物流フロー改善をしなければ「想定外」に遭遇しやすくなる
秋口から既に始まっている年末商戦。ここから年始にかけての需要を獲得するために、改めて意識すべきは「お客様の手元に商品をお届けするまでがECであるということ」だと伊藤氏は語る。
「今年は、これまで以上に『相談するタイミングが遅く、倉庫会社から年末年始の繁忙期は他のイベントと同じ対応が難しいといわれた』『“いつも”は大丈夫だったのに、資材の納品が間に合わない』といった事態に直面しやすい年といえます。
年末年始にギフト需要を狙った商品構成を考える場合は、たとえば普段利用している資材とは別にギフト用の資材を準備するといった対策が必要です」
物流2024年問題が間近に迫っていることに加え、原材料の高騰や不安定な海外情勢、気象状況などにより調達のリードタイムが長くなる昨今。あらゆる問題が積み重なった結果、夏の後半からおせちの早期注文受付が行われるなど、2023年の年末年始商戦は例年よりも前倒しの傾向が見られる。
「事業者側も、余裕をもった原材料確保と指定日に合わせた安全な配送、売上向上を実現するため、『早割』を設けて早期に購入を確定してもらい、お客様の動きをある程度把握するなど、工夫を凝らしています。在庫リスクを抱えずに最大限の成果につなげる、ものを作りすぎない意識が年々高まっているのは良いことですが、年末年始などの波動(物流量の変動)に対応するには、事業者と倉庫会社の密な連携が欠かせません。
荷主(事業者)はどうしても、『売ること』を軸にフローを組み立ててしまいがちですが、最初にお伝えした通り『お客様の手元に商品をお届けするまでがEC』です。人の力だけで解決するには限界があるため、需要予測やそれらを基にした自動発注の仕組みなど、テクノロジーの力を借りることを視野に入れたアップデートを進めましょう」