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電話を使って60代がCRM推進 半年で売上を5倍にした鹿児島県・新原製茶のアナログさを残したDX


 EC化、DX推進ーー世の中は飛躍的にデジタル化が進んでいるが、顧客全員がその流れに追いついているわけではないのが現状だ。とくにインターネットに慣れ親しんでいない高齢者や地方在住者を対象とするビジネスの場合、迅速なEC移行も容易ではない。そこで既存の顧客接点とデジタルをかけ合わせ、事業者・顧客双方に無理のない「電話DX」を進めているのが、鹿児島県の新原製茶株式会社だ。今回は、同社が進めるCRM施策について代表の新原光太郎さんと、機能面でサポートする株式会社IVRy 代表取締役の奥西亮賀さんに話を聞いた。

電話注文が主のビジネススタイルを貫きながら進める地方企業のDX

 大正年間に創業し、100年近く鹿児島茶、知覧茶のリーディングカンパニーとして事業を行ってきた新原製茶。長年卸売を専門とし、コロナ禍以前は売上の8割以上が卸売、地元の物産館やスーパーへの出店販売が1.5割、個人向け販売はわずか0.5割程度に留まっていたと言う。

「Yahoo!ショッピングへ出店こそしていましたが、個人向け販売の売上のほとんどは、スーパーなどで商品を購入したお客様が、パッケージの裏面やチラシを見て電話で問い合わせてくれ、小口販売をするといったアナログな受注がほとんどでした。『先日買ったお茶がおいしかったからまた飲みたい』『東京にいる子どもに送りたい』、こうしたお声に応えて対応していた状況です」(新原さん)

新原製茶株式会社 代表 新原光太郎さん

 BtoB取引と、リアルでの接点を軸に売上を作り上げてきた同社も、2020年の春から始まったコロナ禍で売りかたを変えざるを得ない状況に陥る。幸い、リアルの購入の場を失った既存顧客が電話でリピート注文をしたり、チラシの配布エリアを拡大したりといった施策で個人向け売上を伸ばすことができたものの、それと同時に電話を使った注文の難しさにもぶつかったと新原さんは続ける。

「ひとつめの課題は、地方特有の問題かもしれませんが、方言が強く、お客様の発言を聞き取ることができない、注文を聞き間違えるといったミスが発生してしまう点です。また、受電対応のスタッフが3名しかおらず、電話が話し中になることによる販売ロスが生じる点も課題となっていました。

 機械的に注文内容だけをうかがい、電話を切れば数分で応対は終了しますが、『以前買ったお茶がおいしくて……』『どのお茶が良いかしら』といったように、スタッフとの会話を楽しみながら商品を選びたいお客様が多く、1件あたりの対応にどうしても時間を要してしまいます。また、こうした会話をする際に、本来はお客様が過去に注文した商品を確認しながら提案できるのが理想ですが、当時は紙とExcelで顧客・注文情報を管理していたため、スタッフ間での共有もなかなか難しい状況でした」(新原さん)

 新原さんはこうした課題を打破すべく、「同じ九州で事業展開する通販事業者が、受電時にお客様の名前が表出してスムーズに対応する様子を思い出し、似たようなことができないか情報収集をした」が、事業規模と導入コストが見合わず断念したと当時を振り返る。そして、理想に近い形で電話対応を円滑化する術を探した結果出会ったのが、電話自動応答(IVR)サービス「IVRy」だ。

「私のもとには、『コロナ禍でリアルの売上が下がり、インターネットでの集客にチャレンジしてみたけれど、ターゲットが合わずなかなか成果につながらない。なので、既存の電話というチャネルを活かして成果の最大化をしたい』といったご相談をいただいたと記憶しています。

 チラシ集客を行っても電話がつながらなければ機会損失が起きてしまいますが、IP電話であれば同時に自動音声での対応が可能です。営業時間外の受電も記録を残すことができるため、新原さんの要望に十分にお応えできると伝え、導入に向けた話し合いが始まりました」(奥西さん)

 奥西さんは新原さんからの要望を受け、当時のIVRyには存在しなかった顧客管理機能を追加。顧客の名前や受電した電話番号に加え、応対時の会話内容をメモできる機能を付与し、スタッフ間の情報共有を図った。

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

ECに関する情報を、さまざまな切り口からお届けできればと思います。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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