前回はEC物流を「自社発送」と「物流代行」のふたつに分けて解説しました。どちらのやりかたで進めるか決めるうえで、気になるのはやはり「お金」の話ですよね。
大前提として、物流コストは投資と削減のバランスが大事です。従来、物流といえば利益を生まない「コストセンター」として位置付けられてきました。その逆に、利益を生むとされている部門は「プロフィットセンター」と呼ばれます。営業や企画、製造などです。
しかし、最近では物流においても顧客視点で必要な部分に投資をする考えかたが広まりつつあります。「流通加工」「提供の早さ」「品質の良さ」「多様化する購入や受け取り方法への対応」などに対する投資です。
自社で行おうと思えば、設備投資や人材の確保および教育に多大な労力がかかります。そのため、物流部門を切り離してアウトソーシングする考えかたは、大手企業でも珍しくありません。
これまで対企業への納品を中心としてきた物流センターも、個人宅に向けたEC市場の拡大を受け、リーズナブルな物流代行サービスを提供し始めています。自社発送で物流をまかなうことが困難になり始めた中小規模の事業者であれば、なおさら自社物流への大きな投資は難しいはず。適正なコストでいかに物流にかける工数を削減するかが肝です。
物流代行の「輸配送費」=割高は誤解 トラブル対応もメリット
物流コストといえば、「輸配送費」が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。「物流代行は運賃に手数料が上乗せされ、高くつくのでは?」と懸念を抱いている人もいるかもしれません。しかし、それは誤解です。
物流代行サービスを運営するような物流センターでは、さまざまな顧客の商品を毎日出荷します。そのため、まとまった荷量を確約して宅配便などの運送会社と契約でき、個人手配の運賃より割安な運賃表が適用されるのです。したがって「物流代行を利用すると運賃が高くなるかもしれない」と心配する必要はありません。
誤出荷や破損のトラブルに関して、物流代行業者側で責任を負ってもらえるのもプラスといえます。誤出荷では急いで正しい荷物をエンドユーザーに届ける必要がありますよね。自社ですべて対応する場合、本来であれば宅配便を使って送料1,000円程度で配送できる商品を、1万円近くかけて赤帽やバイク便に依頼する必要があるかもしれません。離島への配送でトラブルが発生すると航空便を使わなければならず、さらに費用がかさんでしまう可能性も考えられます。トラブルがないに越したことはありませんが、誤出荷などに対する緊急での配送費用や返品・交換にかかる工数は、地味に負担が大きいと感じます。
割安運賃表の適用とトラブル対応を考慮すると、「輸配送費」に関して自社発送とトントンか、場合によっては安くなることもあるでしょう。「要見積もり」としている物流代行業者もある一方で、サイト上で運賃を明確に公開している業者もあります。一度チェックしてみてください。