アンバサダーとインフルエンサーの違い キーとなるのは「熱量」と「ファン度(思い)」
アンバサダー的アプローチを始めるうえで、理解をしておいてもらいたいのは、その取り組みを推進するのは、EC事業者自身であるということと、ファンとつながるわけだから、簡単にはやめない、やめられないという覚悟を持つということ。運営においては、パートナー会社が支援してくれると思うが、周囲の誰かがプロジェクトを成功に導いてくれるわけではないし、ファンと向き合うのは、「企業」であり「ブランド」なわけなので、まず、「自分ごと化」することができた時点ではじめてスタート地点に立つことができるだろう。
ファンからすると、企業やブランドとコミュニケーションをしているというよりは、人とコミュニケーションをしている感覚になるというか、アンバサダー的アプローチにおいてはそういう関係性になることが理想なので、熱意を持った人が担当になることがプロジェクト成功における秘訣のひとつと言える。また、アンバサダー的アプローチを推進していくうえで必要不可欠な他部署の巻き込みにおいて、人の心を動かすのは「熱量」であることは間違いなく、それは気づかぬ間に周囲へ伝播し、時に奇跡を呼び起こすことさえある。
ここに、アンバサダーとインフルエンサーの違いを説明する際に、昔から使っている4象限の図がある。

最近、これ以外に下記の図も使い始めた。

この図は、10万人へ情報を届ける(拡散する)ことを考えた際に、アンバサダー、インフルエンサーそれぞれの伝播力を分解し、整理したものである。
フォロワーが100人のアンバサダーを1,000人起用するのと、フォロワーが10万人のインフルエンサーをひとり起用するのは、「情報を拡散(露出)する」という観点で数字だけを見て計算すれば、どちらも同じ10万人であることは容易にお分かりいただけるだろう。しかし、SNS施策において大切なことは、単に情報を届けて終わりではなく、受け取った人々の心を動かすことだと著者は常々考えている。そして、そのために必要な要素は間違いなく「熱量」や「ファン度(思い)」のはずで、それが周囲のエンゲージメントを生み出し、結果として大きな渦となって広がっていくのだ。そういった意味で、熱量の高いファンとつながり、その力を活用することは非常に価値が高いと言える。