもらうことを目的としているため、投稿内容の熱量は当然のことながら高い。

 そして、まるでその熱量が伝播したかのように、同企画期間中はファンによる自発的な発言(ファン的発言)も増加。相乗効果を生むことに成功した(上記右表参照)。また、サブウェイの公式Twitterアカウントのフォロワー分析やアクティブティの把握なども併せて実施したことで、今後のSNS活用におけるコミュニケーション戦略のヒントを見出すこともできたのではないかと感じている。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。



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