情報収集が得意なZ世代 各チャネルで販売価格を比較
2010年に運営を開始した「Qoo10」は、2018年にeBayが買収したECモールだ。同モールの日本における利用者数は、2024年3月時点で2,300万人。主要ECモールと比較すると後発ながら、四半期に一度開催される大型セール「メガ割」などの施策により認知を拡大した。20代を中心とした若い女性顧客が多く、モラーノ氏は「この5年で、Z世代女性からの認知度9割を獲得した」と話す。
一方のコメ兵は、実店舗とECサイトでリユース品の販売を行っている。既存のメイン顧客層は40~60代だが、2023年11月にZ・Y世代を含む若者向けの新店舗「KOMEHYO SHIBUYA」をオープンした。同社の他店舗と比較して、20代の来店数が2倍以上となるなど、既に成果が見え始めている。
本セッションではまず、それぞれが考えるZ世代の傾向が述べられた。モラーノ氏が真っ先に挙げたのは、情報収集に関する特徴だ。
「Qoo10のお客様は、情報収集・発信が非常に得意です。中には、韓国のドラッグストア『OLIVE YOUNG』の実店舗とQoo10とで同じ商品の値段を比較して、『TikTok』に投稿するケースも見受けられます。オンラインとオフラインの両チャネルを駆使し、商品の研究をしているのです」(モラーノ氏)
また、「レビュー」を通じたコミュニケーションも活発だ。Qoo10では、実際に商品を購入しなければレビューを書き込めない。ときには商品への不満が書き込まれることもあるが、モラーノ氏は「率直な意見が反映されているからこそ、お客様同士が共感し合える場となっている」と語った。
コメ兵の佐野氏も、こうしたZ世代の情報収集の仕方に注目している。たとえば「商品の購入前に念入りにリサーチする」といった傾向があるという。佐野氏は「Z世代が情報を探しているSNSなどの画面に、どれだけ自社の商品やサービスを露出できるかがポイント」と強調した。
ほかにも、コメ兵の独自調査から見えてきたZ世代の特徴がある。同社が2022年12月に実施した「消費行動とリユース品への価値観に関する調査」の結果では、高級商材は実際に「見る」「触れる」などの実体験から購入を判断するZ世代が多いと明らかになった。
「商材によって、オンライン上のみで情報収集するか、実体験も含めて購入を判断するかを切り分けているようです。当社がKOMEHYO SHIBUYAを出店したように、オフラインの接点を創出する必要性を実感しています」(佐野氏)