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わずか2名で売上35%増を達成 チャネル多様化に対応するO2O施策をコーヒーチェーン事例から学ぶ

顧客データベース活性化の課題を6ヵ月でクリアした「The Coffee Club」

 続いて、太田氏が「人間的な企業」のありかたについて、具体例を交えながら紹介。事例として紹介したのは、オーストラリア最大のカフェフランチャイズチェーン「The Coffee Club」だ。同チェーンは1989年にブリスベンで生まれ、利用者数は年間4,000万人以上。オーストラリアのみならず、ニュージーランドなど世界9ヵ国で店舗展開を行い、オウンドメディア、ペイドメディア(デジタル広告)、アーンドメディア(Instagram、Facebook、YouTube)といったデジタル施策にも力を入れている。

 一見すると堅調なビジネス展開をしているThe Coffee Clubだが、Brazeに相談が寄せられた当初は「デジタル活用についての課題を抱えていた」と太田氏は言い、こう続ける。

「実店舗でのビジネスは順調に成長していましたが、デジタル領域では複数のコミュニケーションプラットフォームやサードパーティベンダーを使用していたため 、顧客データベースの活性化に苦戦していました。顧客拡大にはロイヤルティプログラムの成長が不可欠でしたが、真のクロスチャネル体験を顧客に提供できない状況だったのです」(太田氏)

 そこで同チェーンはBrazeとともにクロスチャネルでパーソナライズ施策を強化し、デジタルパフォーマンスの向上を試みた。実施した施策は、次の3点である。

1. データドリブンマーケティング

 オウンドメディアの閲覧履歴や購買データ、アプリ・メール経由で配信したクーポン情報と、実店舗のPOSデータを統合。プラットフォームの垣根を取り払い、顧客に対して一貫したコミュニケーションを展開できるよう改善を図った。

2. ロイヤルティプログラムの強化

 アプリやウェブサイト内でパーソナライズを強化し、利用頻度が低い顧客のエンゲージメント向上を実施。アプリの起動やウェブサイトにアクセスしたタイミングで、誕生日や特別な記念日に店舗で利用できるフリードリンククーポンを配布したり、VIPカスタマー(有料会員)限定の割引や未購入商品のレコメンドを行ったりすることで、ファン化とLTV向上を行った。

3. アプリ運用内製化と機能強化でレビュー増へ

 Braze導入以降は、サードパーティベンダーに依頼していたアプリを内製化。さらなる進化を図ると同時に、アプリレビュー投稿数の増加を目指した。利用頻度の高いユーザーに対し、アプリ起動時のポップアップメッセージでレビュー投稿を促し、反応しなかった場合はメールでさらなるフォローを実施。Brazeのテクノロジーで、「アプリ内メッセージを開封したが反応しなかった人」とセグメントを適切に絞り込んだ後追いを実現している。

「いずれの施策もBrazeがジャーニーを設計し、ロイヤルティ会員からの売上は35%増、VIPカスタマーの更新コンバージョン率は62%増となっています。アプリの評価はわずか2週間で2.4から4.1に上昇し、ミレニアル世代の親や若年層のユーザーがThe Coffee Clubの顧客に占める割合も拡大しました。予想を上回るほどスピーディーに、大きな成果を得ることができています」(太田氏)

 同施策を手掛けたのは、The Coffee ClubのCRM&デジタルマネージャーとApp/バックエンドエンジニアのわずか2名だと言う。ロイヤルティプログラムは構想から実行までに6ヵ月を要したものの、Brazeの設定はわずか数日で終え、スピーディーな施策展開に貢献。エンジニアリソースの確保という課題についても、Brazeがサポートした。

「この結果はThe Coffee Clubの取締役会でも大きな成功と見なされ、その後、Brazeは同チェーンがマーケティング施策を展開する上での重要なプラットフォームとして位置づけられました。今は新たな施策を実施する際に必ず『Brazeを使って何かできないか』と議題に上がると聞いています」(太田氏)

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2021年のブラックフライデー・サイバーマンデーでも配信漏れや遅延なし ヒューマニティの観点で欠かせないリアルタイム性

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この記事の著者

景山 真理(カゲヤマ マリ)

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、ウェブメディアや雑誌をはじめとする紙媒体のライティングの仕事をしています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、仕事・働きかた、デジタルトランスフォーメーションです。 ウェブ●Mari Kageyama Writing Works

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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